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1・3・3 半導体とデバイス
 電子素子をデバイスという。図1・26に半導体の核外電子(価電子又は外核電子とも呼ぶ)の配置を示す。
図1・26 半導体の核外電子配置
 
 パウリの禁止則により8個の核外電子で安定する軌道上に4個の価電子を持つ材料が半導体である。ゲルマニウム、シリコン、炭素等の原子は半導体である。半導体は電子を取り去ることも、逆に電子を外部から入れることも容易な原子といえる。このため抵抗率が図1・27に示すように導体と絶縁体の中間、10−5〜105(Ω・m)なので半導体と呼ばれる。半導体のままでは電気をよく流せないのでトランジスタを造るには不純物材料をごくわずか加えP型及びN型の半導体を製造する。
 
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図1・27 導体、半導体及び絶縁体の抵抗率(1m2立方体の抵抗)
 
1・3・4 ダイオード
 ゲルマニウムやシリコンの結晶にインジウムやガリウム等の材料を加えると陽子が過剰な(又は電子が不足している)P型半導体ができる。逆に砒素やアンチモンなどの材料を加えると電子が過剰なN型半導体ができる。P型半導体は電子を取り去った後にプラスの孔が空いたと考えてP型半導体中には正孔があるともいう。P型とN型の半導体を接合するとダイオードができる。図1・28にPN接合のダイオードと内部の正孔と電子の存在を示す。固体内を自由に動ける電子を自由電子と呼ぶ。
 PN接合ダイオードの記号表示を図1・28(b)に示す。
 
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図1・28 PN接合ダイオードと記号表示
 
 ダイオードは一方向のみに電流を流す性質があるので交流を直流に変換する整流器に使用できる。図1・29(a)のようにP型にプラス、N型にマイナスの電圧を加えるとダイオードに電流が流れるのでこの方向を順方向という。
 (b)のように逆方向に電圧を加えると電流が流れない。交流電圧を加えると順方向の時間のみに電流が流れるので交流を直流に整流できる。
 
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図1・29 PN接合ダイオードの整流作用







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