◆海上交通を支える「海の道」〜本渡瀬戸航路〜
本渡瀬戸航路は、天草諸島の上島と下島の間の狭隘な海峡で、有明海と八代海の間を延長約5kmで結んでいます。古くから、長崎県や天草北岸から八代沿岸や鹿児島県への海上交通路として重要な役割を果たしてきましたが、最浅部においては干潮時には歩行も可能な水深であったことから、航路として常時利用できませんでした。そのため、昭和29年度から国直轄事業において航路開削を行い、昭和55年に水深マイナス4.5m、幅員50mの航路として整備を完了しました。
昭和56年度からは、国直轄により監視パトロールや測量等の保全管理業務を実施しており、700トン級の貨物船まで航行できる航路として、現在、年間約40000隻の船舶が通行しています。
本渡瀬戸航路
〜海の道を守る−護岸改良事業−〜
狭隘な海峡である本渡瀬戸航路は、両岸の護岸との間が狭く、船舶の航行に伴う航跡波が護岸によって反射され、その波が船舶の操船を困難にしています。こうした状況に対し、昭和62年度より既設護岸を消波タイプの護岸に改良する工事を実施しており、船舶がより安全に航行できるよう整備を進めています。
◆自然に包まれた空の玄関口〜熊本空港〜
熊本空港は、熊本市の中心部から東へ17km、標高193mの高遊原台地に位置する自然に包まれた空港です。昭和46年4月、第2種空港としては日本で最初の2500mの滑走路を有する空港として開港し、以来、昭和54年にジャンボ機の就航、昭和55年4月には3000mの滑走路を有する大型空港として供用を開始しました。
熊本空港
現在、年間利用者数は約272万人を数え、熊本の空の玄関口として重要な役割を果たしています。
〜天候に左右されない空港へ〜
熊本空港は、自然環境の豊かさでは全国でも有数の空港である反面、高台にあるため霧が発生しやすいという気象条件があります。そのため、日本で初めて熊本空港に導入されたのが計器着陸装置「カテゴリーIIIa」です。「カテゴリー」とは、航空機の性能とそれに応じた計器着陸装置の運用上のランクであり、そのグレードが高くなるにつれ航空機をより滑走路近くまで誘導できることになりますが、高ランクである「カテゴリーIIIa」の導入によって、熊本空港では、霧などの気象条件による欠航はほとんどクリアされ、航空機の安全性と定時性が確保されました。
◆豊かな海洋環境の創造を目指して〜海洋環境整備事業〜
平成12年の海苔の記録的な不作を契機に、閉鎖性海域である有明・八代海の環境悪化に対する不安と環境改善を求める声は日増しに高まっています。こうした声に応えるために、当事務所では平成14年度より新たな事業として海洋環境整備事業に着手するとともに、「干潟や海底の耕転」、「浚渫土を利用した干潟の再生」などの様々な方策の検討も行っています。
〜海をキレイにする新造船−環境整備船−〜
環境整備船イメージ
海上に浮遊するゴミや油への対策を始めとして、地元自治体や漁業関係者の方々からは海洋環境改善を求める要望が出されています。現在、こうしたゴミや油の回収機能に加え、水質や海底の底質などの調査機能を備えた「環境整備船」が建造されており、平成15年秋に熊本港に配備される予定となっています。
−地域との更なる連携を目指して−
熊本港湾空港工事事務所は、昭和23年に前身の「八代港工事事務所」として、当時開発の進む八代港に開設されました。以来、熊本県下の港湾・空港の整備に携わる事務所として、地域の要請に応える事業を進めています。今年度からは、海洋環境の改善という新たな事業も加わり、これまで以上に当事務所の担うべき役割は大きくなっていますが、今後は更に地域の皆様方のご理解を得ながら、使いやすくニーズに合った港湾・空港づくりを進めていきます。
|