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3・3・4 ケーブル及び電路の布設
 図3・18に示すような無線システムの機器間を接続するためのケーブルの選定及び布設経路は、その装置の機能を十分に発揮できるように計画しなければならない。
(1)ケーブルの選定
 ケーブルの選定にあたっては、機器メーカーの総合結線図などの指示に従うと共に機器の配置や他の設備との干渉を考慮して決定する必要がある。
 一般的なケーブルの選定については第4章4・1・2を参照することとし、ここでは電源回路等の導体の大きさを決定する場合の考慮しなければならない事項について述べる。
(a)ケーブルの定格電圧は、0.6/1kV級と250V級の2種類があるので機器メーカーに電圧を確認すること。なお、機器の配電電圧が250V以下であっても、高誘導回路には0.6/1kV級を使用しなければならない場合があるので、機器の性能を熟知した上で選定する必要がある。
(b)使用するケーブルは、回路の連続最大負荷電流以上の許容電流をもったものを選択すること。なお、ケーブルの許容電流は、負荷の使用条件(連続使用、短時間使用、間歇使用:短時間及び間歇使用の場合は許容電流を低減できる)、ケーブルの布設条件(同電路の条数又は層数あるいは異種絶縁ケーブルの影響による許容電流の増加)、周囲温度条件等を考慮して決定する。
(c)ケーブルに連続最大負荷電流を流した場合、回路の電圧降下は規定値以内とすること。
 無線システムの電源回路などで、ケーブルの導体抵抗による電圧降下を算出するには、以下の計算式による。特に、直流24Vの予備電源回路(蓄電池回路)などにおいては、ケーブルによる電圧降下が大きく影響するので注意が必要である。
 電圧降下の計算にあたっては、無線機器メーカーに関連する機器の最大消費電流を確認し、布設される電源回路用電線の長さを計測した上で電圧降下計算を行い、それが定格電圧の5%以下となるように電線の断面積を決める。
(イ)導体の抵抗
導体の抵抗値R20〔Ω/m〕=抵抗率〔Ωmm2/m〕/導体断面積(mm2
R20:20℃での電線1mあたりの導体抵抗値
(参考)軟銅線の20℃における抵抗率=1.724×10−2〔Ωmm2/m〕
硬銅線の20℃における抵抗率=1.777×10−2〔Ωmm2/m〕
(ロ)導体抵抗率の温度補正
 導体の抵抗は温度により変化する。銅線の場合は、t(℃)の抵抗値Rt、(Ω/m)が分かっていてT(℃)の導体抵抗値Rtを求めるには、次の式による。
RT=Rt×{1+(T−t)/(234.5+t)}
RT:T(℃)における導体抵抗値
Rt:t(℃)における導体抵抗値
 20℃の導体抵抗値が分かっていて、45℃の導体抵抗値を計算する場合は次のようになる。
R45=R20×{1+(45−20)/(234.5+20)}
(参考)JISC3410船用電線の付表の中に20℃の導体抵抗値R20〔Ω/km〕が記載されているので、これを利用すると便利である。
(ハ)直流2線式の電圧降下
 直流2線式の電圧降下は次の式で計算を行う。
e=2×RT×l×I
e:電圧降下量(V)
RT:T(℃)における導体抵抗値
l:ケーブルの長さ
I:機器の定格電流
 
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図3・18 機器間配線図







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