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3・13・5 抵抗の測定
 船舶電気装備における電気機器などの抵抗測定にはいろいろある。例えば接点の接触抵抗1〔Ω〕以下、機器の巻線、抵抗器類の抵抗1〔Ω〕以上1〔MΩ〕以下の中抵抗、また、絶縁物などの絶縁抵抗1〔MΩ〕以上の高抵抗などがある。
 これらの測定には、それぞれ適当な方法と計器を選定して行うべきである。ここでは2〜3の方法について概略を述べる。
(1)中抵抗測定
(a)直流抵抗計による法
 簡易な測定にはテスタを用いる。これは直流回路、交流回路にも切換スイッチで諸測定ができる。ただ、許容誤差が大きい欠点はある。直流電圧、電流±3%、交流電圧±4%、抵抗±3%程度であるから、精密測定用計器としては使用できない。
(b)電流電圧計法
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図3・28
 
 図3・28(a)(b)は直流電圧計及び直流電流計を使用して被測定抵抗R〔Ω〕を測定する方法の結線図である。
 被測定抵抗Rに適当な電流〔I〕を流すように調整抵抗r加減し、電流I〔A〕、電圧V〔V〕を測定すればオームの法則によってR=V/I〔Ω〕が計算によって求められる。
 ここで注意すべきは、計器には多少の抵抗や損失を有する。それらの接続の仕方によって僅かながら誤差が生ずる。
 図3・28(a)はRの抵抗が大きい場合に適した接続法で、図3・28(b)はRの抵抗が小さい場合に適した接続法である。
(c)ホイートストンブリッジ法
図3・29
 
 図3・29のような電気回路を作って、被測定抵抗X〔Ω〕の抵抗を測定するもので、これは、中抵抗測定には精密な測定法である。これが、ホイートストンブリッジ法といわれる所以は、1833年イギリスのS・H・Christieがこの回路を考案し、その後イギリスのC・Wheatstoneが1843年に通信回路の電気抵抗に応用したことから、その名前をとってホイートストンブリッジといっている。
 測定方法は既知抵抗a、b、rとし被測定抵抗Xを図3・29の所に挿入し、適当な電源E〔V〕を加え、S1及びS2スイッチを入れる。そして検流計G(微小電流を検出する鋭敏な測定器)の指針が零の位置になるように調整用抵抗rを細かく調整する。このようにすれば
b/a=X/r
 故にX=b/ar〔Ω〕・・・(3・16)
が成り立つ。この式により未知の抵抗X〔Ω〕を知ることができる。
注意事項:
 電池のスイッチS1を閉じた後に検流計のスイッチS2を閉じること。また、接触点の熱起電力の影響を避けるために電流の方向を換えて2回測定し、その平均を求める方がよい。
(2)絶縁抵抗測定
 船舶の電機機器、ケーブル等の絶縁抵抗を直接読みとるのに直続形絶縁抵抗計(以下、絶縁抵抗計という。)を使用する。これは、オーム×108=メグオーム〔MΩ〕を測定することから、手回し発電機式はメガ、電池式はオートメガという。
 手回し発電機式は、現在ではほとんど使用されていないため本書では、電池式について記述する。
 電池式絶縁抵抗計は手回し発電機の代わりに乾電池を電源とし、電池電圧をトランジスタ発信回路、変圧器、半導体整流器などから構成されるDC−DCコンバータにより100〜2000Vの直流電圧を発生するようにしたものである。
 これは、指示計に稼働コイル比率計器を使用したものと可動コイル計器を使用したものとがある。
 可動コイル比率計器は発電機式絶縁抵抗計とほぼ同じ原理であり、可動コイル計器は図8・30のようにDC−DCコンバータにより得られた測定電圧を被測定抵抗Rxに加え、流れる電流を指示計で測定しRxを指示させるようにしたものである。
 この方式は、測定電圧の変化がそのまま測定誤差に結びつくので、測定電圧を安定なものにしなければならない。
 このためツェナーダイオードZD(定電圧ダイオード)を用いて一定な直流電圧を得ている。
 船舶では普通500(V)絶縁抵抗計が使用される。1000(V)級以上の高圧機器には1000(V)又は2000(V)絶縁抵抗計が用いられる。
 また、電池式絶縁抵抗計は発電機式に比べて小形で軽く操作も簡単で、機械的接点がないため故障が少ないなどの長所がある。
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図3・30







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