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社団法人 ハーモニーカレッジ
ハーモニーカレッジ
 
代表者名●石井 博史[イシイ ヒロシ]
所在地●〒680−0531 鳥取県八東郡八東町才代299
電話番号●0858−84−3415 FAX番号●0858−84−3415
URL●http://www.pony-farm.com E−mail●hirosan@pony-farm.com
 
「馬」とともに暮らす共同生活が人としての成長を促す
●報告―井村 良英[元淡路プラッツ代表」
 
 ポニーとの共同生活を通じて人間的な成長を目指す日本のユーゲントファーム、ハーモニーカレッジ。ここに入寮して来る子供はハーモニーカレッジに興味を持ち、自分の意思で寄宿生活を決めた子供だけである。中には競馬ゲーム「ダービースタリオン」が好きで入寮して来る子もいる。年齢は概ね中学生から高校生くらい。そのため、共同生活の中にも、部活の合宿のような雰囲気がある。
 寄宿生活では、代表夫妻やスタッフも寮生と一緒に一つの家族として暮らしている。そのため、非常に温かい雰囲気が感じ取れる。また、家族としてだけではなく、地域の一員としての側面も強く出ている。ハーモニーカレッジにはポニー牧場だけではなく陶芸窯や共有の畑などがあり、地域の人々との交流の場としても活用されている。
 さらには比較的年齢層の低い小学生が多く牧場体験に訪れるのが特徴の一つで、寮生はその子供たちのお兄さん、お姉さん的存在にもなる。自然と動物に囲まれた家族的な雰囲気の中、地域交流を通じて様々な年齢や個性を持つ人々と触れ合いながら人として成長して行く場所。それがハーモニーカレッジである。[調査日―2002.04]
 
ハーモニーカレッジでは牧場を外の方々にも開いている。この日は小さなお客さんも来場し、生徒の指導で乗馬を満喫していた。様々な方が牧場を訪れ、乗馬を楽しむ。その乗馬補助を通じて、生徒はコミュニケーション能力をつけていく。
 
都心から少し離れた山と自然に囲まれた場所。空気はきれいで川は透き通っていた。
 
共同生活寮は緑に囲まれた場所にある。地域の人も何とはなしに集まってきて、生徒達と会話を共にしている。
 
■代表者に訊く
石井 博史さん
●社団法人 ハーモニーカレッジ代表
 
●団体の特徴
 ハーモニーカレッジでは大動物(ポニー)との付き合いを中心に、子供たちが共同生活をしています。目的は自信を失いかけている子供たちの自信回復と、彼らが自分らしさに気付き、積極的な生き方ができるように支援することです。
 様々な理由から寄宿生活に興味を持ち、決意した子供たちが石井家で暮らします。
 少し離れた敷地にポニー牧場があり、その馬の世話をしたり、水、土、日曜日には地域のすべての人に開かれた「ポニークラブ」という青少年育成活動にも参加します。そこで地域の小学生に馬の世話の仕方や乗り方を教えたりしながら、多くの人と触れ合える機会を設けています。馬との触れ合いをきっかけに国際青少年交流活動の一環としてドイツやモンゴルヘ行き、様々な文化交流を経験することもできます。
 ハーモニーカレッジには他にも多くのプログラムを子供たちに提供しています。英語やモンゴル語を学習したり、陶芸に挑戦したり、キャンプや自転車旅行をしたりもします。他にも農村共同体へ参加することで都会で暮らしていた自分を客観的に見るようになります。
 
生徒は共同で部屋を使用。整理整頓は各自の責任で行う。すべて木製で作られているため夏は涼しく冬は暖かい。
 
食事は出来る限り全員で。食事の準備も自分たちで行う。夕食は終始和やかな雰囲気で、まさに家族という感じ。
 
みんなで助け合いながら厩舎の掃除。一人ひとりが割り当てられた役割をしっかりと一生懸命にこなしていた。
 
リビングには近所の方々も集まる。様々な人間が集まり会話、活動を共にし、自然と人間関係の構築方法も学ぶ。
 
厩舎へ向かう道。毎朝馬の世話に向かうためこの道を通る。緑に囲まれ、人間にも馬にも非常に良い環境である。
 
馬はデリケートなので世話はとても気をつかう。そういった馬への気づかいが人間関係にも反映される。
 
 様々なプログラムに自分のぺ一スで取り組みながら、ゆったりとした雰囲気で生活をしますが、その中にも馬の世話や共同で食事を作るなどの一定の生活リズムを保つようにしています。共同生活を通して様々な人間と触れ合う機会を積極的に作り、その中で子供たちは人間関係の作り方、保ち方なども学んでいます。
 ハーモニーカレッジでは家族の中で暮らし、他者や動物を通して子供たちがそれぞれの自然観や世界観を育むことができればと思っています。
●卒設の基準
 共同生活を通して総合的に子どもを見ながら、「自信が蘇って、外に一歩踏み出せるタイミング」を見極めて本人と話をします。あえて言うならば、学習意欲が蘇り、進路について考え始めるタイミングと言えます。
●施設における自立の定義
 精神的なゆとりを取り戻すと様々なことに気付きます。物事に継続的に取り組むようになります。外から見るとそれは忍耐力がついたという形で見受けられます。そうすると人にやさしく、協力的になり、自然と自分の将来について考え始めるようになります。それが自立への一歩だと思います。
●在籍生の就職状況とその支援体制
進学・・・連絡を取り合ったり、推薦状を書きます。
就職・・・個人的に探します。取っ掛かりとしてフリーターを選択する子が多い。
 全体としては8割強の子供たちが進学を選んでいます。
●在籍生のアルバイトの可否・その状況と支援体制
 アルバイトをすることは奨励しています。相談があれば農園バイトや職業体験の一環として地域の方々を子供たちに紹介しています。
●作業(有償/無償)の有無・その内容と状況
 馬に餌をやったり、馬房掃除などの馬の世話、牧場活動を作業として行っています。これらを通して個々の自然観や世界観を養ってほしいと思います。
●教科学習の必要性とサポート体制
 教科学習は必要です。個人学習時間にその子に応じたサポートをしています。基本的には公文式の学習を中心に、総合的学習へと幅を広げるようにしています。学習は自立をバックアップする重要なものであると考えています。
●在籍生の心理的サポート体制
 共同生活ということで24時間対応していますが、夜の語らいや作業中の語らいでその子の心理的サポートをするようにしています。
●外部医療機関との連携
 健康面のバックアップとして近所の小児科の先生と連絡を密にしています。
●在籍生の保護者へのサポート体制
 各家庭事情に応じて定期的に相談を持つようにしています。その他、電話や会報などを通して柔軟にサポートするようにしています。







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