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●献体ポスター 2
●平成10年
 
はじめに
 この小冊子は、行政・病院・施設などで、献体に関する相談や、なくなられた方の解剖に関する業務を担当される方々のために書かれたものです。
 近年「献体」についての関心が高まり、問い合わせが多くなってまいりました。それに応じていただく担当の方々に「献体」をよく理解していただき、手続きなどを知っていただくことが、この小冊子を著した主旨でこざいます。
 医・歯学系の大学では、人体解剖学実習が必須科目となっております。その教材となる解剖体、即ちご遺体は、生前から「自分の死後、医学又は歯学の教育・研究のために遺体を提供する」という「献体」によるものが理想であります。現在では「献体」によるものが多くなり、100パーセントの大学も珍しくありません。
 「献体」は無条件・無報酬で自らの遺体を捧げる篤志行為であり、その行為は医・歯学系学生の解剖学の教育のみならず、医の倫理教育の面で大きな効果をあげております。献体された方々を解剖させていただくことにより、その献体者の希いを知り、豊かな人間性と高い倫理観を具えた良医になることを学生たちは自覚し、誓うようになります。解剖学実習を終えた学生は人間的に一回り大きくなると言われますが、それは献体者の無言の教えに外なりません。
 最近、献体による解剖学教育の恩恵を医療技術系全体に及ぼすための社会的意識変革が必要という考えが出てきました。現代の医療は、医師や歯科医師だけによってなされるのではなく看護師、リハビリテーションを担当する理学療法士や作業療法士、視能訓練士、超音波検査を行う臨床検査技師など実に多くのコメディカルと呼ばれる専門職によるチーム医療となっております。その人達は解剖学実習を強く望んでおりますので、その機会を与えることは日本の医療水準の向上にどれ程役立つか計り知れません。今後は献体登録をされている方々のご理解をいただき医療系全体に解剖学教育の恩恵を及ぼすようにしたいと考えております。その意味でも献体運動は大きな曲がり角、変革期に来ていると申せます。ご理解をいただきたいと存じます。
 献体に関する質問をお受けになる立場の方々がこの小冊子をご活用下さり、少しでもお仕事のお役に立てば幸せでございます。
 
平成14年11月
財団法人
日本篤志献体協会 理事長
内野滋雄







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