■被害者支援をめぐる諸問題
理事長 内川 昭司
今年は、全国被害者支援ネットワークが設立されて5年目、全国で初めての「犯罪被害者相談室」が東京医科歯科大・難治疾患研究所に設立されてから11年目にあたります。この間に日本の被害者支援は大きな発展を遂げ、ネットワーク加盟組織も28組織を数えるまでになりました。また、この間警察庁は平成8年に「被害者対策要綱」を定めて全国的な被害者対策の展開を進め、平成13年には犯罪被害者等給付金支給法の改正により、給付制度の大幅な拡充と、公安委員会による民間援助組織の育成を促す早期援助団体指定制度の創設などが実現しました。さらに、犯罪被害者関連二法と改正少年法も成立し、訴訟過程における被害者の地位の向上も実現しました。
しかし、犯罪被害者の側から見れば、被害者を取り巻く状況はなお悲惨なもので、民間援助組織の活動も政府の対策もまだ極めて不充分であり、イギリスやアメリカなど被害者支援先進国の取り組みに大きく遅れていることも否めない事実です。この遅れを取り戻すために我々はいかに取り組むべきか、基調報告においては、今日の被害者支援をめぐる諸問題の中で、今重要と思われる下記の三点を中心に論じさせていただきます。
被害者支援の原点:犯罪被害者相談室設立の契機もそうでしたが、私たちの被害者支援の原点は、犯罪被害者・遺族の声に応えることにあります。これには、支援の要請に応えるという面だけでなく、社会の意識変革を促すことも含みます。我が国社会には、犯罪被害者となって初めて見えてくる、多くの矛盾や制度欠陥があり、それを正すことは社会の健全な発展のためにも肝要です。この社会変革を目指して先駆的な活動をされた市瀬朝一さんという先達の歩みを紹介し、その原点を確認させていただきたいと思います。
早期支援充実の重要性:我が国の被害者支援は、電話相談とカウンセリングから始められましたが、被害者かちの相談を待つ支援には大きな限界があります。犯罪被害者の真のニーズに応えるには、援助者が事件後早期より被害者に接し、状況に応じて必要な支援サービスを提供する、早期支援の充実が不可欠です。早期支援の試みは、日本ではまだ始まったばかりですが、その経験を通して感じていることを述べてみます。
修復的司法の考え方の問題点:被害者支援の拡がりのもとで、様々な視点からこれに取り組まれる方々が生じてきました。修復的司法の考え方は、従来加害者の弁護、矯止、保護等に関わって来られた方々に支持される傾向がありますが、これには被害者支援の基本に触れる問題点も多く含まれており、被害者援助者には慎重な対応が望まれます。
このような論点を踏まえた上で、真の被害者支援の発展のために必要な今後の課題についても触れてみたいと思います。
13時 |
開会 |
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主催者代表挨拶 |
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福岡犯罪被害者支援センター理事長・内川昭司 |
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来賓挨拶 |
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福岡県弁護士会会長 藤井 克己氏 |
13時20分 |
基調報告「犯罪被害者支援体制の現状」 |
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山上 皓氏(全国被害者支援ネットワーク会長) |
13時40分 |
パネル討論 |
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(パネリスト) |
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大山みち子氏(臨床心理士:武蔵野女子大助教授) |
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原田直子氏(弁護士:女性協同法律事務所) |
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(指定発言) |
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前田正治氏(精神科医:久留米大医学部講師) |
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(コーディネーター) |
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林 幹男氏(臨床心理士:福岡大大学院教授) |
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(途中で10分間休憩) |
15時50分 |
質疑応答 |
16時30分 |
閉会予定 |
※質問事項がある方は、事前に配布した質問用紙に内容を記入し、休憩時間に提出してください。できるだけ多くの質問にお答えしたいと考えています。よろしくお願いします。 |
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■福岡犯罪被害者支援センター相談電話■
092(738)1550
毎週月曜日 19時―21時 毎週土曜日 13時―16時
(相談は無料です。相談内容の秘密は厳守します)
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