3・2・3 電源のあり方及び補助電源容量計算
電源のあり方については、3・2・1(5)項で、その詳細が解説されているので、ここでは電源系統の配電の実例及び補助電源の容量計算の実例を示す。
(1)電源系統
電源については、配電盤又は操舵室集合盤などから給電するが、無線用分電盤を設置し、それを中心に分電する方法、操舵室集合盤を無線用の分電用にも利用する方法、MF/HF無線機本体に無線用分電の機能を持っている場合など色々なケースが考えられるが、基本的に分電回路の考え方は同様のため、上記の機器構成による分電系統の一例を図3・2に示す。
(2)補助電源の容量計算
上記の機器構成では、“3・2・1(5)(c)補助電源”に記載のとおり、次の設備に給電の必要がある。
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(i)VHF無線設備(無線電話、DSC) |
2台 |
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(ii)MF/HF無線設備(電話、直接印刷電信、DSC) |
1台 |
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(iii)インマルサットC |
1台 |
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(iv)無線設備操作場所の照明装置(非常灯20W) |
2個 |
容量の計算に先立って、各機器の送信時消費電流及び受信時消費電流(DC24V入力ベース)の調査が必要である。
それぞれの機器の消費電流が、次に示すとおりであった場合の計算例を以下に示す。
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機器 |
送信電流(It) |
受信電流(Ir) |
It×1/2+Ir |
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VHF |
6(A) |
3(A) |
6(A) |
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MF/HF |
40 |
10 |
30 |
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インマルサットC |
14 |
10 |
17 |
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非常灯(20W×2) |
(消費電流 |
2(A) |
2) |
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参考 |
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(インマルサットA又はB |
25 |
20 |
32.5) |
容量の計算に際しては、VHFの場合は2台のうち1台を、また、MF/HFとインマルサットの場合はそのいずれかを賄えば良いわけであるから、消費の多い方を賄うものとすると、非常電源を装備している船舶の容量計算は次のようになる。
容量(AH)=総電流(A)×供給時間(H)であるから、
蓄電池の所要容量(AH)=(6+30+2)×1=38(AH)
この計算により必要な蓄電池容量は38AHであるが、1時間率放電の場合には10時間率放電の50%容量となるため、10時間率換算では最低で76AHが必要となる。さらに、ここでは蓄電池の劣化、低温時動作での容量低減などを考慮して、150AH〜200AHの蓄電池を採用する。
非常電源を装備していない船舶の容量計算を次に示す。
無線設備に対する給電時間は6時間であるから
蓄電池の所要容量=(6+30+2)×6=228(AH)
6時間率放電の場合には10時間率放電の86%容量となるため10時間率換算では次のようになる。
蓄電池所要容量(10時間率換算)=228/0.86
≒265(AH)
蓄電池の劣化、低温時動作での容量低減などを考慮して400(AH)以上の蓄電池を採用する。
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図3・2 無線用配電図
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