第8章 車両甲板区域を有する船舶の電気設備
(適用範囲)
第302条の11 車両甲板区域(船舶防火構造規則第16条第1項第3号の車両甲板区域をいう。以下同じ。)を有する船舶の電気設備については、第1章から第6章までの規定によるほか、この章の定めるところによる。
(車両甲板区域の電気設備)
第302条の12 車両甲板区域内の閉囲された場所には、甲板上0.45メートル(旅客船にあっては、甲板上1メートル)以内の位置に電気設備を設けてはならない。ただし、防爆型の電気機械若しくは電気器具又は電路にあって、管海官庁が差し支えないと認めるものについては、この限りでない。
2. 前項に規定する位置以外の車両甲板区域内の閉囲された場所に設ける電気機械及び電気器具は、火花の漏れを防ぐように適当に保護された構造のものでなければならない。ただし、国際航海に従事する旅客船の隔壁甲板の下方の当該場所に設ける電気機械及び電気器具は、防爆型のものでなければならない。
3. 国際航海に従事しない船舶及び国際航海に従事する総トン数 500トン未満の船舶であって旅客船以外のものの電気機械又は電気器具(非常照明装置を除く。)であって、当該電気機械又は電気器具を設ける場所に使用する機械通風装置が停止したときに自動的に給電が停止する措置が講じられているものについては、前項の規定は適用しない。
(関連規則)
船舶検査心得
302−12.1(車両甲板区域の電気設備)
(a) |
本条の規定は、ガソリンガス等を下方に拡散させるため十分な大きさの開口を有する台甲板については適用しない。 |
302−12.2
(a) |
「火花の漏れを防ぐように適当に保護された構造のもの」とは、JIS F 8007「船用電気器具の外被の保護形式及び検査通則」のうちIP55の構造の規格に適合する保護外被を有する電気設備又はこれと同等以上の効力を有するものとする。 |
(b) |
本項ただし書に規定する国際航海に従事する旅客船に適用する防爆型のものは、JIS C 0903「一般用電気機器の防爆構造通則」(※)のうち安全増防爆構造の規格に適合するもの又はこれと同等以上の効力を有するものとする。 |
(※ JIS C 0930−93 電気機器の防爆構造通則、JIS F 8009−98 船用防爆電気機器一般通則参照)
(解説)
1. 船舶防火構造規則第16条第4号の車両甲板区域
「車両甲板区域」とは、自走用の燃料を有する自動車を積載する場所をいう。
2. 「IP55の構造の規格に適合する保護外被を有する電気設備」は、表1の保護形式中、外来物・感電に対する保護等級が5、液体に対する保護等級が5の保護性能を有する電気設備である。従って外来物・感電に対しては、粉じんなどの外来物の侵入によって有害な影響のない保護性能又は液体に対しては、いかなる方向からの水の直接噴流を受けても有害な影響のない保護性能が要求されている。
(1)保護形式の種類
保護形式の種類は、表1に示す保護形式を示す記号IP並びに外来物・感電に対する保護等級及び液体に対する保護等級の組合わせによる。
表1
保護形式を示す記号 |
外来物・感電に対する保護等級 |
液体に対する保護等級 |
IP |
0 |
0 |
1 |
1 |
2 |
2 |
3 |
3 |
4 |
4 |
5 |
5 |
6 |
6 |
|
7 |
|
8 |
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備考: |
保護等級の数字は表2及び表3による保護性能を表す。 |
(2)保護等級
(1)外来物・感電に対する保護等級
器具の外被から内部に侵入する外来物(手、指、工具、銅線など)及び感電に対する保護等級は、保護性能によって表2のとおりとする。
表2
保護等級 |
保護性能 |
0 |
無保護 |
1 |
手などの外来物に対する保護 |
2 |
指などの外来物に対する保護 |
3 |
工具、銅線など直径 2.5mm以上の外来物が入らないもの |
4 |
銅線など直径1mm以上の外来物が入らないもの |
5 |
粉じんなどの外来物の侵入によって有害な影響のないもの |
6 |
粉じんなどの外来物が入らないもの |
|
備考: |
この表の保護等級をドレン抜き、通風穴、コーミングなどのある器具にどのように適用させるかは、個別規格などによる。 |
(2)液体に対する保護等級
器具の外被から侵入する外来液体(水など)に対する保護等級は、保護性能によって表3のとおりとする。
表3
保護等級 |
保護性能 |
0 |
無保護 |
1 |
垂直から落ちてくる水滴によって有害な影響のないもの |
2 |
鉛直から15度の範囲で落ちてくる水滴によって有害な影響のないもの |
3 |
鉛直から60度の降雨によって有害な影響のないもの |
4 |
いかなる方向からの水の飛まつを受けても有害な影響のないもの |
5 |
いかなる方向からの水の直接噴流を受けても有害な影響のないもの |
6 |
いかなる方向からの水の直接噴流を受けても内部に水の入らないもの |
7 |
定められた条件で水中に没しても内部に水が入らないもの |
8 |
指定圧力*の水中に常時没して使用できるもの |
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(排気用のダクト内の電気機械及び電気器具)
第302条の13 車両甲板区域内の閉囲された場所からの排気用のダクト内に設ける電気機械及び電気器具は、防爆型のものでなければならない。
(準用)
第302条の14 第302条の7の規定は、車両甲板区域内の閉囲された場所及び当該場所からの排気用のダクト内に布設する電路について準用する。
(関連規則)
NK規則
4.4 自走用の燃料をタンクに有する自動車を積載するための貨物倉及び同貨物倉の閉囲された隣接区画等
4.4.1 閉囲された貨物倉等の電気設備
−1. 燃料タンクに燃料油を搭載した自動車を積載する閉囲された貨物倉等の電気設備は、本4.4.1 によらなければならない。
−2. 電気設備は、該当する爆発性混合気中における使用に適した構造のものでなければならない。
−3. 車両のための甲板及び台甲板上 450mmを超える位置に設ける電気機器は−2.に規定する電気機器の代替として、火花の漏れを防ぐように囲われ、かつ、保護されたものとすることができる。この場合、電気機器は、車両が積載されているとき、少なくとも毎時10回の割合で当該貨物倉の連続換気を行えるように設計された通風装置が運転されることが使用条件となるように装備しなければならない。なお、ガソリン蒸気等を下方に放散させるのに十分な大きさの開口を有する台甲板は、この規定の適用上、台甲板が設けられていないものとみなして差し支えない。
−4. 貨物倉の排気ダクト中に取付ける電気設備は、該当する爆発性混合気中における使用に対して承認された構造のものでなければならない。
−5. 移動形機器は、原則として、設置してはならない。やむを得ず設置する場合は、本会の承認を得なければならない。
−6. 閉囲された貨物倉に取付ける火災探知器、ガス検知器等は、本会が適当と認める防爆形のものでなければならない。
−7. 閉囲された貨物倉に取付ける電気機器の給電回路には、倉外に多極連係の断路用スイッチを備え、責任者のみが近付くことができるようにしなければならない。また、この断路用スイッチは、“切”位置で施錠できるようにしておかなければならない。ただし、火災探知器、ガス検知器等の回路には適用しない。
4.4.2 閉囲された貨物倉に隣接する閉囲された区画の電気設備
閉囲された貨物倉に隣接し、その隔壁又は甲板に気密構造でない扉、ハッチ、窓等の開口がある閉囲された区画の電気設備については、4.4.1 の規定を準用する。
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