【調査の概要】
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背景
本調査は、円借款で実施中のコロンボ国際空港改良事業の実施に際して、今後増加する空港利用客に対応するためには、必要な空港施設の拡張・改良のみでなく、アクセスの改善も必要であるとして、空港の事業主体であるスリランカ空港公団(AASL)より検討要請があったものである。AASLの要請を受け、空港アクセス改善のため事前調査を実施し、経済効果及び環境改善効果の面から現空港ターミナルの約1km西まで達している既存鉄道を改良することによる、空港アクセス鉄道整備による改善策が有力であるとの結論に至った。スリランカ国政府及び関係機関(運輸・道路・航空省《MOTHA》、空港公団、国鉄《SLR》)は協力して事業を推進する協力体制が整いつつあり、事業実現に向けて協力を求められ、鉄道による空港アクセスに焦点を絞った調査として、JTCA案件形成事業により実施することとなった。
調査事項
調査事項として事業スコープの確定、事業主体の確認ならびに対象路線を利用する旅客の概算需要の確認等を行った。
1. 事業スコープの確定:調査により、プロジェクト実施の物理的可能性は十分あり、大幅な用地買収、移転の支障等はなく、このことを含む大きな環境問題の発生はないことを確認した。
2. 事業主体の確認:事業主体の候補として空港公団、MOTHA、および政府系別組織のいずれかが考えられるが、本調査でMOTHAの意向を確認したところ、事業実施については前向きに検討しており、関係機関間の協議が開始された。
3. 概算需要の確認:前回実施した需要予測の精度向上のために想定される鉄道利用者、(1)空港利用者、(2)カトゥナヤケ工業団地の通勤者、(3)ラガマ駅−コロンボフォート間の乗客、の3グループの乗客を対象に意識調査を実施した。調査結果と前回の需要予測を精査したところ、(1)、(2)および(3)ともコロンボフォート駅のアクセス、イグレスがシャトルバス、送迎バスの運行などにより改善された場合、他の交通機関から鉄道(コロンボエクスプレス)への転換が増加すると考えられる。
問題点
調査団はMOTHAでの合同会議の席上、MOTHA次官および出席関係機関に対し、このプロジェクトの実施には事業主体を明確にし、事業実施時および工事完了後の鉄道運営時における事業に関係する政府機関の責任範囲・役割分担を決めることが重要であることを説明したところ、MOTHA関係者はこれらの取り決めを重点課題として認識した。
需要予測では本事業の対象路線に競合するカトゥナヤケ〜コロンボ高速道路の完成を考慮していないため、FSで需要予測を精査する必要がある。
今後の見通し
今後FSを実施する際には、需要及び需要に見合うサービス内容の想定、ならびにプロジェクトを実施する体制・制度の確立というソフト面の調査検討、提案に重点を置くべきであると判断される。
コロンボ方面に向かい朝の通勤客(ジャエラ駅)
プタラム線、朝の通勤列車内状況
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