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林業・木材製造業労働災害防止協会
かかり木処理作業の安全
 
 林業の伐木造材作業において労働災害が多発している中で、特に「かかり木」に関する死亡災害が増加の兆しを見せています。
 「かかり木処理作業」において、絶対に労働災害を発生させないために、関係者の一人ひとりが、互いに次のような作業の基本を守ることを再確認し合って、作業を進めましょう。
 
1 かかり木の処理は、伐倒作業の中で最も危険な作業です。
 先ず、かかり木を生じさせないため、次の基本を守りましょう。
(1)伐倒前の準備をする。
(1)伐倒する立木について、かかり木、つるがらみ、周辺のかん木、浮き石等を除去する。
(2)かかり木が予想される場合は、あらかじめロープ等をかける。
(2)伐倒方向を確実にする。
(1)樹冠の状態、根張り、重心等を見きわめ、伐倒方向を決める。
(2)伐倒の基本に立ち返り、「受け口、追い口を正しく作る。」
・受け口の深さは、伐根直径の1/4以上とする。ただし、大径木の場合は伐根の1/3以上とする。
・受け口の下切りは、水平に切り込む。
・受け口の斜め切りは、30°〜45°の角度とする。
・追い口は、受け口の高さの下から2/3程度の位置を水平に切り込む。
(3)つるは切りすぎても残しすぎても危険。適切なつるを作り、機能させる。
(4)「くさびを正しく」を使って、伐倒方向を確実にする。
(5)大径木の伐倒では、重心の位置、枝がらみ、つるがらみを見きわめ、適切な伐倒方法を行う。
 
2 やむを得ずかかり木が発生してしまった場合、かかり木処理は次の手順で行いましょう。
(1)かかり木は早期に処理する。
(1)かかり木になったときは、それを必ず処理したあとで、次の作業に移る。
(2)すぐに処理できず、現場を離れるときは、危険区域を表示する。
(2)安全作業のための組作業
・できるだけ2人以上の組で作業する。
(3)かかり木の処理方法
(1)胸高直径20cm未満程度の小径木のかかり木は、棒、木回し、フェリングレバーなどを使って、樹幹を回したり、元口を回したりして、外す。
・外す前に、つるの部分を切り離す。
・樹幹を回すときは、自分の方へ回わさない。
・元口をずらすときは滑落する材に巻き込まれないようにする。
フェリングレバー
 
(2)中径木のかかり木は、けん引具を使用し、安全で確実な方法をとる。
・かかり木を回しながら引けるようにワイヤロープを巻き付ける。
・かかり木とけん引具の間に必ずガイドブロックを使用する。
(4)かかり木が外れ始めたら安全な場所へ退避する。
 
3 かかり木処理の場合、次のような作業方法は絶対にやめましょう。
(1)かかられている木の伐倒は禁止
 
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(2)投げ倒しは禁止
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(3)かかり木の元玉切りは禁止
(4)かかられている木の枝切りは禁止
4 合図と退避は伐倒作業の鉄則です。
(1)合図の徹底 定められた合図を、呼び子で行い、周囲に知らせる。
(2)指差し呼称の実施 伐倒作業では、必ず指差し呼称を行う。
(3)退避の徹底 退避場所は、伐倒方向の反対側の斜面上方8m以上離れた箇所とし、できるだけ立木などの陰を選び、必ず安全な場所に退避する。
 
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