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2.4.15 車両甲板区域を有する船舶の電気設備
 
(適用範囲)
第302条の11 車両甲板区域(船舶防火構造規則第16条第1項第3号の車両甲板区域をいう。以下同じ。)を有する船舶の電気設備については、第1章から第6章までの規定によるほか、この章の定めによるところによる。
(車両甲板区域の電気設備)
第302条の12 車両甲板区域内の閉囲された場所には、甲板上0.45メートル(旅客船にあっては、甲板上1メートル)以内の位置に電気設備を設けてはならない。ただし、防爆型の電気機械若しくは電気器具又は電路であって、管海官庁が差し支えないと認めるものについては、この限りでない。
2. 前項に規定する位置以外の車両甲板区域内の閉囲された場所に設ける電気機械及び電気器具は、火花の漏れを防ぐように適当に保護された構造のものでなければならない。ただし、国際航海に従事する旅客船の隔壁甲板の下方の当該場所に設ける電気機械及び電気器具は、防爆型のものでなければならない。
3. 国際航海に従事しない船舶及び国際航海に従事する総トン数500トン未満の船舶であって旅客船以外のものの電気機械又は電気器具(非常照明装置を除く。)であって、当該電気機械又は電気器具を設ける場所に使用する機械通風装置が停止したときに自動的に給電が停止する措置が講じられているものについては、前項の規定は、適用しない。
(排気用のダクト内の電気機械及び電気器具)
第302条の13 車両甲板区域内の閉囲された場所からの排気用のダクト内に設げる電気機械及び電気器具は、防爆型のものでなければならない。
(準用)
第302条の14 第302条の7の規定は、車両甲板区域内の閉囲された場所及び当該場所からの排気用のダクト内に布設する電路について準用する。
 
(関連規則)
(1)設備規程第302条の12関係(船舶検査心得)
 
(車両甲板区域の電気設備)
302−12.1(a)本条の規定は、ガソリンガス等を下方に拡散させるに十分な大きさの開口を有する台甲板については適用しない。
302−12.2(a)「火花の漏れを防ぐように適当に保護された構造のもの」とは、JIS F 8007「船用電気器具の外被の保護形式及び検査通則」のうちIP55の構造の規格に適合する保護外被を有する電気設備又はこれと同等以上の効力を有するものとする。
(b)本項ただし書に規定する国際航海に従事する旅客船に適用する防爆型のものは、JIS C 0903「一般用電気機器の防爆構造通則」(注)のうち安全増防爆構造の規格に適合するもの又はこれと同等以上の効力を有するものとする。
(注 JIS C 0930−93 電気機器の防爆構造総則、JIS F 8009−98 船用防爆電気機器一般通則参照)
 
(2)船舶設備規程第302条の11〜14関係(NK規則)
 
4.4 自走用の燃料をタンクに有する自動車を積載するための貨物倉及び同貨物倉の閉囲された隣接区画等
4.4.1 閉囲された貨物倉等の電気設備
−1. 燃料タンクに燃料油を搭載した自動車を積載する閉囲された貨物倉等の電気設備は、本4.4.1によらなければならない。
−2. 電気設備は、該当する爆発性混合気中における使用に適した構造のものでなければならない。
−3. 車両のための甲板及び台甲板上450mmを超える位置に設ける電気機器は、−2.に規定する電気機器の代替として、火花の漏れを防ぐように囲われ、かつ、保護されたものとすることができる。この場合、電気機器は、車両が積載されているとき、少なくとも毎時10回の割合で当該貨物倉の連続換気を行えるように設計された通風装置が運転されることが使用条件となるように装備しなければならない。なお、ガソリン蒸気等を下方に放散させるのに十分な大きさの開口を有する台甲板は、この規定の適用上、台甲板が設けられていないものとみなして差し支えない。
−4. 貨物倉の排気ダクト中に取付ける電気設備は、該当する爆発性混合気中における使用に対して承認された構造のものでなければならない。
−5. 移動形機器は、原則として、設置してはならない。やむを得ず設置する場合は、本会の承認を得なければならない。
−6. 閉囲された貨物倉に取付ける火災探知器、ガス検知器等は、本会が適当と認める防爆形のものでなければならない。
−7. 閉囲された貨物倉に取付ける電気機器の給電回路には、倉外に多極連係の断路用スイッチを備え、責任者のみが近付くことができるようにしなければならない。また、この断路用スイッチは、“切”位置で施錠できるようにしておかなければならない。ただし、火災探知器、ガス検知器等の回路には適用しない。
4.4.2 閉囲された貨物倉に隣接する閉囲された区画の電気設備
 閉囲された貨物倉に隣接し、その隔壁又は甲板に気密構造でない扉、ハッチ、窓等の開口がある閉囲された区画の電気設備については、4.4.1の規定を準用する。
 
