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(b)原動機容量
 大形電動機始動時に発電機用原動機へ掛かる有効電力が原動機の出力を超える場合は全電圧始動とすることは出来ない。
 一般に発電機用原動機は110%30分の過負荷定格を持っているので次式が成立する範囲では全電圧始動が可能である。
 
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 ただし、
 
               Pb 電動機始動時のベースロード〔kW〕
  V 電動機定格電圧
  Is 電動機全電圧始動電流
  cosθ 電動機始動力率
  Pe 電動機定格出力〔kW〕
  η 発電機効率
 
 ここでPbは電力調査表から、その他の値はメーカーからデーターを入手して計算をすること。
(c)発電機容量
 発電機は150%1分間の過負荷耐力をもっている。(NK規則では150%2分間の過電流耐力)。
 一方発電機用ACBの引外し設定値は一般に発電機定格電流の115%とし設定値の120%で20秒で遮断するように調整される。
 もし電動機始動時にACBが遮断するようであれば電動機は全電圧で始動することは出来ない。この場合ACBが遮断するということは電動機始動時に発電機に流れる電流(即ちベースロードの電流と電動機の始動電流のベクトル和の電流)が上記のようにセットし調整されたACBの遮断特性曲線を上まわるということであるから、電動機始動時に流れる発電機電流とそれが続く時間即ち電動機の始動時間を計算により求めその値がACBの遮断特性曲線を上まわるかどうか確認しなければならない。
(i 発電機電流の計算
 発電機電流は次の式で求められる。
 
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(ii 電動機始動時間の計算
 電動機始動時間は次の式で求められる。
 
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 上記の発電機電流及び電動機始動時間の計算に際してはPbは電力調査表から、Pfm、GD2m、GD2e、N及びKの値はメーカーから入手のこと。
 なお、Pfbの値は厳密にはベースロードの各負荷電流をベクトル合成してベースロード全体の総合力率を求めなければならないが、概算値としてはPfb=0.8として計算してもよい。
 また、例えば大形ボイラ送風機などの様に始動時間が極めて長いために、単に全電圧始動を避けて始動軍流を抑えても始動時間が更に長くなるために、全電圧始動を避けてもなお発電機電流がACBの遮断特性曲線を上まわりACBが遮断してしまう場合があるので、この様に始動時間が極端に長い負荷については、実際に採用する始動方式における発電機電流及び始動時間について更に計算を行い、その値がACBの遮断時間の調整範囲内の調整によりACBの遮断を避け得る値であることを確認しておく必要がある。
 このような負荷の場合には先にも述べたような長所を持ったコンドルファ始動方式が用いられるのが一般的であるから、ここではコンドルファ始動を採用した場合における発電機電流及び始動時間の計算方法について述べる。
 発電機電流は(式40)で計算すればよいが(式43)におけるIm及びPfmはコンドルファ始動時の値を使わなければならない。コンドルファ始動時のImは先にも述べたように全電圧時のImの値にタップ値の2乗を乗じたものとなるがPfmの値はメーカーから入手しなければならない。
 また、始動時間の計算は(式45)により行うがτは次の式により求める。
 
(拡大画面:2KB)
 
 ただし
 
               x 単巻線変圧器のタップ値〔%〕
  K、Pm (式46)の値と同じ







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