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事例2 鎌倉市(神奈川県)
〜様々なNPOの参画によるNPOセンターの運営〜
1. これまでの取組み
■市民活動団体の活動把握からスタート
 平成8年、鎌倉市は第3次鎌倉市総合計画を策定し、同時に機構改革を行い、市民生活課(現市民活動課)を発足させ、まずは市の支援策の検討へ向け活動を開始した。同年7月、市広報紙「広報かまくら」の公募で集まった35団体の代表者による「鎌倉市市民活動支援検討委員会」(愛称・市民サポート委員会)を設け、検討を重ねてきた(平成9年3月まで13回開催)。
 検討委員会では活動分野も異なり、初めて顔を合わせる者がほとんどで、活動分野を超えるネットワークが実現したことが、参加意識をさらに高めた。
 市では、市民活動支援を検討するにあたって、市内で活動する団体の活動状況の把握がまず必要であると考えた。自治会をはじめ、様々な団体が市内で活動している。市でも全体をつかんでいるわけではないものの、各部局において、日常的にこれらの活動団体と接しているものも多いこともわかってきた。
 そのため、市では、各部局で把握している活動団体を把握するとともに、同好会的要素の強い団体でも公益的な活動を行っている団体も多いことから、できるだけ幅広く対象を拡げ、市内で活動している団体を対象に実態調査を実施した。この結果、対象863団体、回収率83.5%という豊富なデータを得ることができた。調査結果から、市は生涯学習系の団体でも公益的な活動を行っている団体が多いことなど、市民活動の幅の広さを認識した。
 
■NPOセンターの設立
 検討委員会は活動調査結果をもとに得られた課題を検討素材とし、支援の対象は団体ではなく活動そのものであり、自立を促す支援をすべきだとした「鎌倉市の市民活動支援のあり方についての提言」を平成9年3月に取りまとめた。さらに、提言具体化の第一歩として、市民活動の拠点となる「NPOセンター」の設立準備を平成9年度に行うことが議論された。
 その後、市は、新たな人材を発掘する目的で「第2次支援検討委員会」を平成9年6月に設立した。
 NPOセンターの運営の仕組みや組織、支援体制を課題とした委員会では、全体会議に加え「場の支援」「情報の支援」「学習・研修の支援」の3つの分科会チームを設け具体化に向け準備を進めた。この委員会においても、全員一致方式で時間をかけて議論が進められた。
 委員会は公設市民運営によるNPOセンターの運営が可能か、またセンターに必要な機能や運営上の問題点を確かめるため、NPOセンターの運営実験に踏み切り、市内の団体に呼びかけNPOセンター設立準備委員会を発足。平成9年11月の1か月間、運営実験を行った。
 第2次委員会は平成10年3月まで13回にわたり開催、市民活動の拠点施設となるNPOセンター鎌倉とNPOセンター大船を、公設市民運営方式で設立する方針を固めた。これに伴い平成10年1月からは、サポート委員会の後継組織としてNPOセンターの運営に携わる「市民活動センター運営会議」を設置した。
 この会議では、施設運営には団体の活動経験者だけでなく、経理、備品管理など幅広く人材を確保する必要があるという結論から、参加システムがこれまでと変わり、団体代表としての参加から「市民活動に関心と熱意のある個人」としての参加に切り替わった。
 2つのNPOセンターは同年5月に、同時オープンし、行政は施設の用意のみ、運営は市民が受け持つ公設市民運営方式でスタートした。運営管理は、センター設立にあわせ制定された「鎌倉市市民活動センターの設置及び管理に関する条例」に基づき市から運営会議に委託された(市民活動センター運営会議は平成11年7月にNPO法人として認証)。
 
■NPOセンターを軸とした支援策
 鎌倉市では、NPOセンターを開設した5月1日を「かまくら市民活動の日」と位置づけ、平成11年以降、毎年同日「かまくら市民活動の日フェスティバル」を開催。ワークショップやデモンストレーション、公開審査によりNPO等への支援を行う「NPO支援かまくらファンド」等、年々活発化している。
 
