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3 第1項の規定により備える非常電源(限定近海貨物船に備えるものを除く。)は、船舶の推進に関係のある機関を30分以内に始動させるために十分な容量を有するものでなければならない。ただし、非常電源から給電されない場合においても船舶の推進に関係のある機関を30分以内に始動させる措置が講じられている場合は、この限りでない。
4 第1項の規定により備える非常電源は、第2項第一号に掲げる設備並びに同項第二号に掲げる設備のうち前条第2項第一号及び第二十八号に掲げるもの以外のものに対しては18時間(前条第2項第三十一号に掲げるものに対しては管海官庁が指示する時間)、第2項第二号に掲げる設備のうち前条第2項第一号に掲げるものに対しては3時間、同項第二十八号に掲げるものに対しては第百四十二条第二号に規定する時間、第2項第三号に掲げる設備に対しては30分間以上(内航ロールオン・ロールオフ旅客船にあっては、前条第2項第二号及び第三号に掲げる設備に対しては12時間以上)給電することができるものでなければならない。ただし、管海官庁が当該船舶の航海の態様等を考慮して差し支えないと認める場合は、その指示する時間によることができる。
5 第1項の規定により備える非常電源(同項第2号に掲げるものにあっては、前条第1項第二号ロに掲げる要件にも適合するものに限る。)は、主電源からの給電が停止したとき自動的に非常配電盤に接続し、かつ、第2項第二号に掲げる設備のうち前条第2項第一号から第十三号まで(旅客船以外の船舶にあっては、第二号を除く。)及び第十五号に掲げるもの並びに第2項第三号に掲げる設備(限定近海貨物船にあっては、前条第2項第一号、第三号、第四号、第十一号から第十三号まで及び第十五号に掲げる設備)(内航ロールオン・ロールオフ旅客船にあっては、前条第2項第二号及び第三号に掲げる設備)に対して自動的に給電できるものでなければならない。この場合において、当該非常電源が蓄電池であるときは、当該設備に対して直ちに給電を開始することができるものでなければならない。
6 非常電源と独立した蓄電池であって管海官庁が適当と認めるものを備える船舶の非常電源には、当該蓄電池から給電される設備(第2項第二号に掲げる設備のうち前条第2項第十号から第十三号まで及び第十五号から第二十三号までに掲げるものに限る。)への給電に関する第2項から前項までの規定は、適用しない。
(注)(1)「外洋航行船」とは次の船舶をいう。
(1)
国際航海に従事する旅客船
(2)
国際航海に従事しない旅客船であって近海区域又は遠洋区域を航行区域とするもの。
(3)
国際航海に従事する総トン数500トン以上の非旅客船(漁船を除く。)
(4)
国際航海に従事しない総トン数500トン以上の非旅客船であって、近海区域又は遠洋区域を航行区域とするもの。
(2)
「限定近海貨物船」*とは次の船舶をいう。
 
国際航海に従事しない船舶(旅客船を除く。)であって近海区域を航行区域とするもののうち告示で定める本邦の周辺の区域のみを航行するものをいう。
(3)
「ロールオン・ロールオフ旅客船」とは次の船舶をいう。
ロールオン・ロールオフ貨物区域(船舶防火構造規則(昭和55年運輸省令第11号)第二条第十七号の2のロールオン・ロールオフ貨物区域をいう。)又は車両区域(同第十八号の車両区域をいう。)を有する旅客船をいう。
(4)
「内航ロールオン・ロールオフ旅客船」とは次の船舶をいう。
国際航海に従事しないロールオン・ロールオフ旅客船であって沿海区域又は平水区域を航行区域とする総トン数 1,000トン以上のものをいう。
旅客フェリーは、ロールオン・ロールオフ旅客船に該当する。
(関連規則)
船舶検査心得 3−1
300.2(a)「当該設備のうち管海官庁が指定するものを同時に作動させるために十分な容量を有するもの」とは、非常電源の電力が、非常の際に安全を確保するために不可欠な負荷に対し、同時に作動することを考慮して十分な容量を有することをいう。
 各号に掲げる設備は、原則としてすべて同時に作動するものとするが、非常照明設備等連続して給電されるものを除き、各設備の作動形態等を考慮して所要電力量を算定して差し支えない。また、航行中の船舶が掲げなければならない船灯及び航海設備については、考慮することを要しない。
300.3(a)299.3(a)は本項の非常電源について準用する。
300.4(a)非常電源の容量は、始動電流及び負荷の過渡特性を考慮し、次の表に掲げる時間給電できるものであること。
 
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注1:
「船灯(航行中に掲げるもの)」とは、船灯のうち海上衝突予防法の規定により航行中の船舶が掲げなければならない船灯をいう。
注2:
信号灯、汽笛、第297条の警報装置及び手動火災警報装置にあっては、連続で30分とする。
 
