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資料6
プレジャーヨットMorning Dew号沈没事故
概要(Summary)
 本件は、1997年12月29日早朝、長さ34フィートの、補助エンジン付きプレジャーヨットMorning Dewが、米国南東部に位置するサウスカロライナ州のチャールストン港において、捨石で築造された南・北両防波堤間の入出航水路を航行中、北側の防波堤に衝突し、沈没した事故である。
 本船は、その後同防波堤の南約14メートル、水深4メートルばかりのところに沈んでいるのが見つかり、ヨットの所有者兼操船者及び3人の船客は、同一家族であったが、全員死亡が確認された。
 ところで、本船は、1978年に建造されたスループ型(Fore-and-aft rigged boat with one mast and a single jib)帆船で、船体は強化プラスティク製の一体型でできており、Deck-stepped Mast、Fin Keel及びCounter-balanced Rudderを備え、Cabinは6人を収容でき、また、ストーブや冷蔵庫を備えており、Cockpitは、船尾にPedestal-type Steering Standを設置して設けられていた。
 また、航海機器としては、VHF-FM marine radio、測深器、速力計、Magnetic compass及びAutopilotを備えていたが、本船の前船舶所有者によれば、Autopilotは、売船時作動不良であったという。
 更に、救命具(Personal Floatation Devices, PFD)としては、4個のHorseshoe-shaped Lifesaving Buoyと1個のSeat Cushionを持っていたという。
 本船の本件に係わる航行経路等については確認されていないが、ジョージタウンにおける本船についての目撃者や操船者が同地からジャクソンビルにいる義姉へ掛けた電話連絡あるいは操船者がチャールストンで購入したジャクソンビルまでの内陸水路図等から、定係地のチャールストン港から内陸水路(Intracoastal Waterway, ICW)に沿って機動でジョージタウン港に向かい、そこから義姉がいるジャクソンビル港(フロリダ州)に向かう途中、たまたまジョージタウン港南方のWinyah Bayで内陸水路に入るのをミスしたのか、同水路を航行することなく、Ocean Voyageのための十分な準備も装備もしないまま外洋(Open Ocean)に出たため、操船者は、自分の位置を正確に把握する判断力や能力が著しく低下するほどに疲労困憊し、また、低体温状態に陥ったものと思われるとし、NTSBは、本件発生の推定原因(Probable Cause)を操船者の外洋航行についての判断ミスとしている。
 なお、当時、操船者は、出航後の航行時間が約13時間で、そのうち海上の航行時間は9時間であったと推定されている。
 また、本件は、遭難信号を受信したUSCGの監視員(Communications Watchstander)や救助要請があった旨の報告を受けたUSCGの運航当直士官(Operations Duty Officer)の対応の拙さが指摘されている。
 
Figure 1. Sailing vessel Morning Dew before it was acquired by the accident owner
 
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Figure 2. Intended Route of Morning Dew







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