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今月の詩(4) 平成十五年度全国吟詠コンクール指定吟題から
【幼年・少年・青年の部】(絶句編)(4)
春日偶成 夏目漱石
《大意》家の庭の晩春の光景に対して閑寂な心境をのべたもの。俗世間の煩雑さの中でいたずらに老いてゆくことが嘆かれる、などといってはいけない。まあ、わが家の縁側からのこの春の風情はどうであろう。健康で素朴な自然の新鮮さがいっぱいにあふれているではないか。竹も勢いよく伸び、深々と茂っており、鴬があちこち鳴くのが聞こえてくる。どれ、ゴロリと横になって、このもったいないほど閑雅な真昼間、鴬の声を聞きながら春の情趣を味わおう。
 
【一般一部・二部・三部】(絶句編)(4)
寒梅 新島襄
《大意》寒中に咲く梅を真の先覚的指導者にたとえた詠物詩。庭さきの一本の早咲きの梅が、平気で風や雪にもめげずに咲いたことだ。まるで微笑むかのようである。一番咲きを競おうとしたのでもなく、無理に努力したのでもない。自然にあらゆる花のさきがけとなってしまったのである(まことに謙虚な姿である。人もこうありたいものだ)。
(解説など詳細は財団発行「吟剣詩舞道漢詩集」をご覧ください)







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