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編集後記
「去年今夜の清涼に待す」とは、菅原道真公の『九月十日』の起句ですが、この翌日にあたる去年の九月十一日、私は同時多発テロ事件勃発のニューヨーク、J・Fケネディ空港そばのホテルに足止めされていました。その夜は同行のブラジル吟剣詩舞道代表団の皆さんと大広間で雑魚寝することになりましたが、これに比べ、今年の九月十一日はNHKテレビ放送のロケ地となった箱根仙石原温泉で出演者の皆さんと快適に過ごしていましたから、その違いは歴然です。その日は、この一年間を無事に過ごして来られたことに心から感謝する一日でした。
九月十一日は同時多発テロ事件から一年目ということから、テレビでも多くの特集番組が放送されていました。翌、十二日の小泉首相のメールマガジンにもこれが取り上げられていました。そこには廃墟と化し、ぽっかりと大きな穴をあけた世界貿易センタービル跡地をアメリカでは「グラウンドゼロ」と呼んでいることが載っていました。グラウンドゼロは「爆心地」という意味です。日本で爆心地といえば広島、長崎の原爆投下地のことを思いうかべますが、同じことばが使われていることに驚きました。
財団事務所がある海洋船舶ビル前の大通りを挟んで二十六階建の高層ビルが建つことになり、その建築が急ピッチで進んでいます。現在は十階建の旧ビルが取り壊され大きな穴が開いた状態になっています。事務所の窓からこれを見るたびに「グラウンドゼロ」のことばを思い出します。
(矢萩保三)
 
 
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