日本財団 図書館


■代表者に訊く
山本 隆昭さん
●NPO法人和みの里 翼塾代表
●団体の特徴
 現在のところ、和みの里は自然と健康をキーワードとするミニリゾート、現代の湯治場です。
 将来的にはシルバーモデルハウスを建設して、高齢者が自然と触れ合い、農作業や工芸、文芸などの趣味あるいは様々なスポーツを楽しんだりし、生き生きと暮らす高齢者の共同体を目指しています。そこに様々な職種の人が集まれば、自給自足度が高まり、健康度がそれに比例して向上するので医療費が大幅に下がるはずです。そうなれば、高齢者対策の一つの見本となる可能性があります。規模としてはスケールメリットを考えると、やはり最低100人くらいが欲しいです。土地はいくらでもあるし、自分は建築家なので家を建てることは問題ありません。
 このような共同体ができれば、いろいろなタイプの人がいる環境になるので、子供達はその人達のやることを見たり、聞いたり、触れ合ったりする中で、自然と元気になっていくものではないでしょうか。これが長い目で見た和みの里の未来像です。
 青少年の共同生活所としての和みの里のことを言えば、ここでは大人が子供にアドバイスをすることはありません。ほったらかしにしておきます。子供が自然と向き合い、自然に囲まれて生活すると、初めは退屈します。退屈すると、私がやっていることを見に来たりします。「おじさん、何やっているの」「小屋造りだよ。木を同じ長さに切っているんだ」「ふーん」「ちょっとやってみるかい」こうやって好奇心が芽生え、会話が始まります。このように自分から動き出すまで待ちたいですね。たとえば、夕方寒くなって子供が風呂に入りたいと言い出したとします。そうしたら、ここでは薪を使って湯を沸かすんだと説明して、マッチを渡します。ところがマッチで火を付ける経験をしたことのない子は簡単には火を起こすことができません。とうとう諦めてその日は風呂に入れずに寝てしまいます。次の日にまた風呂焚きに挑戦します。その時、原理原則を教え、大人の知恵を見せて、あとは本人にやらせます。あれこれ工夫するようになって、やっと火が点くと、嬉しそうに「火が点いたよ」って言いにきます。そしたら受け止めてやって、ここから本当のコミュニケーションが始まります。このプロセスがとても重要です。
 ところで、釜に薪をくべて火を燃やす体験には、不思議な魅力があります。男の子はみんな火を燃やすのが好きですね。何故なら火を操るのはサイエンスだから。このように自分で沸かした風呂に浸かりながら、何かを成し遂げた時の達成感や心地よさを実感する。以上はほんの一例ですが、このような体験の積み重ねで子供は立ち直っていくと思います。
 それから、社会に出ることを望んでいる子に対しては、経済的な自立を可能とするような職業選択の場を種々与えていくのがここの仕事です。一人ひとり向き不向きがありますから、様々なものを見せることが大切だと思います。
 ここでの生活で覚えていって欲しいのは、様々な創作活動や自然体験を積む中で、創意工夫を凝らすことが一つ、また演劇や芸能に興味を持ってくれたら嬉しいと思います。そしていかにして自己のプライドを美しく保つかということを感じとって欲しいと願っています。
●卒設の基準
 本人の意志、親の意志や都合、こちらの共同生活を通じての判断(考察と予測)を踏まえて、話し合いの中で決めてゆきます。本人の意志がはっきりしたらゴール、つまり卒設は近いと考えています。
●年代別目標
 [10代]前半:将来何になれるか、人生の可能性を感じてもらいたいです。後半:経済的自立です。[20代]経済的自立です(引きこもり対象)。[30代]人生プランの確立。志を見つける(引きこもり対象)。
●施設における自立の定義
 経済的自立のメドがついて、それに向けて取るべきステップを踏み出すことです。メドがついたときに夢や希望が出てくると思います。
●在籍生の就職状況とその支援体制
 経済的自立のための具体的な職業体験の場を提供したいと思っています。
●在籍生のアルバイトの可否・その状況と支援体制
 本人が望めばやって構いません。自分で稼ぐ実感を持たせることは良いことです。親からの小遣いを最低限にして自分で稼ぐことを覚えることは重要なことです。
●作業(有償/無償)の有無・その内容と状況
 公的な作業は無償で、就業に向けて目的性のあるものは有償にしています。また、年少で目的を達成することが無理なケースでは、親からの小遣いをある程度預かり、種々の行為の達成による評価でそれを与え、独立心を養わせる手法を考えています。
●教科学習の必要性とサポート体制
 学習希望の子供はボランティアスタッフのやっている塾へ通うことになります。
●在籍生の心理的サポート体制
 共同生活をする中で日々接しているので、子供の様子は良く分かります。何かあったときは、その場その場で対応しています。
●外部医療機関との連携
 仲間にそのような医療に関わる人がいるので、その人のお世話になることになります。
●在籍生の保護者へのサポート体制
 「子供のカルテ」と「親のカルテ」を作成し、どのように変わったかを「設計報告」することにしています。内容についてはスタッフの独断に陥らない様、和みの里翼塾サポート関係者の客観的チェックを受けるシステムとしています。ポイントとしては、自己と他者との関係、行動の分析です。
 
