日本財団 図書館


ミムジー・サドフスキーさん来日スケジュール
2001年    
     
10月19〜21日    
  全国オルタナティヴスクール&スペース
スタッフ交流会
世話人 児島一裕
0794−42−1473
10月22〜24日    
  With Kids懇談
まっくろくろすけ見学
世話人 黒田喜美
0794−47−3328
10月27日    
  名古屋講演 世話人 加藤邦子
052−895−8508
10月28日    
  大阪交流会 世話人 西山徳子
072−877−4412
11月3日    
  神戸講演 世話人 菅野喜一
「Vo信愛」
078−643−4324
11月4日    
  藤沢講演 世話人 小阪 弘
070−5462−2413
 
「デモクラティック・コミュニティとしての教育環境」
黒田 喜美
 これはSVSのホームページに出てくる言葉です。今、私がとても気に入っていて、より深く体験し考えたいと思っていることでもあります。
 
 それが実現している場所、SVSでミムジーさんに初めてお目にかかったのは96年のことだった。
 ミムジーさんの書かれた「School For Today」を読んでいた私達日本からの見学者は、偶然校内で見かけたミムジーさんに思いきって声をかけた。「あなたの書かれたものを読んで質問があるのですが、お時間はありませんか」と。ミムジーさんは「今日は予定が詰まっていて忙しいです。でも今なら次のクラスまで15分あります」と答えられた。そこで早速私達はミムジーさんを囲んで座り質問し始めた。
 一つ目の質問は公立中学の先生をしている人からのもので「どうしたら子どもに余計なことをしないようにできるでしょうか」だった。「普通の学校では難しいですね。先生は生徒を評価する立場にあるので、生徒は先生に率直に話しません。SVSではもし私が子どもに余計なことをしたら『ほっといてよ』とか『それは余計なことだよ』と子どもは言ってきます。ですから私も何が余計なことか気づくことができます。もととなるものが違うので、普通の学校では先生が子どもの邪魔をしていることに気付くのは大変です」と答えられました。これを聞いて私は「なんて的確にはっきり答えるのだろう」と感心してしまった。私も同じように考えていたが、それを学校で頑張っている人に対してこんなに率直に私には言えないだろうなぁと。
 二つ目の質問にミムジーさんは「質問の意味がはっきりわからないのですが、もう少し説明してもらえますか」と尋ねられた。そして質問者が懸命に言葉をさがしているのをじっとその人に集中して待っていた。その迫力に私には「なんて誠実に真剣に人の話を聞き取ろうとしているんだろう」とびっくりした。
 この短い15分の交わりでミムジーさんはアメリカのオルタナティヴスクールを巡る旅で私が出会った様々な人の中で最も強い印象を受けた人、一種私にとっては憧れのような存在となった。たぶんその当時の私がこう成長していきたいと自分に課題として感じていたことをミムジーさんは身につけていた人だったからだろう。
 
 帰国してから、私は子ども達と子ども達自身で話し合って全てを運営していくグループ“まっくろくろすけ”を立ち上げた。そして5年。やっと自分自身にも周りにも自分達にも私達のしていることは「SVSと同じデモクラティックスクールなのだ」とはっきり言えるようになった。
 そんなある日、「そうだ。もっとまっくろくろすけを充実させていく為にもミムジーさんに来てもらおう。色々聞きたいこともあるし、話し合いたいこともあるミムジーさんなら真剣にやろうと取り組んでいる人のところならきっと来てくれるはずだ」と思いついた。それは私の実現したい夢の一つとなった。2001年4月思いきってお手紙を差し上げた。
 そして10月、5年ぶりにミムジーさんに再会し、その夢は実現した。ミムジーさんと過ごした1週間は夢の中で生きているようなものだった。ちょうど子どもができ母にもなった私には単にスクールのことだけでなく、家庭でのことも含めいろいろな話をミムジーさんとできたことは大きな収穫だった。またミムジーさんが帰国してからも、思い出しては新たな気付きが今でもとても多くある。
 
 ミムジーさんに訪問してもらうという夢は終わった。しかし「デモクラティック・コミュニティとしての教育環境」を実現していくという私の一番の大きな夢は今も続いている。夢の中を、縁のある子ども達はもちろん色々な人々と協力し合いながら楽しく充実して生きていくというのはとても幸せなことだと日々感じる。
 「自分自身の人生を自分でコントロールして生きていく。だから思うようにならないことがあったり不満足な状況なら、自分が道を切り開く為に自らの力と知恵で動いていく。自己実現しながら自己責任で生きていくので、人を批判ばかりして責任転嫁したりしない。自分に自信を持ち自己を大切にしているように、他人も大切にできる。自分とは違う考えで違った歩みをしている人とも対立するのでなく尊重し合える」
 そんな人が平和で暖かい社会が実現していけるように、一人でも増えたら良いなぁと思う。そして私もそんなふうに私自身の夢を実現しながら生きていきたい。
 
‘自分自身になっていく学校’
<ミムジー・サドフスキー女史、来日を振り返って!>
児島 一裕
 今回、またまたSVSからの‘使者’がやって来ました。まさに‘使者’と言うのにふさわしい方だったと思います。最初から最後まで同行させていただいて、彼女のスバラシサがこちらにじわじわと染み込んで来ました。今思えば、彼女は60歳であれだけのハードなスケジュールをこなし、しかも全く違った環境(特に言語の)でやって下さったことに心から感謝をしています。
 
 彼女もやはり直観型の人間だと思いました。今回の来日もその直観に従っていたようです。同行していていつも驚かされるのが、物事に対する反応の速さでした。とにかく速いのです。考える間もなくと言う感じです。しかし、出された質問には頭を駆使し状況を的確に捉え答えておられました。
 今回のミムジーの来日で、2年前に来日されたダニエル&ハンナ・グリンバーグ夫妻の蒔かれた‘種’に新鮮な水と空気を与えて下さったように感じています。又、新たにそのデモクラティックの‘種’を蒔いて下さったようにも感じます。
 彼等SVSが、ずっと言い続けていること!―それは、「もう今は21世紀、新しい時代に突入している。今までのやり方や考え方はもう通用しない、それどころか害(手枷足枷)になっている」。
 学校という場が子どもの「ニーズ」と社会の「ニーズ」の出会う場所である!と言う言葉は、ボクには衝撃的かつ新鮮でした。正にその通りなのです。子どものニーズ、それは遊びから自然と、そして必然的に生み出されるのです。ダニエル・グリンバーグ氏が「‘遊び’とは、始まりがあって、終わりがどうなるか解らないもの。自分自身で選び、決定し、実行(チャレンジ)していくもの。」と定義されていました。
 「それこそまさに‘人生そのもの’です」とおっしゃってました。誰からも言われることなく自発的に楽しみながら邁進していく。チャレンジし続ける。そのようなレッスンをしないまま実社会に出ていくのは、実はたいへん苦しい(しんどい―ストレスの溜まる)ことなのです。新しいこと(未知な領域)へのチャレンジ精神が育っていない(磨かれてはいない)からでしょう。確かなモノは何もなく、常に変化し続けているこの社会(世界)の中で、うまくその波に乗るということは、いかに遊んできたかと言うことと密接に繋がっているようです。
 今回の講演でもう一点、非常に印象に残ったのが、「21世紀を生きるのに必要な能力を子ども達が身に付けるには、潜在的創造力を最大限に引き出すことが大変重要になります。」、「強制や説得などなくそれぞれの人に自然に備わっている自己動機づけの発達がとても大切。これを避けて通るわけにはいきません。この自己動機づけこそが実務や学問その他ありとあらゆる世界においてすばらしい財産となるのです。つまり、生徒は成功したいし、確実に成功の鍵を握っているのです。それは、集中力をもち、情熱を持ち、専念して不屈の精神で探求する能力と、自己動機が共に働き合って、自律(自立)した積極的な生徒に(仕事人に、人間に)成っていきます。」というメッセージのような彼女の言葉でした。
 
 今この時代に最も不可欠なのも、それが「自己動機づけ」であり、そこから引き出されるエネルギー(潜在的創造力)だと確信できました。それは、本人にとって、とても楽しい、やり甲斐のある、喜び(悦び)に満ち満ちたモノだと思います。自分自身を‘生’で感じている瞬間でもあるのです。その瞬間と言うのは、まさに自分自身のなかに今まで眠っていたものが唸りを上げて目覚めていく‘時’だと思えます。その時に内なる“集中力”“忍耐力”“持続力が”がより発揮されるのでしょう。
 そのような人(子ども)が一人でも多くこの世に出て行って、正しく働いてくれたら本当にそれに勝る喜びはないです。
 SVSを卒業する際のたった一つの基準、それは、「その人が、社会で責任のある人間としてやっていけるかどうか!」ということなのです。この日本でも、おそらく今後「デモクラティック・スクール」(サドベリーバレータイプの学校)がオープンすることでしょう。それを心から祈っています。
 最後になりましたが、今回のミムジー・サドフスキー女史来日に協力して下さった心ある方々、お一人お一人にこの場をおかりしてお礼を申し上げます。「深謝」
 
ではまた、いつかどこかで!お元気で! 「こじま@」より
 
すべての枠を超えて
児島 妙子
 SVSと自分を語っておられるミムジーさんのお話を聞いていて思い出されたのが、さをり織りを提昌されている、城みさをさんの文章でした。
 
人は教わって知る悦びと自ら発見した悦びでは、格段の喜びの違いを感じます。
それを一度体験した時、人は悦びを求め努力します。
 
人様のヒントを頂く代わりに自分のヒントを使ってもらおう。
この相互の結びつきの上に成り立っているのが、グループで学ぶよさです。
 
生きている。生き続けるものであり、流行などとは別物の、
時代が変わっても変わらないものがあるのです。
 
さをり4つのねがい
1)機械と人間の違いを考えよう
2)思いきって冒険してみよう
3)キラッと輝く目を持とう
4)グループみんなで学ぼう
 
 私はミムジーさんから得たヒントで学校・カリキュラム・フリースクール・ホームスクーリング・教師・子ども・親・生活・遊びetc.全ての枠を超えて、人が学び育つ空間と時間を、手作り生み出してゆきます。







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