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2.5.2 ケーブル貫通箱(コンパウンド非充填)
 ケーブルを甲板又は隔壁に貫通させる場合において、切明け穴の大きさが制限されるか、あるいは狭い場所に多数のケーブルを貫通させねばならないとき、甲板又は隔壁の防水を保つために使われる。軟鋼製で側面にケーブル点検手入れ口を設け、貫通金物(隔壁又箱用)を備え、船体への取付けは溶接による。
 
図2.15 ケーブル貫通箱(コンパウンド非充填)
 
2.5.3 ケーブル貫通箱(コンパウンド充填)
 前2.5.2のケーブル貫通箱に代わるものとして、箱内にコンパウンドを充填して防水又は防火を保つために使用される。甲板用には蓋を省略してよいが、この場合、装備場所を考慮して、高さ寸法と、充填物をあらかじめ決定のうえ船級協会の承認を得る必要がある。通常ケーブル貫通金物は、甲板用で約220mm、隔壁用で約250mmとされている。
 コンパウンドの代表的なものとして、清水で溶かして使用する外国製のA.E.Gギャクエロ・シーリングコンパンド(E−950)、専用溶液で溶かして使用する外国製のKVMシーリングコンパウンド及び日本製の主剤(液体)と硬化剤(粉体)を混ぜ合わせて使用するプラシールNF−93がある。
 
2.5.4 コーミング及びブッシング
 ケーブルが防水を必要としない隔壁を貫通する部分に設けられ、ケーブルの損傷を防止する。軟鋼板、樹脂、鉛などで円形又は楕円形に加工し、船体への取付法により溶接形と締付形とがある。
 
図2.16 コーミング及びブッシング
 
2.5.5 マルチケーブルトランジット(MCT)
 MCTは、防水、気密、耐火を必要とする甲板又は隔壁をケーブルが貫通する部分に採用される。しかし、小型鋼船では余り使用されていない。
 
図2.17 MCTの構成部品と材料
 
 上図の貫通フレームには、3つのサイズ(小形、中形、大形)があり、その種類には標準形及び一端開放形がある。
 標準形は、隔壁などに直接接合する場合に使用され、一端開放形は、ケーブルが既に布設されている場合に使用される。これらのほかに特殊形貫通フレームも造られている。
 
2.6 電線管
2.6.1 電線管及び付属品
 電線管及び同付属品には次のようなJIS規格がある。
 
電線管 配管用炭素鋼鋼管(ガス管) G3452−97
鋼製電線管 C8305−99
硬質塩化ビニル電線管(注1) C8430−99
電線管付属品 金属製電線管用の付属品(注2) C8330−99
硬質塩化ビニル電線管用付属品(注3) C8432−99
(注1) 硬質塩化ビニル電線管を使用する場合、装備場所に制約があるので、管海官庁又は船級協会の承認を得る必要がある。
(注2) カップリング、コネクタ、ロックナット、ブッシング等。
(注3) カップリング、コネクタ、ノーマルベンド、ブッシング、キャップ等。
 
2.6.2 フレキシブルチューブ
 フレキシブルチューブは可とう電線管工事に使用されるもので、プリカチューブ(PA2及びPA3)などがある。
 PA2、PA3とも防湿、防食のためビニルその他の合成樹脂の被覆をしたものである。







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