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平成14年度剣詩舞道大学
真撃に剣詩舞と取り組む姿に感銘
時:平成15年2月1日(土)〜2日(日) 場所:湘南国際村センター・国際会議場 主催:財団法人日本吟剣詩舞振興会
 
 平成十四年度の剣詩舞道大学が二月一日と二日、湘南国際村センターにおいて開催されました。参加した一三八名の受講生は、講師の一言一句を聞き逃すまいという気概をもって、真剣に課業と取り組んでいました。
 
開講式で学長あいさつを述べる河田神泉会長代行
 
開講にあたり、誓いの言葉を述べる受講生代表、榎本邦山さん
 
二月一日
 十二時三十分、湘南国際村センターに到着した一行は、はじめに矢萩保三事務局長から大学の意義を教えられました。その意義とは「指導者の人格と芸の向上」を目的とし、この目的達成のために、剣詩舞の基本的表現法と演技研修と意見交換の三つの課業から構成されているとのことでした。今回、参加者は一三八名(予定出席者一四〇名、欠席二名)で、初めての参加者が一二三 名、二回目の方が十五名でした。また、男性の参加者は二十三名で、女性の参加が目立った剣詩舞道大学でした。
 開講式では河田神泉財団会長代行が財団を代表して挨拶に立ち、それを受けて、榎本邦山さんが受講生を代表して、「誓いの言葉」を高らかに宣誓しました。
 一次限目の課業では「剣詩舞指導者への期待」と題して入倉昭星常任理事が講義にあたりました。内容は指導者に対するもので、(1)弟子が自分を越えていくこと(指導者は力のある者をつくり、決して足を引っ張ってはいけない。(2)常に挑戦する心をもつ(弟子よりも練習すること)。(3)他の芸術や芸事を見る。(4)プロ意識を持つ(アマチュア意識では弟子もついて来ない)。(5)心から感動する(良いものを見て感動する心が素晴らしい剣詩舞を生む)。などが語られました。
 
「剣詩舞指導者への期待」について講話される入倉昭星常任理事
 
 二次限目は河田神泉財団会長代行が「財団の基本姿勢と吟剣詩舞の振興について」を話されました。財団の基本姿勢では公的な全国組織の結成と拡充、吟剣詩舞人口の拡大と青少年の育成をあげられていました。振興のための実際活動では吟剣詩舞道憲章の制定や、芸術的向上のために各種研修会、コンクールの実施、月刊「吟剣詩舞」の発行などがあり、吟剣詩舞の地位向上のためには名流大会、武道館大会などの開催、また指導者の品位や芸の向上では夏季吟道大学や剣詩舞道大学などの開催を行なっている旨を話されました。
 三次限目は石川健次郎氏による「現代剣詩舞を考える」の講義が行なわれ、剣詩詩舞の歩みから現代剣詩舞へつづく道、剣詩舞の美学などが、わかりやすい語り口で話されました。多田正稔評議員の実演も交え、姿形の美しさなどを説明されていました。また、「春暁」を例にとり、漢詩の現代語訳による吟詠もあるのではないかという提案は、面白い話として聞くことができました。
 四次限目、日本舞踊家の藤間章作先生による「日舞の振り付けと詩心表現研究」では、先生自ら「曲江」を舞い、その振付について具体的に説明してくださり、受講生も大いに参考になったことだと思います。演舞の時は、受講生の皆さんが身を乗り出して、先生の踊りに見入っていました。
 夕食後、五次限目の課業は「剣詩舞の演技研究」で、実際に舞った振付を、剣舞と詩舞に分けて説明するものでした。「剣舞」を担当したのは、早淵鯉操評議員と田村天聖月参与、「詩舞」は杉浦容楓評議員と多田正稔評議員が説明にあたりました。また、剣舞では「和歌・返らじと」「赤壁」が、詩舞では「隈川雑詠」「和歌・春の夜の」が例題として取り上げられ、微に入り細にわたって振付の説明がなされました。
 
講義「現代剣詩舞を考える」で、石川健次郎講師(右)と、振付表現の実際を演技する多田正稔世話役
 
鈴木凱山世話役を講師に、剣舞実習指導。先生、生徒ともに“真剣”
 
二月二日
 午前九時から六次限目の課業「実習指導」が始まり、剣舞を鈴木凱山評議員が、詩舞を藤上南山評議員が指導にあたりました。受講者はA、B、C、Dのグループに分かれて指導を受けました。剣舞では抜刀や構え、斬り方、柄の見せ方、鞘の使い方、刃の研ぎ方などを、詩舞では一見無駄な動きに見えるが流れをつくる重要な動き方、間の作り方、扇子を刀に見たてた使い方などが紹介され、受講者の皆さんも真剣に習得していました。今後の演舞に必ずや役立つことでしょう。
 七次限目の課業、受講者指名演舞は、七地区連協から代表が各一名出て演ずるもので、剣舞では庄子輝泉さん(宮城)が「楠公を詠ず」、掛布篁宗さん(愛知)が「両英雄」、濱岡正茲さん(京都)が「暁に発す」を演じました。詩舞では八千穂尚史さん(北海道)が「常盤孤を抱くの図に題す」、今和泉馨琅さん(広島)が「春夜洛城に笛を聞く」、宮成支苑さん(愛媛)が「花を惜しむ」、桃山玉舟さん(熊本)が「弘道館に梅花を賞す」を舞いました。
 最後の八次限目の課業は意見交換で、「会員の減少を防ぐには」「子供たちに、わかりやすい剣詩舞を」から、「美しく見える動きとは」「扇子や化粧が派手になってはいないか」など、剣詩舞に関する広範囲な意見が出され、皆さんの剣詩舞に対する真摯な姿勢を知ることができました。
 閉講式では七地区連絡協議会の代表に修了証書が授与され、関根靖桜さん(北海道)が感謝の言葉を述べ、工藤龍堂常任理事の閉講の言葉によって一泊二日のカリキュラムも無事終了。受講生の皆さんは大きな成果をお土産に湘南国際村センターを後にしました。
 
「剣詩舞の振興をめぐって」受講者との意見交換会。壇上で質問に答え、アドバイスする世話役の諸先生
 
閉講式で、7地区を代表して修了証書を受ける受講生代表の皆さん







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