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4・5・2 NBDPに使用されている符号
 狭帯域直接印刷電信装置、NBDPはMF/HF帯域で使用される船舶局と海岸局、または船舶局間の遭難・安全及び一般のテレックス通信用の送信/受信機である。
 DSCと同様に2進符号の1をY=1700−85=1615Hz、0をB=1700+85=1785Hzの周波数に対応させる。MF/HF帯の変調はYとBの音声信号を周波数偏位変調F1B、または抑圧搬送波単側波帯変調J2Bにより送信する。
 国際通信方式の符号は1が3ビット、0が4ビット構成の7ビットの定マーク4B/3Yの英文符号(3/7定比率符号)を用いる。
 国内通信には10ビットの重み付け符号でカタカナを表示する。7ビットが情報ビットで後の3ビットが誤り訂正ビットとする。誤り訂正ビットは2進法の数で情報ビット内のBの数(0ビットの数)を示す。
 カタカナの「ア」の符号は
 
 
 情報ビット1〜7には0ビット符号が4つあるので訂正ビットは2進数の100、10進数に直すと22=4で0ビットが4つあることを示している。訂正ビットに示された0ビットの数と情報ビット内の0の数が一致しないときは受信側に誤りがあると判定される。さらに1〜7の符号はそれぞれ1ビットとするが8の符号を22=4、9の符号を21=2、10の符号を20=1ビットとして数える(重みを付けるという)と「ア」は
 
 
 訂正符号中のY記号(1のビット)の重みを付けた数が常に7つとなる。この方法で1ビット符号の誤りがチェックできる。10ビットの国内符号に重みを付けることから7+7=14ビットと等価な符号構成となり、7ビット国際符号2組と等価に整合させている。
 NBDPの送信は以上の誤り訂正符号を更にFECによる反復送信で行い、受信側で誤りが検出されるとARQにより再送信要求を出して、反復通信により誤りを訂正するのでNBDPは信頼性が高い通信を確保することができる。
 しかし、テレックス専用で音声や画像は送信できない、MF/HF帯は伝搬が不安定であり、公衆回線への接続ができないなどの問題がありまだ普及が不十分な状況にある。
 
 図4・9に406MHz極軌道衛星利用非常用位置指示無線標識(衛星EPIRB)に用いられている送信信号の構成を示す。
 
(拡大画面:13KB)
図4・9 406MHz衛星EPIRB送信信号の構成
 
 25ビット目〜85ビット目の61ビット間に情報が含まれるので次の86ビット〜106ビットの21ビットに誤り訂正用BCH符号を付け加える。
 BCH符号はボーズ、チャドリイとオケンジエムBose、Chadhuri and Hoquengemの3人の発明者の頭文字から名前が付けられた。BCH符号はハミング符号をより高度化して訂正能力を向上させたブロック訂正符号である。BCH符号は2つ以上の生成多項式を組合せて誤り検出をするので複数ビットの誤りを検出して自動的に訂正できる。
 
図4・10 406MHz衛星EPIRB用BCH符号の構成
 
 図4・10にBCH符号の構成を示す。誤りを検出する生成多項式G(X)は
G(X)=G1(X)・G2(X)・G3(X) (4・16)
 3つの生成多項式の積で作られる。
G(X)=(X7+X3+1)(X7+X3+X2+X+1)(X7+X4+X3+X2+1) (4・17)
となるのでG1、G2、G3の3つの割算を行い、それぞれの余り、R1、R2、R3、の符号の組合せで誤りのビットを見いだすことができる。3つの生成多項式でチェックするので、受信符号中の3ビットまでの誤り訂正と4ビットまでの誤りの検出ができる。すなわち
 
 
をそれぞれ計算する。3つ余りが0となり割り切れるときは誤りがない。余りは2進符号で示され、3つの余りの組合せにより対応する3ビットまでの誤り訂正ができる。パリティチェック符号と組合せると4ビットまでの誤り検出が可能となる。
 余りの符号の組合せと受信符号中の誤りビットの位置関係は予めデータベースとして記憶装置に入れておき照合することから誤りビットの位置を知ることができるので誤りのビットを1→0、0→1に反転して訂正ができる。







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