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4・3 機器及び空中線の取付要領
4・3・1 機器の取付要領
(1)一般
 機器を取付ける場合の一般的な注意事項を以下に示すので、取付け工事前あるいは工事中におけるチェックリストとして活用するとよい。
 不具合がある場合には、造船所及び機器メーカーと十分協議した上で工事を施行すること。
(a)装備場所について
(1)操作が容易に行なえ、保守点検に十分余裕のある場所に装備する。
 保守点検に必要なスペースを十分に確保するには、点検用ドア又は蓋の解放スペース、機器の内蔵物の引き出しスペース、工事用の電線接続スペースなどの考慮が必要である。
 一般的に、無線機器メーカーが、工事要領書にこれらのスペースをサービススペースとして記載している。
(2)GMDSS機器の表示にはCRTや液晶を使用したものがあるので、室内の照明や直射日光によって光が反射し、見にくくならないような場所を選ぶこと。
 ただし、操作に必要な照度は確保する必要があるので、場合によっては調光を設ける等の対策を施工のこと。
(3)通風がよく、雨、海水等のしぶきが直接かからない場所に装備する。
 機器内部に冷却用ファンを装備している場合には、排気スペース(50mm以上)を確保すること。また、専用の独立電源装置を設ける場合には発熱を考慮して通風の良い場所を選択すること。
 放熱効果をよくするため、外気と遮断された部屋、無通風の部屋には設置しないこと。室内に装備する場合は、機器の発熱量により通風回数の増加やエアコンなど冷気の導入等を考慮する必要がある。この場合には、機器の発熱量を調査の上、造船所と協議すること。
 なお、機器は、窓からの通風が直接当たらないよう、通風口の直下は避けるように配置すること。
(4)振動の少ない場所に装備する。
 やむを得ず振動のある場所に装備する場合には、防振ゴム等による防振対策を施工する。
(5)インバータや電力ケーブル、レーダーの空中線ケーブル等の雑音発生の恐れのある機器のそばから離すこと。
(6)GMDSS機器へのケーブルの接続はコネクタ方式が多く採用され、機器外部で水平に接続する場合が多いので、コネクタ部分でケーブルに力が加わらないように余裕を持ったケーブル曲げスペースがとれるよう装備すること。(機器から150〜200mm確保するのを目安とする)
(7)磁気コンパスに対する安全距離を考慮した場所に装備する。
 磁気コンパスに対する最小安全距離については、メーカーの装備要領書に記載されているのでそれに従って装備すること。(表4・9に代表例を示す。)
 
表4・9
番号 装置名 機器名 安全距離(m)
基準磁気コンパス 操舵磁気コンパス
1 MF/HF無線装置 送受信装置 1.5
アンテナチューナ 1.5
2 インマルサット−B アンテナ 0.5 0.4
制御ユニット 1.7 1.3
3 インマルサット−C アンテナ 0.6 0.5
制御ユニット 1.8 1.3
4 双方向無線電話装置 送受信機 0.4 0.4
5 ナブテックス受信機 受信機 1.0
6 レーダー(Xバンド) アンテナ 1.2 0.7
指示器 3.5 2.0
7 レーダー(Sバンド) アンテナ 1.5 0.8
指示器 3.5 2.0
8 操舵スタンド スタンド 0.4 0.2
制御箱 1.7 1.1
9 音響測探機 記録機 1.5 1.2
10 GPS 受信機 1.0
 
(b)取付台等
(1)機器を取付ける甲板、側壁などは機器の重量、形状に応じて事前に十分補強する必要があるので造船所と協議すること。
(2)取付台の機器取付け面はひずみがなく水平面となるよう十分平坦に仕上げること。
(3)木台の場合には、十分に乾燥した堅木材で製作し、取付け後のひび割れやひずみを起こさないようにすること。
(4)鋼製取付台の寸法は、床面への取付溶接工事が容易に行なえ、かつ、機器重量に応じ、十分な強度を有するように選定すること。
(5)側壁あるいは天井取付けの場合も、前記に準じて鋼製取付台又は木製取付台を使用して取付けるものとするが、内張り板に取付ける場合で内張り板が十分に強固で機器重量が軽い場合には、内張り板に直接ねじ止めとしてもよい。
(c)取付けについて
(1)テーブル上などに取付けるには、通しボルト、ナットを使用するのを原則とするが、軽量の場合には木ねじ止めとしてもよい。
(2)機器取付けボルトは、機器取付けボルト穴に適合し、機器の板と台の厚みに加えて、十分に締めしろのある長さのものを使用する。
(3)ナットは二重ナットとするか、ばね座金など適当な廻り止め材料を使用して固定する。
(4)機器を締付ける場合、機器取付面と取付台面とは密着すること。
(5)アルミニウムと鉄、アルミニウムと銅、鉄と銅など異種金属接合を行なう場合は、接触面に適当なめっきを施すか、適当なスペーサを挿入する必要がある。また異種金属と接触するボルト、ナットについても適当なめっきを施すなど、電触に対して注意すること。
(6)機器は設置導体を用いて真近の船体に有効に接地すること。
(7)船内装置は荒天航行中に観測者が寄り掛ることが多いので本体重量を支えるのみでなく、また、同時に振動や衝撃による加速度の影響を受けるので、船体に強固に取付けなければならない。
(8)配置、取付方法、接地方法のほか、機器配置に関しては無線機器メーカーの工事要領書に従って工事を行うこと。
(2)ナブテックス受信機
 船橋又は船舶の上部に装備する。
 捜索又は救助の情報を受けた場合の警報を船橋で聞取ることが必要なため、一般的に操舵室に装備する。
 受信機は軽量・小型で、角度を変えられるコ字形取付台が付属されているので、卓上、壁、天井等自由な場所に容易に取付けることができるようになっているが、装備高さは操作の容易さやプリンタ用紙の交換を考慮して1,500mm〜1,800mm程度を標準とする。
 ケーブルの導入口はすべて背面となっているので背面のスペースを十分にとる。図4・37は、計器棚等に装備した例を示す。
 
図4・37 ナブテックス受信機装備例







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