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 海難審判庁裁決録 >  2001年度(平成13年) > 乗揚事件一覧 >  事件





平成13年長審第5号
件名

漁船漁歌乗揚事件(簡易)

事件区分
乗揚事件
言渡年月日
平成13年5月8日

審判庁区分
長崎地方海難審判庁(平野浩三)

副理事官
尾崎安則

受審人
A 職名:漁歌船長 海技免状:一級小型船舶操縦士

損害
船底に破口、プロペラ、プロペラシャフト及び舵板に曲損

原因
居眠り運航防止措置不十分

裁決主文

 本件乗揚は、居眠り運航の防止措置が十分でなかったことによって発生したものである。
 受審人Aを戒告する。

適条

 海難審判法第4条第2項、同法第5条第1項第3号

裁決理由の要旨

(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
 平成11年11月20日05時10分
 長崎県小佐々町焼島

2 船舶の要目
船種船名 漁船漁歌
総トン数 18トン
全長 22.70メートル
機関の種類 ディーゼル機関
漁船法馬力数 180

3 事実の経過
 漁歌は、中型旋網漁業に従事するFRP製漁船で、A受審人が1人で乗り組み、あじ・さば漁の目的で、船首0.8メートル船尾1.7メートルの喫水をもって、平成11年11月19日16時00分長崎県楠泊漁港を発し、平戸島西方沖合で操業を行い、翌20日04時00分尾上島灯台から266度(真方位、以下同じ。)3.7海里の地点を発し、帰航の途に就いた。
 ところで漁歌の操業は、2隻の僚船と船団を構成して夕方出漁し、平戸島周辺沖合において、夜間操業を行い翌朝帰航を繰り返すもので、A受審人は、入港後漁獲物の加工作業を行うことから、操業期間中の睡眠が3ないし4時間程度で、このところ1週間連続操業を行っていた。
 04時41分少し過ぎA船長は、下枯木島灯台から196度1.6海里の地点に達し、針路を071度に定め 、機関を全速力前進にかけ、15.0ノットの対地速力でいすに腰掛けて手動操舵により進行した。
 04時47分半A受審人は、下枯木島灯台から142度1.4海里の地点において、連日の夜間操業による睡眠不足で眠気を催したが、目的地に近いことから何とか眠気を我慢できると思い、いすから立ち上がるなど居眠り防止の措置をとることなく進行した。
 05時03分A受審人は、下枯木島灯台から101度2.6海里の地点において、いすに腰掛けたままでいたところ、居眠りに陥り、同針路同速力で進行して、05時10分臼浦港楠泊東防波堤灯台から176度0.54海里の地点において、焼島西岸の浅瀬に乗り揚げた。
 当時、天候は晴で風はほとんどなく、潮候は上げ潮の末期であった。
 乗揚の結果、船底に破口を生じたほか、プロペラ、プロペラシャフト及び舵板に曲損を生じるに至った。

(原因)
 本件乗揚は、夜間、長崎県平戸島沖合の漁場から同県楠泊漁港に向けて帰航中、居眠り運航の防止措置が不十分で、陸岸の浅瀬に向かって進行したことによって発生したものである。

(受審人の所為)
 A受審人は、夜間、長崎県平戸島沖合の漁場から楠泊漁港に向けて帰航中、眠気を催した場合、いすから立ち上がるなど居眠り運航の防止措置をとるべき注意義務があった。しかしながら同人は目的地まであとわずかの間、眠気を我慢できると思い、居眠り運航の防止措置をとらなかった職務上の過失により、間もなく居眠りに陥って陸岸の浅瀬に向かって進行して乗揚を招き、船底に破口を生じさせたほか、プロペラ、プロペラシャフト及び舵板に曲損を生じさせるに至った。





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