(b)沿海区域又は平水区域を航行区域とする内航ロールオン・ロールオフ旅客船であって、航行予定時間の短いものについては、12時間を適宜しん酌して差し支えない。
 
第三百条の二 前二条の規定により船舶に備える非常電源が発電機であって、船舶消防設備規則第十六条の固定式加圧水噴霧装置のポンプに給電する場合には、当該発電機は、当該ポンプの主動力源が故障した場合に自動的に作動して十分に給電することができるものでなければならない。
 
非常電源(第299〜300条の2)
 
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備考:非常電源は、次の容量を有するものでなければならない。
(1)
上表の設備を同時に作動させるために十分な容量。
(2)
船舶の推進に関係のある機関を30分以内に始動させるために十分な容量。
(主推進機関(複数の場合は、いずれか)、主発電機、主ボイラを30分以内に運転状態に入れるようにする。手動により、空気圧縮機を作動させ、又は非常用の空気圧縮機を作動させることによりこれらを30分以内に運転状態に入れるようにしてもよい。)
(3)
船舶消防設備規則第16条の固定式加圧水噴霧装置のポンプに給電する場合には、当該ポンプの主動力源が故障した場合に自動的に作動して十分に給電できるものでなければならない。
 なお、(2)については、限定近海貨物船に備えるものを除き、また、非常電源から給電されない場合においても船舶の推進に関係ある機関を30分以内に始動される措置が講じられている場合は、この限りでない。
注0:
*印は、非常電源から自動給電を必要とする設備であることを示す。
注1:
短期間の航海に定期的に従事する船舶にあっては、36時間の給電時間は、申請により、12時間まで軽減される場合もある(上表の(1)の設備を除く。)。
注2:
「a」「b」の意味は、次のとおりである。
a:「b」以外のもの。
b:短期間の航海に定期的に従事する船舶。
注3:
現在わが国でこの欄の適用を受ける漁船は存在しない。
注4:
「救命艇、救命いかだ積付場所及び進水する水面等の照明装置」は、船舶救命設備規則第87条第13号(救命艇、救命艇揚おろし装置及び進水する水面を照明する装置)並びに第90条第1項第7号(救命いかだの積付場所を照明する装置)及び8号(救命いかだ進水装置及び進水する水面を照明する装置)をいう。
注5:
「非常標識」については、旅客船に限る。
注6:
A1水域のみ(湖川を含む)を航行する船舶は、非常電源から給電することを要しない。
注7:
A2水域及びA1水域のみ(湖川を含む)を航行する船舶は、非常電源から給電することを要しない。
注8:
予備の無線設備の(1)〜(4)については、(5)〜(8)の無線設備と同時に給電される必要はない。
注9:
「退船警報装置」は、船舶設備規程第 二百九十七条により備え付けるもので、非常の際に乗船者に指示を与えるための汽笛、サイレン、補完用の警報装置及び拡声器(電気式のものに限る)をいう。
注10:
「防火戸閉鎖装置」は、船舶防火構造規則第22条の機関区域の防火措置のための防火戸閉鎖装置をいう。
注11:
総トン数5,000トン未満の船舶に備える航海用レーダーについては、3時間でよい。
注12:
総トン数5,000トン未満の船舶に備える(17)〜(23-2)の設備については、0時間でよい。
注13:
「舵角指示器」は、船舶設備規程第 146条の43の舵角指示器をいう。なお、同規程第142条第1号に掲げる操舵機室に備える動力源から給電する場合、除外できる。
総トン数5,000トン未満の船舶にあっては0分、総トン数10,000トン未満の船舶にあっては10分間である。
注14:
「表示器」は、船舶設備規程第146条の43のプロペラの回転数及び回転方向(可変ピッチプロペラにあってはピッチ)を表示する表示器、及びサイドスラスターの運転状態を表示する表示器をいう。
総トン数5,000トン未満の船舶にあっては0時間である。
注15:
「消火ポンプ」は、電気式の非常消火ポンプ又は主電源を設置した場所の火災からの影響を受けない電気式のものに限る。
注16:
船舶設備規程第288条に規定されている「水中型電動ビルジポンプ」をいう。
注17:
「ビルジ管の制御に必要なコック又は弁の操作のための電気設備」は、船舶区画規程第90条第3項に規定されているものをいう。
注18:
総トン数10,000トン未満の船舶については、10分間である。
注19:
「水密戸開閉装置、警報装置及び指示器」は、船舶設備規程第287条第1項に規定されている電気式のものをいう。なお、操作については逐次操作が認められている。
注20:
「水密戸開閉装置及び指示器」は、船舶設備規程第287条第2項に規定されている電気式のものをいう。操作については逐次操作が認められている。
注21:
エレベーターの運転については、逐次操作が認められている。
注22:
「その他管海官庁が必要と認める設備」は、(9)(3)を有効に作動させるための専用のジャイロコンパスをいう。
注23:
「限定近海貨物船」は、国際航海に従事しない船舶(旅客船を除く。)であって近海区域を航行区域とするもののうち告示で定められている本邦の周辺のみを航行するものをいう。
 

*:GMDSS設備編P33の「限定近海貨物船航行区域図」参照。







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