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 海難審判庁裁決録 >  2002年度(平成14年) > 乗揚事件一覧 >  事件





平成13年那審第42号
件名

プレジャーボートオンリーユー乗揚事件

事件区分
乗揚事件
言渡年月日
平成14年3月26日

審判庁区分
門司地方海難審判庁那覇支部(清重隆彦、金城隆支、平井 透)

理事官
平良玄栄

受審人
A 職名:オンリーユー船長 海技免状:一級小型船舶操縦士

損害
船首船底に破口

原因
水路調査不十分

主文

 本件乗揚は、水路調査が十分でなかったことによって発生したものである。
 受審人Aを戒告する。

理由

(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
 平成13年4月18日13時30分
 沖縄県多良間島普天間港

2 船舶の要目
船種船名 プレジャーボートオンリーユー
総トン数 11.79トン
登録長 9.85メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 5キロワット

3 事実の経過
 オンリーユーは、最大搭載人員6人のFRP製ヨットで、A受審人が1人で乗り組み、台湾までの巡航の目的で、最大喫水1.6メートルをもって、平成13年4月18日06時30分沖縄県平良港を発し、同県多良間島前泊港に向かった。
 A受審人は、12時30分ごろ前泊港外に至ったものの、海況が厳しかったので同港への入港を中止し、普天間港に向かうこととしたが、初めて同港に入港するにあたり、備え付けの海図第1204号と小型船用簡易港湾案内「南西諸島」を一瞥(いちべつ)しただけで、目視により無難に入港できるものと思い、同港入口水路付近の水深の状況などを把握するための水路調査を十分に行わなかった。
 こうして、A受審人は、機帆走で普天間港に向かい、13時22分半普天間港第1号灯標(以下、灯標については「普天間港」の冠省を省略する。)から143度(真方位、以下同じ。)780メートルの地点に達し、第1号灯標と第4号灯標を認めて機走とし、機関回転数を毎分1,000として3.0ノットの対地速力で、両灯標で示される同港入口に向けることとしたが、付近の水深の状況について知らないまま、水色の変化を目視して水路右側の水域が浅いように感じたことから、第1号灯標に接近して水路左側を航行するつもりで、針路を323度に定めて手動操舵により進行した。
 オンリーユーは、A受審人が水路左側の浅礁に著しく接近していることに気付かないまま、同じ針路及び速力で続航中、13時30分第1号灯標から135度90メートルの地点に乗り揚げた。
 当時、天候は曇で風力4の北東風が吹き、潮候は上げ潮の中央期であった。
 乗揚の結果、船首船底に破口を生じ、のち、自然離礁して沈没した。

(原因)
 本件乗揚は、普天間港に初めて入港する際、水路調査が不十分で、同港入口水路左側の浅礁に著しく接近したことによって発生したものである。

(受審人の所為)
 A受審人は、普天間港に初めて入港する場合、同港入口水路付近の水深の状況などを把握するための水路調査を十分に行うべき注意義務があった。しかるに、同受審人は、備え付けの海図第1204号と小型船用簡易港湾案内「南西諸島」を一瞥しただけで、目視により無難に入港できるものと思い、同港入口水路付近の水深の状況などを把握するための水路調査を十分に行わなかった職務上の過失により、水路左側の浅礁の存在に気付かず、同浅礁に著しく接近して乗揚を招き、船首船底に破口を生じさせ、のち、沈没させるに至らしめた。
 以上のA受審人の所為に対しては、海難審判法第4条第2項の規定により、同法第5条第1項第3号を適用して同人を戒告する。

 よって主文のとおり裁決する。 





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