分科会チームを設け具体化に向け準備を進めた。この委員会においても、全員一致方式で時間をかけて議論が進められた。
 委員会は公設市民運営によるNPOセンターの運営が可能か、またセンターに必要な機能や運営上の問題点を確かめるため、NPOセンターの運営実験に踏み切り、市内の団体に呼びかけNPOセンター設立準備委員会を発足。平成9年11月の1か月間、運営実験を行った。
 第2次委員会は平成10年3月まで13回にわたり開催、市民活動の拠点施設となるNPOセンター鎌倉とNPOセンター大船を、公設市民運営方式で設立する方針を固めた。これに伴い平成10年1月からは、サポート委員会の後継組織としてNPOセンターの運営に携わる「市民活動センター運営会議」を設置した。
 この会議では、施設運営には団体の活動経験者だけでなく、経理、備品管理など幅広く人材を確保する必要があるという結論から、参加システムがこれまでと変わり、団体代表としての参加から「市民活動に関心と熱意のある個人」としての参加に切り替わった。
 2つのNPOセンターは同年5月に、同時オープンし、行政は施設の用意のみ、運営は市民が受け持つ公設市民運営方式でスタートした。運営管理は、センター設立にあわせ制定された「鎌倉市市民活動センターの設置及び管理に関する条例」に基づき市から運営会議に委託された(市民活動センター運営会議は平成11年7月にNPO法人として認証)。
 
■NPOセンターを軸とした支援策
 鎌倉市では、NPOセンターを開設した5月1日を「かまくら市民活動の日」と位置づけ、平成11年以降、毎年同日「かまくら市民活動の日フェスティバル」を開催。ワークショップやデモンストレーション、公開審査によりNPO等への支援を行う「NPO支援かまくらファンド」等、年々活発化している。
 
NPO支援かまくらファンド
 センターに寄せられた寄付金を、市内で活動するNPO等に対して助成しようとするもので、平成13年度からスタート。
ファンドのしくみ
基金 毎年の市民や事業者などからの寄付金による。
助成の対象 鎌倉市における市民活動団体
助成対象の選定 年1回の公開審査会による。
公開審査会の内容 応募団体による約20分の企画発表を、学識経験者や市内NPOの代表などの5人の審査員が点数と協議の併用により審査。
 
支援の主な内容
助成金は寄付金の総額によって助成金額、件数が決まる。
平成13年度、平成14年度とも1件5万円、3団体に助成。
助成を受けた各団体には、活動の成果と会計報告が義務付けられる。
 
■市職員による協働研究会
 平成13年10月、鎌倉市市民活動センター運営会議は市職員の意識調査のため、「NPOと行政の協働について」のアンケートを実施している。
 対象は、鎌倉市職員中、教育委員会の小中学校技能員を除く1598人全員(回収率は64.2%)であった。
 結果、過半数近い職員が具体的に活動しているNPOを「知らない」と答える一方で、協働の方法がもっと具体的になってくれば、「場合によっては取り組みたい」(53.8%)とする等の回答が得られた。
 会議は同アンケートの結果に基づいて平成14年3月に提言として「鎌倉市におけるNPOと行政の協働について」を取りまとめ、庁内職員により、平成14年7月に「NPOと行政職員による市民協働推進研究会」を発足、協働推進のための情報の収集や発信について研究を進めている。
 
「NPOと行政の協働について」のアンケート調査結果
●NPOについておたずねします
 今回の調査では、NPOとは「自発的に、社会性、公益牲の高い活動をしている市民団体」を指し、法人格の有無は問わない。
(1)あなたは具体的に活動しているNPOをご存知ですか。
a. 知らない 48.0%
b. 知っている 48.9%
無回答 3.1%
合計 100.0%
 
(2)知っているNPOはどんな活動をしていますか。
a. 名前だけ知っている 29.1%
b. 内容を知っている 58.2%
無回答 12.7%
合計 100.0%
 
●NPOと行政の協働についておたずねします
a. 協働は必要無い 10.5%
b. 市の審議会や委員会に市民参画することで十分である 18.8%
c. 補助金を出して財政的支援をすることである 14.7%
d. 専門的な能力のあるNPOへ依託することである 34.9%
e. 他に方法がある 4.9%
無回答 16.2%
合計 100.0%
 