▼団体詳細
団体名称●NPO法人 和みの里 翼塾(ナゴミノサト ツバサジュク)
代表者名●山本 隆昭(ヤマモト タカアキ)
所在地●〒979−2511 福島県相馬市蒲庭字坂下236(カバニワアザサカシタ)
電話番号●0244−33−5325 FAX番号●0244−33−5325
URL●無し E−MAIL●nagominosato@mwb.biglobe.ne.jp
設立年度●1999年 在籍生平均在籍年数●1年
入寮生数●男・・・―人 女・・・―人(平均年齢・・・―) 入寮定員●男女合わせて7人
通所生数●男・・・― 女・・・―(平均年齢・・・―歳) 通所定員●男・・・―人 女・・・―人
年齢制限●有り(10歳から16歳) 性別制限●無し 相談業務●有り(5,000円/1h)
家庭訪問●有り(20,000円/1回) 親の会●有り(会員数80人) 会報発行●有り(年4回)
特記事項●入寮生数の定員は男女合わせて7人。年齢制限は原則として小学5年生から高校1年生まで。
スタッフ状況●日中・・・スタッフ2人が対応。今年からシルバーのためのデイサービスを始める予定で、その場合、スタッフが5名くらい必要となる見込み。夜間・・・スタッフ2名が対応。
スタッフ●正規・・・男1人・女1人/ボランティア・・・男―人・女―人/その他・・・男―人・女―人
 
▼通所費・入寮費
通所生●―
入寮生●月額負担金・・・小学生120,000円・中学生130,000円・高校生140,000円。
 
▼生活
日課スケジュール●(例)夏期[午前]6:30・・・起床/7:00・・・朝食。和みの里では、好みに応じて様々な体験ができるようになっているため、決まったスケジュールは用意していない。例、陶芸、染物、書道、木工作業、農作業など。これらをスタッフやボランティアの方々と共に行う。[午後]12:00・・・昼食/5:00・・・夕食/9:30・・・消灯。
週末・休日●土日は休日になっている。イベントがある場合は、寮生は任意でスタッフとして手伝います。
食事●地域で調達した旬のものを食材として用います。
清掃●里の中の環境美化は義務付けたい。その意味ではお寺と同じです。お坊さんの最大の仕事は掃除であって、お経を読むことではありません。
年間スケジュール●春夏秋冬、盆、正月と年に6回地域の行事を考えています。行事としてはパン釜作りなどの新しい設備作りとそのお披露目という組み合わせで行いたい。
メッセージ●自分たちにとって面白い事って何だろう、ということを考えてそれを実現する力を身につけよう!







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION