参考
〜規格作成における高齢者、障害者のニーズヘの配慮ガイドライン〜
「ガイド71」7、8章
考慮ポイント 表1〜7(ガイド71より引用)
■表1:情報、表示、注意表示、警告における考慮ポイント
■表2:包装容器における考慮ポイント
■表3:素材(材質)における考慮ポイント
■表4:取付けにおける考慮ポイント
■表5:ユーザー・インタフェース(扱いやすさ、操作スイッチ、フィードバック)における考慮ポイント
■表6:整備、保管、廃棄における考慮ポイント
■表7:構築環境(建物等)における考慮ポイント
表1:情報、表示、注意表示、警告における考慮ポイント
良くデザインされた製品やサービスは、説明情報がなくても、その形状や状態から、使い方が分かるようになっており、また、説明情報に全く注意を払わない利用者も存在するが、特に危険の警告等の情報がある場合には、製品やサービスのすべての利用者に届くものでなければならない。ISO/IECガイド37-1995にも、この件に関する記載がある。高齢者や障害者の情報アクセスを最大限確保する方法は次による。
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心身の機能 |
9.2
感覚 |
9.3
身体 |
9.4
認知 |
9.5
アレルギー |
9.2.1 |
9.2.2 |
9.2.3 |
9.2.4 |
9.2.5 |
9.3.1 |
9.3.2 |
9.3.3 |
9.3.4 |
9.3.5 |
9.4.2/3 |
9.4.4 |
接触/食物/呼吸器系 |
視覚 |
聴覚 |
触覚 |
味覚と臭覚 |
平衡感覚 |
器用さ |
操作 |
移動 |
筋力 |
発声 |
知的能力と記憶 |
言葉と読み書き |
8.2 |
代替形式 |
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8.3 |
位置とレイアウト |
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8.4 |
照明とぎらつき |
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8.5 |
色とコントラスト |
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8.6 |
文字の大きさと形 |
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8.7 |
わかりやすい言葉 |
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8.8 |
図記号と絵記号 |
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8.9 |
音量と周波数 |
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8.10 |
抑えた速度 |
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8.11 |
識別しやすい形 |
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8.12 |
扱いやすさ |
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8.13 |
賞味期限表示(参考) |
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8.14 |
成分表示 |
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8.15 |
温度の警告 |
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8.16 |
アクセスルート |
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(共用品推進機構ホームページより) |
視覚障害者と聴覚障害者に対する情報提供のマニュアル化へ向けた課題は以下の通りである。
(1)利用者の意見を反映させ利便性を検証・改善するためのプロセスづくり
(2)利用者の障害特性に対応した情報の提供方法
(3)情報提供機器などに対する新技術の開発
(4)接遇等駅員の啓発および利用者に対する意識の啓発
(5)中小駅における対応
(1)利用者の意見を反映させ利便性を検証・改善するためのプロセスづくり
前項の接遇の対応においても利用者の意見を反映させるために、利用者の声を集約する仕組みを設けることを提案した。現状では各種マニュアルやガイドラインによる整備が行われているが、統一的に利用者の意見を反映させるためのプロセスをルール化して導入している事業者はない。基準やマニュアルは最低限と統一すべき項目と最低限の基準を示すものであるので、実際には個々の駅、車両ごとに具体的な設置方法・提供方法について利用者の意見を反映させることにより利便性を高めることが可能となる。
マニュアル化においても利用者の意見を参考に実際に仮設などを行い検証を行う必要がある。
(拡大画面:145KB) |
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図5-3 利用者の意見を反映させるためのプロセスのイメージ
(2)利用者の障害特性に対応した情報の提供方法
想定する利用者は様々な利用者を想定すべきである。視覚障害者においては全盲、弱視や盲導犬を同伴する場合など、聴覚障害者ではろうあ者、難聴者や同様に聴導犬を同伴する場合などを想定することとなるが、弱視や難聴者はそれぞれ視覚情報、音声情報の入手がある程度可能な場合もあり、視覚障害者だからと音声・音情報と触覚情報にのみ頼ることは情報提供の幅を狭めることとなるので避けるべきである。つまり、弱視者には視覚情報、難聴者には音声・音情報の活用も必要となるが、個々の障害レベルが異なることからガイドラインに想定すべき障害レベルを明らかにすることと様々な要素を含む可能性がある高齢者の障害レベルをどのように設定するか検討する必要がある。
(3)情報提供機器などに対する新技術の開発
携帯電話をはじめとする情報端末機器の活用が進んでいるが、現状では健常者も含めた全利用者がウェブサイトにアクセスして情報を入手している。しかし、緊急時においては緊急事態の発生がそもそも認知できないなどの問題があることからリアルタイムの文字情報が必要な利用者に対して必要な時期に提供するために情報技術を活用し、あらかじめ登録した利用者に対してリアルタイムな情報を提供できるシステムなどの開発が必要と考えられる。
また、視覚障害者に対しては上記の情報提供設備の音声による情報提供に加え、ITS技術の活用による誘導・警告情報の提供による経路誘導の開発が求められている。これらの情報提供設備の開発にあたっては利用者の行動様式、ニーズを反映させた提供場面、情報内容、提供方法の構築および他の情報提供手法との役割分担が望まれる。
(4)接遇等駅員の啓発および利用者に対する意識の啓発
車いす使用者や視覚障害者に対する対応方法の研修は多くの事業者の新人教育等で実施されているが、継続教育の実施や聴覚障害者等への対応などに課題があると考えられる。前項の接遇に関する項目で接遇に対する駅員等の研修の必要性を示したが、緊急時における対応方法など防災も含めた接遇方法を視野に入れておく必要がある。
さらに、緊急時においては情報提供設備だけでは限界があることから周囲の利用者の支援が必要になるが、現状では利用者に対する啓発は不十分であり周囲の支援は一様ではない。そのために、視覚障害者への対応方法や聴覚障害者の緊急時における情報入手の課題などを他の利用者に周知し、支援の実現のために啓発することが必要であると考えられる。
(5)中小駅における対応
本調査の対象は比較的大規模な駅が対象となったが、全国的に多く設置されている無人駅などの中小駅における対応は検討の範囲外とした。事業者のヒアリングでは無人駅がある場合においてほとんどの場合で視覚障害者や聴覚障害者への対応が行われている例は少ないのが現状であった。インターフォンが設置され管理駅への問い合わせ等が実施できる仕組みが取られている例が多いが聴覚障害者の利用は困難であり、視覚障害者もインターフォンの存在がわからないなど中小駅(夜間無人になる場合も含む)における課題は残されたままである。中小駅では情報提供に限らず様々な面で障害者の利用を制限することになりかねないため、その基本方針を構築する必要があると考えられる。
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