2003/04/18 産経新聞朝刊
【社説検証】イラク戦争 読売新聞 「北の脅威」には米国との同盟が大事
<<小泉首相の決断を支持する>>
ブッシュ大統領の最後通告について、小泉首相は「やむを得ない決断だ」としたうえで、「米国などが武力行使に踏み切った場合は支持する」と表明した。首相の明確な決断を支持したい。
首相は「日米同盟の重要性をわきまえ国際協調を図る。日米関係の信頼性を損なうことは、国家利益に反する」と強調した。国益の観点から日米同盟優先を打ち出したのは当然である。(3月19日)
<<イラク戦争の早期終結を望む>>
イラク戦争が始まった。イラクと米英軍などの双方に多くの犠牲が出ることが予想される。極めて残念な事態だ。
だが、やむを得ない。一日も早く戦闘が終わり、平和が戻ることを切望する。
フセイン政権は、一刻も早く降伏すべきだ。
今回の武力攻撃は、フセイン政権が湾岸戦争から今日までの十二年間、再三にわたって国連決議を無視し、国際社会を欺き続けたことの帰結である。
四十か国以上が、今回の米国の行動を支持している。米国が国際社会で孤立しているわけではない。
日本にとって、核開発を進める北朝鮮の脅威は強まりつつある。ソ連の崩壊で周囲に脅威となる国がなくなった仏独などとは、安全保障環境が全く異なる。「戦争はイヤ」といった感情論で日本の進むべき道を選択すれば国を誤る。
非がイラクにあることと併せ、日本の安全保障にとって米国との同盟が死活的重要性を持っていることを踏まえた対応でなければならない。
まず日米同盟を一層強化した上で、国際協調の再構築に全力を挙げる。国益の観点からは、それこそが、日本が基本とすべき対外戦略である。(3月21日)
<<自衛隊の活用に意義がある>>
イラクの戦後復興のため、積極的に協力していかなければならない・・・。
人的協力、資金協力等々、様々な形態が考えられるだろう。とりわけ、大きな役割を期待されているのが自衛隊だ。
有識者で作る「対外関係タスクフォース」は、昨秋の小泉首相に対する提言で国連決議の有無にかかわらず、自衛隊の医療部隊など、非戦闘部隊の派遣を検討するように求めた。そのような枠組みを作り上げて初めて、国際的な責任を果たす体制が整うことを銘記すべきだ。(4月6日)
<<正しかった米英の歴史的決断>>
長期にわたる圧政から解き放たれた人々の様子からも、米英の選択が正しかったことが証明された、と言えるだろう。イラク戦争について、まずその点を確認しておく必要がある。
湾岸戦争以降の十二年間、フセイン政権は、国連決議を無視し、あるいは小出しの協力ポーズで乗り切ろうとするなど、大量破壊兵器放棄を明確にしなかった。米英が、武力行使に踏み切ったことは、勇気ある決断だった。
バグダッドでは、本格的な市街戦も起きなかった。しかも、三週間という短期間で大勢が決着したことで、人的犠牲は最小限に抑えられた。
米英の勝利は、開戦前に米国支持を鮮明にした日本政府の対応が正しかったことも裏付けた。
小泉首相は、「国連決議を無視し続けたイラクに非がある」との立場から、米国の武力攻撃支持を決断した。
開戦直後の記者会見では、「米国は、日本への攻撃は米国への攻撃とみなす、と言っているただ一つの国だ。それが大きな抑止力になっていることを忘れてはならない」とも強調した。
北朝鮮は、日本を射程におさめる弾道ミサイルを配備済みだ。日本の安全保障上頼りになるのは、国連などではなく、同盟国の米国しかない。
フセイン政権の崩壊は、国際社会の平和維持において、米国の役割がいかに大きいかを浮き彫りにした。同時に、日本の安全保障にとって、米国との同盟が極めて大事であることも示した。(4月11日)
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