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 海難審判庁裁決録 >  2001年度(平成13年) > 衝突事件一覧 >  事件





平成12年広審第83号
件名

プレジャーボートユーケンかき養殖筏衝突事件(簡易)

事件区分
衝突事件
言渡年月日
平成13年10月30日

審判庁区分
広島地方海難審判庁(中谷啓二)

理事官
黒田敏幸

受審人
A 職名:ユーケン船長 海技免状:四級小型船舶操縦士

損害
ユーケン・・・船首から船尾にかけて船底外板に擦過傷等
かき養殖筏・・・2基が損傷

原因
見張り不十分

裁決主文

 本件かき養殖筏衝突は、見張りが十分でなかったことによって発生したものである。
 受審人Aを戒告する。

適条

 海難審判法第4条第2項、同法第5条第1項第3号

裁決理由の要旨

(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
 平成11年7月14日15時57分
 広島湾江田島沿岸

2 船舶の要目
船種船名 プレジャーボートユーケン
全長 8.95メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 169キロワット

3 事実の経過
 ユーケンは、中央部に操舵室を備え、船内外機を装備したFRP製プレジャーボートで、A受審人が1人で乗り組み、知人2人を乗せ、魚釣りの目的で、船首0.7メートル船尾1.3メートルの喫水をもって、平成11年7月14日09時30分広島港宇品島のマリーナを発し、広島湾南部の柱島沿岸に至って釣りを行ったのち、15時30分ごろ帰途に就いた。
 A受審人は、倉橋、東能美両島間の早瀬瀬戸を北上して江田島東岸に差し掛かり、15時54分小麗女島灯台から202度(真方位、以下同じ。)5,850メートルの地点で、針路を同東岸に沿う003度に定め、機関を全速力前進にかけ、28.0ノットの対地速力で、操舵席に座って手動操舵により進行した。
 A受審人は、それまでの航行経験から、江田島東岸に沿ってかき養殖筏が設置されていることを知っており、15時56分小麗女島灯台から209度4,250メートルの地点に達したとき、正船首860メートルのところに、長さ約24メートル幅約10メートルで水面上高さが約0.3メートルのかき養殖筏が、南北方向に2基並んで存在し、それらを視認できる状況であったが、そのころ右舷前方を南下する大型船があり、その航走波の影響が気になったことから、同船の動向に気をとられ、船首方向の見張りを十分に行うことなく、かき養殖筏に気付かず続航中、同時57分わずか前船首至近に同筏を初認したが、どうすることもできず、ユーケンは、15時57分小麗女島灯台から215.5度3,500メートルの地点において、原針路、原速力のまま、その船首がかき養殖筏に衝突し、そのまま同筏2基を乗り切った。
 当時、天候は晴で風力2の西南西風が吹き、潮候は下げ潮の末期であった。
 衝突の結果、ユーケンは、船首から船尾にかけての船底外板に擦過傷を生じたほか推進装置が脱落し、かき養殖筏2基が損傷したが、のち修理された。

(原因)
 本件かき養殖筏衝突は、広島湾江田島沿岸を北上中、船首方向の見張りが不十分で、同筏に向け進行したことによって発生したものである。

(受審人の所為)
 A受審人は、広島港に帰航中、広島湾江田島沿岸を北上する場合、同海域に存在するかき養殖筏を見落とすことのないよう、船首方向の見張りを十分に行うべき注意義務があった。しかるに、同人は、右舷前方を南下する大型船の動向に気をとられ、船首方向の見張りを十分に行わなかった職務上の過失により、前路のかき養殖筏に気付かず、同筏に向け進行して衝突を招き、ユーケンの船首から船尾にかけての船底外板に擦過傷を生じさせたほか推進装置を脱落させ、かき養殖筏2基に損傷を与えるに至った。





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