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 海難審判庁裁決録 >  2001年度(平成13年) > 乗揚事件一覧 >  事件





平成12年那審第38号
件名

引船第二光勝丸引船列乗揚事件

事件区分
乗揚事件
言渡年月日
平成13年2月21日

審判庁区分
門司地方海難審判庁那覇支部(金城隆支、清重隆彦、花原敏朗)

理事官
平良玄栄

受審人
A 職名:第二光勝丸船長 海技免状:一級小型船舶操縦士

損害
船尾船底に擦過傷

原因
水路調査不十分

主文

 本件乗揚は、水路調査が十分でなかったことによって発生したものである。
 受審人Aを戒告する。

理由

(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
 平成11年10月9日10時30分
 沖縄県国頭郡恩納村前兼久漁港

2 船舶の要目
船種船名 引船第二光勝丸 台船第2幸栄号
総トン数 19トン  
全長 16.50メートル 30.00メートル
  12.00メートル
深さ   2.25メートル
機関の種類 ディーゼル機関  
出力 588キロワット  

3 事実の経過
 第二光勝丸は、沖縄本島の各港間において台船等のえい航業務に従事する鋼製引船で、A受審人が1人で乗り組み、空倉で船首尾とも1.0メートルの等喫水の台船第2幸栄号を引き、船首0.8メートル船尾2.7メートルの喫水をもって、平成11年10月9日08時00分沖縄県国頭郡瀬底島東方の瀬底錨地を発し、同県恩納村前兼久漁港に向かった。
 A受審人は、前兼久漁港奥の東側岸壁から、同港港外に築造中の西防波堤に、工事用資材の輸送に従事することになっていた。
 ところで、A受審人は、平成10年9月から西防波堤築造工事に従事し、同防波堤築造工事現場に台船をえい航しており、同港奥の東側岸壁付近を航行したことはなかったが、同港入口近くの北側岸壁に接岸したことがあった。その際、東側岸壁付近の水深が深そうに見えたことから大丈夫と思い、工事責任者に問い合わせて港内の水深を確認するなどの水路調査を行うことなく、航行の途についた。
 A受審人は、10時19分前兼久漁港の港外に達し、えい航索を25メートルに短縮して港内に向かい、同時25分半前兼久港北防波堤灯台から091度(真方位、以下同じ。)65メートルの地点において、針路を093度とし、機関を微速力前進と停止を繰り返しながら、1.5ノットの対地速力で進行した。
 10時29分半A受審人は、前兼久港北防波堤灯台から092度250メートルの地点で、針路を159度に転じたところ、浅所に向首するようになったが、このことに気付かないまま続航した。
 第二光勝丸は、同じ針路、速力のまま進行中、10時30分前兼久港北防波堤灯台から095度260メートルの浅所に乗り揚げた。
 当時、天候は曇で風力2の東風が吹き、潮候は下げ潮の中央期であった。
 乗揚の結果、第二光勝丸は、船尾船底に擦過傷を生じたほか、惰力で進行してきた第2幸栄号が右舷船尾に接触して外板に凹損を生じたが、他船によって引き下ろされ、のち修理された。

(原因)
 本件乗揚は、沖縄県前兼久漁港に入航する際、水路調査が不十分で、港内の浅所に向首進行したことによって発生したものである。

(受審人の所為)
 A受審人は、沖縄県前兼久漁港に入航する場合、工事責任者に問い合わせて、港内の水深を確認するなどの水路調査を十分に行うべき注意義務があった。しかるに、同人は、以前、同港入口近くの北側岸壁に接岸したとき東側岸壁付近の水深が深そうに見えたことから大丈夫と思い、港内の水深を確認するなどの水路調査を十分に行わなかった職務上の過失により、浅所に向首進行して乗揚を招き、船尾船底に擦過傷を、惰力で進行してきた第2幸栄号が右舷船尾に接触したことによって外板に凹損を、それぞれ生じせしめるに至った。
 以上のA受審人の所為に対しては、海難審判法第4条第2項の規定により、同法第5条第1項第3号を適用して同人を戒告する。

 よって主文のとおり裁決する。 





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