【調査の概要】 中量輸送軌道交通システム建設計画
背景
フィリピン国バギオ市及びその周辺都市圏は人口約60万人を有し、国内最大の避暑地、高原型リゾート地でもあり、7つの大学を有する学園都市でもある。しかしながら山岳地域であるため、効率的な道路網の形成は困難である。現在同地区中心部と近隣のトリニダッドを連結するのは、一本の道路のみに依存しているため、交通が集中し激しい渋滞となっている。この交通渋滞を緩和する方策の一つとして、中量輸送軌道交通の導入・検討が緊急の課題となっている。
また、フィリピン観光省(Department of Tourism)は本地域をエコツーリズム地域と位置付け、開発計画を策定している。これは環境保全対策に配慮した観光開発計画を策定するとともに、高原野菜の活用等を考慮した雇用の促進と所得の向上を図った持続的な開発計画を策定している。さらに、地域住民の足としてロープウェーの導入についても観光省は強く要望している。
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フィリピン全図
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調査事項
対象となる路線は(1)バギオ〜トリニダッド間(約6km)、(2)アグノ川流域:エコツーリズム地域となるアングラオダム〜サンロケダム間(約50km)であり、その導入の可能性について現地調査を行い、中量輸送軌道交通システム導入に係る可能性の検討やその他有効な対策について提案を行った。
問題点、今後の見通し等
バギオ市及びコルディレラ地域は中長期開発計画の中で、道路以外の軌道交通の必要性が指摘されているがフィージビリティー調査は実施されていない。
1本の道路に交通が集中し深刻な渋滞状況となっており、中量交通システムの導入を始めとする何らかの渋滞解消策を早急に講じる必要がある。
現在のバギオヘの観光客は約100万人、学園都市であり学生の需要等を考慮してもLRT等の導入は時期尚早の感がある。初期投資額が低く、将来の需要に対応した交通機関としてバギオ〜トリニダッド間にサンフランシスコ型ケーブルカーの導入が検討に値する。
エコツーリズム地域のロープウェー導入に関しては観光・開発計画の進捗に合わせ、段階的な開発を考慮し実践することが必要である。
バギオ市内
アムブクラオダム湖
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