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4・2・2 ケーブル布設材料の取付け
(1)電路支持金物
 電路支持金物はできるだけ船殻の骨材上に取付け、船体構造物の伸縮する部分を横切って布設することを避けなければならない。
 電路を湾曲して取付ける場合には、折損や絶縁被覆の厚さの減少、割れなどを防止するため、布設するケーブルの外径の6倍以下(がい装鉛被ケーブルの場合は8倍以下*4とならないように施工すること。
*4
船舶設備規程 第251条
(2)電線管
 電線管の曲がりについても上記と同様に施工すること。
 また、電線管の径は、ケーブルの熱放散と、管内布設時の損傷防止のために、余裕を持った大きさ(布設するケーブルの総断面積の2・5倍以上)のものを選定すること。
(3)甲板及び隔壁の貫通
 電線貫通金物の取付けは穴明けが伴うので、船体強度部材の強度を損なうことがないような位置とし、穴明けする穴の大きさは、取付ける金物の外径より2〜3mm程度大きくする。
 また、A級防火仕切り*5に対してケーブルが貫通する場合には特に注意が必要である。
*5
貫通する隔壁又は甲板がどのクラスの防火仕切りとなるかを十分認識しておく必要がある。A級の場合にはA−0級、A−15級、A−30級、A−60級に区分され、数値が高いほど防火に対する要求が厳しくなることを示している。
(a)防水区画の甲板及び隔壁のケーブル貫通
 電線貫通金物、箱等を設けて甲板及び隔壁の強度、水密及び気密性を損なうおそれのない方法としなければならない。*6
 したがって、電線貫通金物等の取付けは両面及び全面溶接を行い、その後、染色法や電線貫通金物に盲栓施工後に空気圧をかけて石けん水により漏れをチェックする。ケーブル貫通後はガスケット及びパテ等で防水処理を施すこと。
 図4・21〜図4・23に取付け例を示す。
*6
船舶設備規程 第252条
 
(拡大画面:15KB)
図4・21 防水区画のケーブル貫通
 
図4・22 A級防火仕切貫通部(防水区画)
(A−15〜A60)
 
図4・23 A−0級防火仕切貫通部(防水区画)
 
(b)非防水区画の甲板及び隔壁のケーブル貫通
 非防水区画の甲板及び隔壁や船体構造物の厚みの薄い(6mm以下)場所を貫通する場合は、コーミング、カラー、ブッシュ等でケーブルを保護する*7
 防火壁を貫通する場合は、不燃性材料で防火構造とすること。
 なお、貫通する甲板又は隔壁が防熱材で覆われている場合には、電線貫通金物も防火材で覆うこと。(図4・24〜図4・28参照)
*7
船舶設備規程第253条
 
A寸法:
50mm以上
コンパウンドを行う場合には100mmがよい
図4・24 コーミング
 
図4・25 ブッシュ
 
(拡大画面:25KB)
図4・26 A級防火仕切貫通部(非防火区画)
(A−15〜A60)
 
図4・2 A−0級防火仕切貫通部(非防水区画)
 
図4・28 機器用ケーブル導入部のコーミング(例)
(A−A’矢視図)







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