日本財団 図書館




 海難審判庁裁決録 >  2001年度(平成13年) > 乗揚事件一覧 >  事件





平成12年長審第83号
件名

貨物船グレート神洲乗揚事件(簡易)

事件区分
乗揚事件
言渡年月日
平成13年6月12日

審判庁区分
長崎地方海難審判庁(亀井龍雄)

副理事官
尾崎安則

受審人
A 職名:グレート神洲船長 海技免状:五級海技士(航海)(履歴限定)
B 職名:グレート神洲機関長 海技免状:五級海技士(航海)(旧就業範囲)

損害
球状船首部を圧壊、船底外板に亀裂を伴う凹損

原因
居眠り運航防止措置不十分

裁決主文

 本件乗揚は、居眠り運航の防止措置が十分でなかったことによって発生したものである。
 受審人Bを戒告する。

適条

 海難審判法第4条第2項、同法第5条第1項第3号

裁決理由の要旨

(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
 平成12年5月23日17時35分
 佐賀県加唐島南東方沖合

2 船舶の要目
船種船名 貨物船グレート神洲
総トン数 199トン
全長 59.30メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 735キロワット

3 事実の経過
 グレート神洲(以下、「神洲」という。)は、船尾船橋型鋼製貨物船で、A及びB両受審人が乗り組み、石膏706トンを積載し、船首2.8メートル船尾3.8メートルの喫水をもって、平成12年5月23日12時50分長崎県松島港を発し、大阪府阪南港に向かった。
 A及びB両受審人は、いずれも五級海技士航海及び機関の両免状を受有しており、父親であるB受審人は神洲における船長経験も豊富で、当時、両人は航海当直をほぼ5時間単独周りワッチとしていた。
 A受審人は、自ら操船して離岸し、港外に出たところで機関を全速力前進にかけて10.0ノットの対地速力で進行し、狭隘(あい)な寺島水道を通過した後、14時00分高後埼灯台から270度(真方位、以下同じ。)1.6海里の地点で当直をB受審人に引き継いだ。
 B受審人は、九十九島西方沖合、平戸瀬戸を通過し、16時31分半貝瀬灯台から291度2.2海里の地点で針路を052度に定め、加唐島南方水道に向かって進行し、同時47分半同灯台から002度2.5海里の地点に達したとき、前方には他船がいなくなったので自動操舵とし、船橋中央部の椅子に腰掛けて続航した。
 17時06分半B受審人は、値賀埼灯台から301度2.1海里の地点に達したとき、眠気を感じるようになって次第にそれが強くなったが、いまだかって当直中に居眠りした経験はなく、まさか居眠りに陥ることはあるまいと思い、椅子から立ち上がって外気に当たったり、手動操舵に切り替えるなど居眠り運航の防止措置をとることなく進行し、やがて椅子に腰掛けたまま居眠りに陥った。
 B受審人は、17時28分少し過ぎ加唐島港防波堤灯台から214度0.9海里の転針点に達したが、居眠りに陥っていてこのことに気付かず、原針路のまま加唐島南東方沖合の二目瀬に向かって進行し、17時35分同灯台から097度680メートルの地点において、同瀬に原速力で乗り揚げた。
 当時、天候は晴で風はほとんどなく、潮候はほぼ低潮時であった。
 乗揚の結果、球状船首部を圧壊し、船底外板に亀裂を伴う凹損を生じたが、のち修理された。

(原因)
 本件乗揚は、佐賀県加唐島南方水道を航行中、居眠り運航の防止措置が不十分で、予定の転針がなされず、加唐島南東方沖合の浅瀬に向かって進行したことによって発生したものである。

(受審人の所為)
 B受審人は、加唐島南方水道を自動操舵で航行中、椅子に腰掛けた状態で眠気を催した場合、居眠り運航とならないよう、椅子から立ち上がって外気に当たったり、手動操舵に切り替えるなど居眠り運航の防止措置をとるべき注意義務があった。しかるに、同人は、いまだかって当直中に居眠りした経験はなく、まさか居眠りに陥ることはあるまいと思い、居眠り運航の防止措置をとらなかった職務上の過失により、椅子に腰掛けたまま居眠りに陥り、予定の転針を行わず、浅瀬に向かって進行して乗揚げを招き、球状船首部を圧壊し、船底外板に亀裂を伴う凹損を生じさせるに至った。
 A受審人の所為は、本件発生の原因とならない。 





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION