4・2・2 基本計画
VDRの設備要件は、規則関連の章を参照し、当該船舶の種類、設備等に対して記録を要求される入力対象、さらに、客先からの追加要求等を理解して基本計画を進める必要がある。
VDRの基本計画の進め方の具体的内容は、次のとおりである。
(1)入力点リストの作成
まず、当該船舶の種類、設備等の条件に基づき、規則上で記録を要求される入力対象のリストを作成する。さらに、客先からの追加の記録に関する要求があれば、これもリストに追加する。この教科書には、一例として、VDRインターフェース整合用としての表を次に示すとおり添付しているので、まずは、この表を、入力点リスト作成、確認用として、これを利用して、各入力対象点の要否のチェックを行ってみるのがよい。
表4・1 VDR入力点リスト及びインターフェース整合用フォーム
表4・2 VDR記録データ及びインターフェース条件
表4・3 主警報(IMOにて要求される操舵室関連警報)
ここで、表4・1は、VDRの一般データ、表4・2は、航海関連データ、また、表4・3は、主警報関連のデータをリストにまとめたものである。
表4・1 VDR入力点リスト及びインターフェース整合用フォーム
本フォームは、VDRと接続機器のインターフェース調整用に使用するのを目的とする。
具体的に接続対象とする機器、メーカ・型式、配置、距離、インターフェース条件をこれに基づき記入のこと。
インターフェースは、IEC61162で規定されるデータフォーマットで可能な限り接続する。
しかしながら、IEC61162による接続が適用できない機器については、VDR供給者と別途詳細なインターフェースに関する調整を行う必要がある。通常は、VDR供給者に変換用接続装置(在来機器の信号をVDRに取り込める形式(イーサネットまたはIEC61162)に変換する接続箱)を準備させ、これと在来機器(信号のアナログ接続、警報等の接点接続等)との接続を行うことで対応する。在来信号の形態としては、シンクロ信号、アナログ信号、接点、電圧等信号形態がいろいろあるので、詳細内容を具体的に示すことでインターフェースの調整を行う。この変換用接続装置は、最終供給形態としては主パネルあるいは副パネルに組み込まれる形態、あるいは、単独の接続箱として供給される形態があるので、システム構成で確認の必要がある。
また、IEC61162接続が可能な機器であっても、それぞれのデータの具体的なメッセージフォーマットを確認しておく必要がある。(ここで、接続対象機器が、通常よく知られているメーカー、型番の機器であれば、VDR供給者は、そのメーカー・型番の標準メッセージフォーマットに関する知識があるので問題ないが、特殊な機器、メーカー、特殊仕様等が有る場合は、注意深く情報交換・調整が必要である。)
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表4・2 VDR記録データ及びインターフェース条件
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*1 |
複数台あるときは、どれに接続するか、明確にすること。 |
*2 |
インターフェース条件が上記と異なる場合(その他を選択の場合)、詳細を記述の上、添付のこと。 |
*3 |
主警報は、表4・3の内容である。通常IEC61162接続はできないので、これらのインターフェース条件を表4・3を使って明確にすること。 |
*4 |
マイクの設置場所は、操船指令場所及び船橋での会話の記録が目的であるから、船橋中央、船橋左右舷、ウイング左右舷、海図区画、主レーダー付近、無線機付近の8箇所が考えられる最大数であるが、船橋区画の面積・配置等を配慮してこれらをいくつかに集約することができる。 |
*5 |
その他、上記に含まれない項目について記録のための入力を行う場合、上記と同様のフォーマットで、指定すること。 |
*6 |
記録容量は、通常12時間であるが、これ以上の記録時間を要求する場合、これを記載のこと。 |
*7 |
“XDR”メッセージ(拡張メッセージ)は、これらの用途についての使用が、まだ、明確になっていないので、今後の動きを注視する必要有り。 |
*8 |
記録内容に対して、客先等から追加要求があった場合に、この欄を使用。 |
表4・3 主警報(IMOにて要求される操舵室関連警報)
No. |
要否 |
名称 |
内容 |
装備場所 |
信号形式 |
A1 |
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主及び補助操舵装置パワーユニット |
電源喪失。短絡、過負荷、一相喪失等含む |
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A2 |
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主及び補助操舵装置制御装置 |
電源喪失 |
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A3 |
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操舵装置駆動油液位 |
駆動油タンク(リザーバ)液位低下 |
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A4 |
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主推進装置遠隔制御 |
主機遠隔制御がある場合、電源喪失 |
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A5 |
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主推進装置始動空気圧 |
主機遠隔制御がある場合、始動空気圧低下 |
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A6 |
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推進装置自動停止 |
無人化船における主機自動停止 |
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A7 |
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当直士官の注意、行動を要求する異常 |
無人化船における主機自動減速警報等 |
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A8 |
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警報装置電源 |
無人化船における警報装置常用電源喪失 |
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A9 |
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水密扉駆動装置 |
駆動油タンク液位低下 |
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A10 |
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同上 |
駆動ガス圧低下又は蓄積エネルギー低下 |
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A11 |
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同上 |
駆動又は制御装置の電源喪失 |
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A12 |
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ビルジ水位 |
貨物スペースのビルジ高水位 |
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A13 |
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船体扉 |
RORO船等のドア開閉状況 |
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A14 |
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漏水検知 |
ROROスペースビルジ高液位 |
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A15 |
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局部的自動作動固定消化装置(新造船には採用されない) |
局部ハロン自動放出の作動 |
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A16 |
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火災検知(無人化船または固定式火災検知が要求される船舶) |
火災の自動検知作動 |
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A17 |
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自動スプリンクラ(火災検知・警報装置内蔵) |
スプリンクラ又は火災検知の作動及びそれらの電源異常または喪失 |
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A18 |
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煙検知システム |
吸引型煙検知システムの電源異常 |
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A19 |
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煙検知システム |
同上煙検知の作動 |
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A20 |
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ハロンシステム(新造船には採用されない) |
ハロンコンテナのガス圧力低下 |
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A21 |
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ハロンシステム(新造船には採用されない) |
ハロン放出制御用電気回路異常又は電源喪失 |
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A22 |
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ハロンシステム(新造船には採用されない) |
ハロン放出制御用ガス又は油圧の低下 |
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A23 |
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パトロール警報又はデッドマンコール(personnel alarm) |
機関室又は機関区画で一人当直の場合の安全警報(時限超過等) |
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