2.4.16 無線設備
 平成3年5月15日無線設備に関し船舶安全法が改正され、GMDSS(全世界的な海上における遭難安全システム)が平成4年2月1日から段階的に導入されている。
 次に述べる設備はGMDSS機器の概要を示したものであるが、これらの性能等の詳細については、船舶設備規程、船舶救命設備規則、電波法関係規則等を参照のこと。
(1)ナブテックス受信機
 518kHzで送信される航行警報、気象警報、捜索救助情報等の海上安全情報を自動的に受信し、印字する無線設備である。
 情報の内容は、航行警報、気象警報等17に区分されている。
 海上安全情報のサービスエリアは海岸局から300〜400海里である。
(2)高機能グループ呼出受信機
 機能的にはナブテックス受信機と同様の海上安全情報をインマルサット静止衛星を経由して自動受信し印字する装置である。特定の船団の呼出しや一般公衆情報を受信する機能も備えている。
(3)デジタル選択呼出装置
 VHF、MF、HFによる通信をデジタル符号化することにより特定の船舶局又は海岸局を選択して自動的に呼出しをする装置である。呼出しを受信した場合は警報を発し、呼出しに含まれる情報は表示される。それぞれVHF、MF、HFの無線電話に付属させ、又は最初から無線電話に組込まれている。
(4)デジタル選択呼出聴守装置
 デジタル選択呼出装置の受信機能のみを有する装置である。
(5)狭帯域直接印刷電信
 デジタル符号を用いて自動的に相手局に接続し、通信文書を送受信するためのテレックス装置である。
 MF/HF無線設備又はインマルサット無線設備に接続される。
(6)インマルサット無線電話
 インマルサット静止衛星を使用し、遭難通信を含む情報を船舶と陸上との間で直接交信する装置である。4個のインマルサット衛星は赤道上約36,000kmの静止衛星軌道であって、東・西大西洋、インド洋及び太平洋上にあり、極地域を除く全世界的な通信有効範囲をカバーしている。
(7)極軌道衛星利用非常用位置指示無線標識装置(EPIRB)
 船舶が遭難した場合、コスパス・サーサット極軌道衛星を経由して陸上局に遭難の発生を送信する装置である。浮揚型と非浮揚型があり、浮揚型は手動発信のほか船舶から自動離脱して浮揚し自動的に発信される。非浮揚型は手動発信の機能のみを有し船橋等に装備される。
(8)レーダー・トランスポンダー(SART)
 船舶又は航空機に装備されている9ギガヘルツ帯のレーダー電波に応答して同じ9ギガヘルツ帯の電波をレーダー・トランスポンダーから発信し、それを船舶又は航空機のレーダー映像面に発信位置を一列の輝点で表示させるホーミング装置である。船舶からのレーダー・トランスポンダーの探知距離はSARTの海面上の高さ及びレーダーの空中線の高さにより変り、数海里であるが、航空機ではさらに遠くから遭難者を発見できる。
(9)双方向無線電話装置
 船舶が遭難した場合、遭難船舶と生存艇間、生存艇相互間、生存艇と救助船間で遭難現場通信を行なう小型の無線電話である。
 常時は、操舵室などに格納しておいて非常の際に持ち出して使用する持運び式と予め生存艇に固定装備するものとがある。
 GMDSS設備の搭載要件については、船舶の種類(条約船、非条約船)、航行水域(A1〜A4)等の条件によりその内容が異なる。(船舶電気装備技術講座(GMDSS)法規編参照。)
 ここで、A1水域とは、海岸局との間でVHF無線電話で通話ができ、かつ、海岸局に対してVHFデジタル選択呼出装置による遭難呼出しの送信ができる水域である。(約25海里の水域)
 日本においてはA1水域の具体的な水域は定められない。また、国外の水域についてはSOLAS条約に加盟している当該国の政府がこれを定めることとなっている。
 A2水域とは、海岸局との間でMF無線電話で通話ができ、かつ海岸局に対してMFデジタル選択呼出装置による遭難呼出しの送信ができる水域である。(約150海里の水域)
 具体的な水域は、平成4年1月28日付けの運輸省告示で示されている。また、国外の水域についてはSOLAS条約に加盟している当該国の政府がこれを定めることとなっている。
 A3水域とは、インマルサット直接印刷電信又はインマルサット無線電話により、海岸地球局と通話を行なうことができる水域である。(約北緯75°から南緯75°までの水域)
 具体的な水域は平成4年1月28日付けの運輸省告示で示されている。
 A4水域とは、A1水域、A2水域及びA3水域以外の水域(主に極地)をいう。
 
2.5 復習問題(3)
(1)電気設備への供給電圧には制限があるが、次の交流設備に対する供給電圧の制限は設備規程では何(V)に規定しているか。
(a)照明設備(b)動力設備(c)電熱設備
(2)陸上電源の周波数は関東50Hz、関西60Hzであるが、船舶では一般に何〔Hz〕が採用されているか。
(3)配電方式の種類については、設備規程に定められているがその種類の名称を挙げよ。
(4)配電について、照明設備の最終分岐電路は設備規程では、どのように定めているか。
(5)回転機は船舶の船首方向となるべく一致させて据付けねばならないが、その理由を述べよ。
(6)電食について述べよ。
(7)電気機器の絶縁距離とは何か。
(8)発電設備の容量について設備規程は、どのように定めているか。
(9)発電機の軸材は設備規程によれば、どんな材質のものを用いなければならないか。
(10)主機で駆動される発電機は、なるべく自動電圧調整器を備えなければならないと規定されているが、その理由を述べよ。
(11)発電機が並行運転する場合、各発電機の比例分担する負荷はその発電機の定格負荷の何(%)の変動を生じてはならないか。
(12)電動機用始動器でU.V.Pとは何か。
(13)火災が発生したときは、運転中の燃料移送ポンプ、噴燃ポンプ及び通風機等は停止させねばならないが、どのような設備をしたらよいか。
(14)操だ機用電動機だけは始動器に過電流継電器を設けてないが、どんな方法で監視するか。
(15)変圧器には乾式と油入式があるが、乾式はどんな室に用いるか。
(16)三相回路で、変圧器が故障しても、さしつかえない装備方法を述べよ。
(17)並行運転を行なう交流発電機用逆力継電器の設定値はいくらか。
(18)配電盤の配置について述べよ。
(19)蓄電池室に対し考慮すべきことを述べよ。
(20)蓄電池設置に対する注意事項を述べよ。
(21)船内通信及び信号設備の電路による電圧降下は定格電圧24V以下のものは何%か。
(22)航海灯は衝突予防法により装備されるが、停電による事故を防ぐための給電回路は、どのようにして置けばよいか。







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