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2・3・3 デジタルIC
(1)デジタル符号と電圧レベル
 符号1と0を電圧V(1)とV(0)に対応させるにはデジタルICを用いる。図2・19に1と0に対応するレベルを示す。
図2・19 デジタル符号と電圧
 
信号レベルがある規定したしきい値とV(1)の間にあればすべて符号1、しきい値とV(0)の間にあればすべて符号0と判断すると雑音などにより信号レベルが変動しても1と0の識別ができるので電圧レベルを読むアナログより雑音妨害に強い通信ができる。
(2)デジタルIC:
 トランジスタ又はICにある大きさ以上の電流が流れる(最大出力電圧とする)ときの状態を符号1、ある大きさ以下の電流の状態(最小出力電圧)を符号0に対応させる。例えばトランジスタに電圧の+5Vを加えたとき符号1とし、−5Vを加えたとき符号0に対応させるTTLレベルなどがある。 なお、現在−5Vが0Vとなっている場合が多くなっている。
 汎用されているデジタルICにはTTL、C−MOS及びECLの3つがある。
・TTL;Transistor−Transistor−Logicの略で、米国のテキサスインスツルメント社が規格化したICで、飽和電流で動作するので安定であるが動作速度は中程度である。
・C−MOS;Complementary−Metal Oxide Siliconの略で、金を酸化シリコンに拡散させたトランジスタをPNPとNPNの相補組合せ構造にしたICで入力インピーダンスが高く消費電力が低いが、動作速度が遅いのと変動に弱い欠点があったICを金を拡散することで動作速度を向上し、相補構造により変動に強くすることができて広く使用されている。
・ECL;TTLのように飽和電流で動作をさせないことと大電流を流すことから高速動作をさせるICがECLである。消費電力が大きいことが欠点である。
 
2・3・4 論理回路(ロジック回路)
 コンピュータの演算やプログラムに論理回路が使用される。1と0の組合せで2進計算や論理演算が行われる。トランジスタやダイオードの入力に或るレベル(TTLでは5V)の電圧を加えると符号1の状態となり、0Vの電圧を加えるとき符号0の状態となる。それぞれの入力電圧に対応した出力電圧レベルで符号1又は0と定義される回路が論理回路である。
 図2・20に基本的な論理回路を示す。入力端子A、Bにそれぞれ1又は0に対応した電圧を加えたときの出力Yの電圧レベルにより1又は0の符号を読み出す回路である。(a)AND回路、(b)OR回路、(c)NOT(否定)回路、(d)NAND(ANDの否定)回路、(e)NOR(ORの否定)回路、(f)EX−OR(排他的OR)回路を示す。それぞれの回路でAとB入力と出力Yの符号関係を表で表したものを真理値表と呼ぶ。例えばAND回路においてA0、B0のときYは0となるがA1、B1のときYは1となることがAND回路の真理値表から分かる。1又は0にそれぞれあるプログラムを対応させると論理の判断ができるのでこれらの回路を論理回路と呼ぶ。
 
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図2・20 論理回路
 
論理回路を組合せると符号の計算ができる。図2・21の組合せ回路にAとBの符号を入力したときの出力Yとの関係を示す。
図2・21 論理演算の例







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