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2003/04/05 産経新聞朝刊
イラク戦争 米英軍、空港制圧 開戦後最大級の戦果 補給、増援の基地確保
■米英軍「政権首脳の逃亡阻止」
 米軍がバグダッド近郊のサダム国際空港を確保したことは、米英軍にとって開戦後最大級の戦果といえるものになった。米英側は早ければ週末中にも補給拠点などとして同空港の利用を開始する方針とみられるほか、空港制圧によってフセイン大統領らイラク政権首脳の逃亡を防ぐ効果も強調している。
 サダム国際空港は延長約三千九百メートルの民間機用滑走路に加え、同約二千四百メートルの軍用機用滑走路がある大規模空港で、巨大旅客ターミナルや堅固な軍用機の格納庫なども備えている。フセイン政権の権力の象徴ともされてきた同空港がほぼ一夜で陥落したことで、イラク側が受けた心理的な衝撃も大きいとみられる。
 滑走路は二本とも問題なく利用できる状態にあり、三日夜からの攻撃でも、滑走路自体は空爆、地上攻撃とも標的から外された。米英側が早期に同空港を活用する意図をもっていることは明らかで、米CNNテレビは米軍が空港を完全制圧した後、周辺の対空砲火などを破壊したうえで三十六時間以内にも使用を開始する計画だと伝えている。
 首都に近接する国際空港を使えば、米英軍前線部隊への補給や増援、さらには周辺住民への人道物資輸送などが容易になる。また、米軍事シンクタンクのグローバルセキュリティーが「(空港は)バグダッドに隣接する巨大な空間で、米軍部隊が再集結し、包囲態勢を整えるのに格好な場所になる」と指摘するように、首都包囲を急ぐ地上部隊の拠点としても使われる見通しだ。
 また、米中央軍のブルックス准将は四日の会見で、国際空港制圧の意義として「政権首脳が(バグダッドから)逃亡することを防止できる」と指摘。空港制圧が、フセイン大統領らをバグダッド市内へ封じ込めたまま無力化を図る戦略の一環としての側面ももつことを明らかにしている。
(土井達士)
 
 
 
 
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