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瀬棚フォルケホイスコーレ
セタナフォルケホイスコーレ
 
代表者名●河村 正人[カワムラ マサト]
所在地●〒049−4827 北海道瀬棚郡瀬棚町共和925
電話番号●01378−7−2064 FAX番号●01378−7−2064
URL●無し E−mail●無し
 
北欧の「民衆大学」を手本に「生の自覚」を見出す
●報告―工藤 啓
[NPO法人青少年自立援助センター]
 
 函館駅からバスで3時間半のところに瀬棚町は位置しています。晴れ渡る空と透き通るような海、そして豊かな自然の中に瀬棚フォルケホイスコーレはありました。「フォルケの丘」と呼ばれる場所からの眺めは、北欧のイメージそのままです。緑に囲まれた山間に赤や青の色とりどりの家があり、牛や馬などが飼育されています。反対側に目を向けてみれば、そこに広がるのは田園地帯の向こうに真っ青な海。東京や地方都市では見られない風景が眼前に飛び込んできます。
 瀬棚フォルケホイスコーレの一日は牛の世話から始まります。牛舎の掃除、餌やり、牛乳搾りと楽ではない作業にも関わらず、みんな楽しそうに汗を流していました。早く起きて体を動かすことによって、朝食も美味しくいただける・・・これぞ人間らしいおおらかな生活という感じがしました。朝のミーティングでは、スタッフの異文化交流の話。みんな真剣な眼差しで聞き、たくさんの質問が飛び交いました。午後は各自作業を行います。その作業も多岐に渡り、それぞれが受け持ちの作業を一生懸命にやる、夕食が終われば夜がふけるまでスタッフや仲間たちと語り合う、という生活サイクルに、都会では見られないゆったりとした雰囲気を感じました。
 
「フォルケの丘」から眺める瀬棚フォルケホイスコーレの風景。まるでヨーロッパを思わせるようである。豊かな自然の中に立ち並ぶ色彩豊かな家々。これらはすべて瀬棚フォルケホイスコーレが所有している。
 
「フォルケの丘」から反対側を向けば遠くに海が見える。この自然の緑と空の青さは、日本であることすら忘れさせる。
 
牛を飼育している牛舎。世話は当番制で掃除の他に放牧や餌やり、牛の乳搾りなども行っている。
 
 真っ黒に日焼けした顔の塾生からは、こちらからの質問ごとにポジティブな回答をいただき、充実感と喜びに溢れた生活を送っている様子がうかがえました。これだけスタッフや塾生がのびのびと生活をしているのも、代表の河村氏の人柄にあると思います。お話をさせていただいたところ、スタッフや塾生が話してくれたように、優しさと包容力、それに青年のような純粋さを併せ持った方で、こんな大人もいるんだな、もう少し長く話したい、何かを吸収したいと感じました。
 ここではスタッフの家族も同じ場所で暮らしていることから、「大家族」の印象を受けました。また、近隣地域とのつながりも非常に強く、地域性が失われつつある現代日本社会において、このような場所で子供が大人に混じり、一つの大きな家族として共同生活を送れば、いきいきと「生の自覚」を持って育つのではないか、と思いました。
[調査日―2002.05]
 
現在は12頭のメス牛と2頭の子牛がいる。種付けをしてオスが生まれた場合には売却し、メスの場合には飼育する。
 
様々な野菜を栽培している。これはブルーベリー。他に白菜、菜っ葉、トマト、インゲン、アスパラガスなど。
 
陶芸小屋にある焼き釜。秋から冬にかけ町から職人の方にきてもらい陶芸教室を開く。
 
敷地内にはお年寄りのためのグループホームがある。中はしっかりとバリアフリーになっている。
 
昔は乗馬として活躍した「クリコ」(栗毛色なので)。今はペットとしてスタッフや塾生から慕われている。
 
月曜日と木曜日の朝に開かれる朝のミーティング。その日の担当者が自分の経験や発見をみんなに発表する。







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