2 ABC(活動基準原価計算)
(1)全体の概要とポイント
○ABC(活動基準原価計算)のポイントと概要
◆各活動ごとにコストを把握し、活動の消費量(例えば、人件費ならその職員が業務に従事した時間)に応じてサービス(事業)に割り当てることによりそのサービス提供にかかるトータルコストが把握できる手法。
◆活動ごとのコストを把握できるので、より効率的な業務プロセスを構築するための効果的な資料としても活用可能。
【従来の手法による予算管理】
<事業別予算> |
予算事業名 |
事業効果 |
事業経費 |
積算 |
事業A |
・・・ |
○億円 |
備品費△△円、印刷製本費××円、・・・ |
事業B |
・・・ |
・・・ |
・・・ |
事業C |
・・・ |
・・・ |
・・・ |
計 |
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<人件費予算> |
総定員(定数) |
総人件費 |
××人 |
○○億円 |
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<庁舎等管理予算> |
総床面積 |
総管理費 |
××m2 |
○○億円 |
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(ABCの手法を応用した経費分析を導入)
↓
<各職員の活動管理個表> |
(例)
○月○日 |
9時 |
12 13 |
18 |
20時 |
事業A・資料作成 |
事業B・内部会議 |
昼休み |
事業A・対外説明 |
事業C・資料作成 |
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※各職員の毎日の活動を記録し、各活動に費やした時間を把握
※業績管理にも活用
【ABCの手法を応用した経費分析例】
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直接事業費(備品費、印刷製本費、消耗品費、・・・) |
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担当者人件費(担当者、管理職、アルバイト賃金・・・) |
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管理費(庶務担当部署経費、庁舎管理、減価償却費・・・) |
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事業A |
資料作成 |
契約 |
内部会議 |
対外説明 |
・・・ |
合計 |
12,000円 |
340円 |
5,600円 |
7,800円 |
○○円 |
△△円 |
事業B |
交付申請受付 |
検索・確認 |
印刷・公印 |
交付 |
・・・ |
合計 |
1,300円 |
24,000円 |
680円 |
970円 |
●●円 |
▲▲円 |
事業C |
貸出受付 |
予約受付 |
返本督促 |
レファレンス |
・・・ |
合計 |
180円 |
570円 |
2,300円 |
4,600円 |
◎◎円 |
□□円 |
・・・ |
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(1)ABCとは
ABCとは、製品やサービスを供給するためのメカニズム(業務プロセス)を「活動」という意味のある作業の単位に分解し、その活動ごとにどの程度のコストがかかったかを割り当て、その積み上げにより、最終的にその製品やサービスを提供するための総コストを算出するための手法である。
さらに、活動ごとのコストを把握できるため、業務プロセスのどこに問題があるかを分析することにより、業務プロセスの改善にも役立つ。これをABM(Activity-Based Management)という。
(2)ABCによるコスト計算の手順
ABCによるコスト計算の際には、次の3つを明確にする必要がある。
○原価計算対象:製品、サービス、顧客・・・
○活動:業務フローの分析
○資源:実際に係る経費:人件費、減価償却費、光熱費、消耗品費・・・
これらの材料が揃ったところで、資源(経費)を一定の基準で活動に割り当て、さらに原価計算対象へと割り当てていくことにより、原価計算対象ごとの正確なコストが割り出せることになる。
(民間企業における事例)
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