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社会福祉法人「四恩の里」
若竹学園
ワカタケガクエン
 
代表者名●宜保 直行[ギボ ナオユキ]
所在地●〒761−8004 香川県高松市中山町1501−192
電話番号●087−882−1000 FAX番号●087−882−1160
URL●http://www.netwave.or.jp/~wakatake/ E−mail●wakatake@mail.netwave.or.jp
 
温かみと柔軟性を兼ね備えた情緒障害児短期治療施設
●報告―山田 三千代
[HRリーダー]
 
 小島が点々と浮かぶ穏やかな瀬戸内海を北に見下ろす山の中腹に、若竹学園はありました。案内書には「根香口」というバス停から徒歩1時間30分と書かれています。確かに人里離れた山の中に、突然「喝破道場」と書かれた木製のゲートがあり、舗装されていないデコボコ道を恐る恐る入って行きました。かなり走った(私は車で)ところに鉄筋3階建ての立派な施設がありました。
 ここは、厚生労働省の、2010年までに「情緒障害児短期治療施設」を各都道府県に一施設は設置するという方針のもと、財団法人「喝破道場」に隣接した地に香川県が設立し、運営を社会福祉法人「四恩の里」に委託している施設です。
 この方法には大きな利点があります。まず、公的なバックアップがあるので資金的に余裕があり、建物、備品、スタッフの数などはしっかりと整っています。また、援助が得られるために、入所者側の財政負担も少なくて済みます。一方、ソフトの部分―子供たちへの対応に対する理念は役所的ではなく、温かみがあり、柔軟さを保っています。
 
財団法人「喝破道場」の広い敷地に隣接している若竹学園。ここからアルバイトに通っている子は行きは自転車で、帰りはすべて園から車で迎えに来てもらっているようです。
 
若竹学園へむかう山腹より下を見るとたくさんの小島が浮がんだ美しい瀬戸内海が見渡せます。
 
三階建ての立派な園舎。1階・共同スペース、2階・男子居室、3階・女子居室。
 
 ここへ来るのは、不登校やいじめによる重度の情緒障害に陥っている子供たちだそうですが、いろいろなスタッフに手厚く見守られながら、感情をコントロールする力や人への信頼感を取り戻そうとがんばっています。
 園長先生とお話をしていて印象に残った会話があります。畑作業をしていて、せっかく育った苗を誰かが踏んづけて折ってしまったとき、子供たちにどのように話すか。「そういうことはこの世に生きている限りどんな場面でも起こり得ることで、そう怒ることではない」と話すのだそうです。若竹学園は公的な面も併せ持っているので宗教色はないのですが、私はこういう物の考え方に宇宙観を感じ嬉しくなりました。
 現在入所している子供は香川県在住者のみに留まらず、他県の児童相談所を通じていろいろな県から来ています。園としては、家庭との関係を密にするためには県内の児童へと軸足を移す方向で考えているようですが、他県の者としては門戸を広く解放していただくとありがたい、と思いました。
 若竹学園は20歳までと年齢制限があるため、喝破道場の敷地内に、ひきこもりの青年のための施設「心のハーブ苑」が2002年6月初旬に立ち上げられました。すでに建物は出来上がり、建物の周りでは各種のハーブが美しく咲き乱れ、すがすがしい香りを運んできます。それは、一人で悩んでいる若者をやさしく待っているかのようでした。[調査日―2002.06]
 
今日の食事は「キムチ鍋」。みんなでワイワイ楽しそうに食べていました。主食は発芽玄米を使っています。
 
朝8:30、園生と職員が挨拶を交わしながら園庭でラジオ体操。その後、9:00まで散歩をしたりヤギの世話。
 
高校生の書道の時間。2階ホールで。通りがかりの先生たちが気軽に声をかけてきて、冗談を言い合ったり。
 
二人用の個室ですがこの部屋は一人で使用中。布団、机は園の備品。身の周りの物だけで入所しても困りません。
 
高松市立下笠居小・中学校の分級「若竹学級」があり、それぞれ子供に合わせた個別学習を行います。
 
子供たちが栽培した野菜は料理され「生命」の大切さを教えてくれます。農場横ではたくさんの鶏を飼育。







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