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第3章 設備
 
(衛星航法装置)
第5条 衛星航法装置は、次に掲げる要件に適合するものでなければならない。
(1)自船の位置の測定のために適当な人工衛星の発射する電波をGPS受信機により有効に受信し、かつ、自動的に自船の位置を測定できるものであること。
(2)自船の位置の測定に係る演算処理を管海官庁が適当と認める速さで行うことができるものであること。
(3)ディファレンシャル方式による位置誤差を補正する信号を入力することでき、かつ、当該信号を入力した場合において第1号の測定した自船の位置を補正することができるものであること。
(4)次に掲げる事項を見やすい方法により表示できるものであること。
   イ. 測定した自船の位置(1000分の1分を単位とする緯度及び経度による表示)
   ロ. イに係る測定の時刻
   ハ. 測定機能の不良が生じた場合において、その旨並びに測定機能の不良が生じる直前に測定した自船の位置及び当該位置に係る測定の時刻
   ニ. ディファレンシャル方式による補正を行う場合において、位置誤差を補正する信号が入力されていること及び測定した自船の位置が補正されていること
(5)測定した自船の位置を航海用レーダーその他の航海用具に伝達する信号を出力することができるものであること。
(6)空中線回路及び信号の入出力端子が短絡又は接地した場合においても損傷を受けないような措置が講じられているものであること。
(7)船舶設備規程(昭和9年逓信省令第6号)第146条の10の3第6号、第146条の13第2項第1号から第4号まで及び第6号並びに第146条の17第2号及び第3号並びに第146条の19第6号に掲げる要件
 
(関連規則)
船舶検査心得
5.0 (衛星航法装置)
(a)第1号の「自船の位置」を世界測位座標系により演算し、使用する航海用海図に変換することができる場合は、その旨及び表示する測地系を表示することができること。
(b)第1号の「適当な人工衛星」とは、GPS宇宙部が構成する24の衛星のうち自船の位置の測定のために用いることができる衛星をいう。
(c)第1号の「有効に受信」するとは、次に掲げる要件に適合することをいう。
   (1) 少なくとも1575.42MHz±1MHzの信号を受信することができること。
   (2) C/Aコードを受信することができること。
   (3) 50Knot以内の船速において信号を受信することができること。
   (4) −130dBmから−120dBmのレベルの信号を測位可能な感度で受信できること。−133dBm以上の信号を受信している間は、連続して信号を受信することができること。
   (5) 空中線は衛星の配置を見渡せることができる船上の適切な位置に設置すること。
(d)第2号の「管海官庁が適当と認める速さで行う」とは、次に掲げる状況に応じ、それぞれ次に掲げる時間内に測位できることをいう。
   (1) 有効な軌道情報がない状態で最初に測位する場合 30分
   (2) 有効な軌道情報がある状態で最初に測位する場合 5分
   (3) 電力を供給したまま、GPS信号が24時間妨害された後に最初に測位する場合 5分
   (4) 1分間の電力断の後に最初に測位する場合 2分
   (5) 連続して測位している場合 2秒
(e)第4号ハの「測定機能の不良が生じた場合」とは、次に掲げる場合をいう。
   (1) 位置精度劣化係数(HDOP)が4を超える場合
(2) 2秒以内に新しい位置が測定されない場合
 
(自動衝突予防援助装置)
第5条の2 自動衝突予防援助装置は、船舶設備規程第 146条の17各号に掲げる要件に適合するものでなければならない。
(関連規則)
船舶検査心得
5−2.0 (自動衝突予防援助装置)
(a)総トン数10,000トン以上の船舶については、船舶設備規程等の一部を改正する省令(昭和59年8月30日運輸省令第29号)附則第2条第14項の規定によることとして差し支えない。
(b)総トン数10,000トン未満の船舶に備える自動衝突予防援助装置であって昭和61年4月1日に現に備え付けられていたものについては、これを引き続き当該船舶に備え付ける場合に限り、本条の規定は適用しなくて差し支えない。
 
(自動操だ装置)
第6条 自動操だ装置は、次に掲げる要件に適合するものでなければならない。
(1)磁気コンパス又はジャイロコンパスと連動することによりあらかじめ設定された船舶の針路を自動的に保持できるものであること。
(2)手動操だから自動操だに切り換えた場合において船舶をあらかじめ設定した針路に合わせることができるものであること。
(3)船橋において自動操だ又は手動操だに切り換えることができるものであること。
(4)操作を容易に、かつ、確実に行うことができるものであること。
(5)針路を設定するための装置以外の装置を操作することにより船舶の針路に著しい影響を与えないものであること。
(6)船舶の動揺等により不要な操だを行わないものであること。
(7)作動中であることを表示できるものであること。
(8)だ角をあらかじめ制限し得るものであり、かつ、だ角が制限された角度に達したことを表示できるものであること。
(9)船舶の針路があらかじめ設定された角度を超えて変化した場合において可視可聴の警報を発する装置を船橋に備え付けているものであること。
(10)自動操だ装置又は前号の装置の電源が断たれた場合において可視可聴の警報を発する装置を船橋に備え付けているものであること。
(11)船舶設備規程第 146条の13第2項第1号から第4号まで及び第6号並びに第146条の17第2号及び第3号に掲げる要件
 
(関連規則)
船舶検査心得
6.0 (自動操舵装置)
(a)第4号の「確実に行うことができるもの」とは、針路設定つまみの回転方向と船舶の回頭方向を一致させる等誤操作を防止する構造のものをいう。
 
(遠隔制御係船設備)
第7条 遠隔制御係船装置は、遠隔制御を行う場所において、船首部及び船尾部においてそれぞれ3本以上の係船索を繰出し及び巻取りを行うことができる係船機を有効に制御できるものでなければならない。
 
関連規則)
船舶検査心得
7.0 (遠隔制御係船装置)
(a)「(有効に制御できる)」とは、係船索の繰出し及び巻取りの速度の制御ができることをいう。
 
(独立型遠隔制御係船装置)
第7条の2 独立型遠隔制御係船装置は前条の規定によるほか、遠隔制御を行う場所において、係船機の個々のドラムを独立に制御できるものでなければならない。
 
(関連規則)
船舶検査心得
7−2.0 (独立型遠隔制御係船装置)
(a)「独立に制御できるもの」とは、1ウインチ1ドラムのもの又は1ウインチ複数ドラムの場合にあっては、クラッチ及びブレーキを遠隔制御できるものをいう。
(b)船首部又は船尾部において5個以上のドラムを備える船舶にあっては、当該船首部又は船尾部において5個のドラムが独立に制御できれば差し支えない。
 
(荷役用ホース揚卸装置)
第7条の3 荷役用ホース揚卸装置は、制御を行う場所において、荷役用ホースのマニホルドへの接続又はマニホルドからの取外しを目的とした旋回及び揚卸しのために必要な操作を容易に行えるものでなければならない。
 
(関連規則)
船舶検査心得
7−3.0 (荷役用ホース揚卸装置)
(a)油タンカー、ケミカルタンカー等専ら液体貨物をバラ積みして運送する船舶以外の船舶に備え付ける荷役用ホース揚卸装置については、本条の規定は適用しない。
(b)「容易に行える」とは、1人で行えることをいう。
 
(遠隔制御ばら積貨物荷役装置)
第8条 遠隔制御ばら積貨物荷役装置は、次に掲げる要件に適合するものでなければならない。
(1)遠隔制御を行う場所において、貨物ポンプの回転数の制御、貨物タンク内の貨物の液位の監視その他の貨物の積荷又は揚荷のために必要な制御ができるものであること。
(2)次に掲げる場合に遠隔制御を行う場所において可視可聴の警報を発する装置を備え付けているものであること。〔貨物ポンプ又は貨物ポンプを駆動する原動機を危険場所(船舶設備規程第 302条の6の危険場所をいう。以下同じ。)に備え付ける場合に限る。〕
  イ. 貨物ポンプ及び貨物ポンプを駆動する原動機の軸受又は潤滑油の温度の異常な上昇
ロ. 貨物ポンプ(潤滑油ポンプを備え付ける場合に限る。)及び貨物ポンプを駆動する原動機の潤滑油の圧力の異常な低下
ハ. 貨物ポンプのケーシングの温度の異常な上昇
二. 貨物ポンプの駆動軸が隔壁を貫通する場合にあっては、貫通部のパッキンの温度の異常な上昇
(3)貨物ポンプを駆動する原動機(蒸気タービンであるものに限る。次号並びに次条第3号及び第4号において同じ。)の排気圧力が異常に上昇した場合に遠隔制御を行う場所において可視可聴の警報を発する装置を備え付けているものであること。
(4)貨物ポンプを駆動する原動機の回転数が異常に上昇した場合に当該原動機の作動を自動的にしゃ断する装置を備え付けているものであること。
 
(関連規則)
船舶検査心得
8.0 (遠隔制御ばら積貨物荷役装置)
(a)油タンカー、ケミカルタンカー等専ら液体貨物をばら積みして運送する船舶以外の船舶に備え付ける遠隔制御ばら積貨物荷役装置については、本条の規定は適用しない。
(b)第1号の「その他の貨物の荷役又は揚荷のために必要な制御」とは、貨物の荷役又は揚荷のために必要な弁の制御をいう。







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