●協働の方法がもっと具体的になってくれば、あなたは、どのように取り組まれますか。
a. 取り組もうという気持ちはあまりない 21.3%
b. 場合によっては取り組みたい 53.6%
c. 積極的に取り組みたい 8.9%
無回答 16.2%
合計 100.0%
 
●NPOと行政の協働がなかなか難しい一番の理由は何だとお考えでしょうか。
a. NPOに関する情報や接点がない 49.6%
b. 事業を一緒に遂行できる能力を持ったNPOが見当たらない 5.4%
c. 事業を行いたい分野に適切なNPOが見当たらない 5.8%
d. NPOは組織として未熟で十分に信頼できない 6.4%
e. 行政側においてNPOにたいしての理解が不十分である 23.9%
無回答 9.0%
合計 100.0%
 
2. 鎌倉市における協働
■市民一人ひとりの自発的な意思による様々な活動を促進
 鎌倉市では、市民の自発的な意思による様々な活動が盛んであったが、こうした市民一人ひとりの活動を促進させ、まちづくりのパートナーとして協働していこうと取り組んでいる。このため、コミュニティ活動やボランティア活動の活性化を図り、市民活動の裾野を拡げていくとともに、市民活動団体への情報提供や活動の場の設定などの支援に努めている。
 しかし、市民一人ひとりやそれらが結集した団体活動の現状は、まだ、ぜい弱であり、行政による支援が必要である。そのため市では、以下の考えのもとに、支援の取組みを行っている。
 
<支援の原則>
(1)既成の市民活動団体の自立を助ける
(2)新しい市民活動団体が生まれ、育つ環境をつくる
(3)共同性、公開性、明確性のある支援をする
 
<支援の基本的な6つの方策>
(1)市長から支援の理念と方策の表明
(2)会議室・作業室などの空間と機能の提供
(3)参画・協働・課題解決のための情報提供
(4)学習・研修の機会の提供
(5)人材の紹介・派遣・交流
(6)活動資金の助成・融資
 また、支援の対象については、「支援を求めた団体の社会的、公益的価値の創造と地域課題の解決に結びつく活動が支援の対象」としている。
 
3. 課題と今後の展望
■NPOセンターの運営
 鎌倉市の課題はいかに現在の協働を維持し、発展させていくかにある、と市、NPOとも認識している。
 その上でポイントとなるNPOセンターの活性化については、例えば運営会議に新たな人材の参加を進めるかという問題がある。
 現在のNPOセンターは登録団体数に対し非常に小さな運営母体であり、手弁当に近い謝金で会員が活躍している。会員には主婦や定年退職者など就労していない世代の参加が多く、新しい人材の参加が進まないと継続性の観点から活動に限界が生じると市は考えている。参加を促すには賃金等の待遇面を改善する必要があるという声もあるが、新たな財源の工面は市としても難しい状況にあり、賃金や謝金は高すぎても低すぎても会員の積極的運営への士気が下がる懸念もあることから、答えが出せない状況にある。これに対し市は、活動を行う人間によって活動は大きく異なるが、その時々の市民活動が活動しやすいように環境整備することが行政の役割であるとの認識を持っている。
 また、センターの利用が好調に推移している背景には、団体間のネットワークを通じて、センターの存在が口コミで広がったことも大きく、顔の見える関係づくりの活性化も課題として考えている。
 
■職員を対象に、NPOとの協働を学ぶ
 市内部では、「NPOセと行政の協働について」のアンケートで、職員の10人のうち9人までが市民との協働経験がないという点が明らかになり、職員の多くが市民との協働について経験することを考え、効果的な職員研修等を進めていく予定だという。
 しかし、NPOセンターの利用者は依然増加傾向にあり、市でも高齢者配食サービスやファミリーサポートセンター(子育て・介護支援)の設立等協働の機会が増えつつある。
 今後市では、各団体の発展段階に応じて必要なノウハウを学ぶマネジメント講座などを開設していく計画である。







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