2. 工事用材料、部品、工具
2.1 材料及び部品
材料と部品の区別は、生産管理による工事方法や材料、部品の標準化の程度が各社ごとに多少の相違があるので、明確に区別できないが、大体消耗品的なものを材料とし、その他を部品として取扱っている。
表2.1 電気艤装工事に使用する材料及び部品
用途 |
材料及び部品 |
ケーブル固定用 |
ケーブル押えバンド、ケーブル巻バンド、樹脂バンド、バンドバックル |
ケーブル支持用 |
電線馬、ケーブルハンガ、ハンガ吊り脚、ランナバー、ダクト、トランク、線樋、クリート |
ケーブル貫通用 |
グランド、ケーブル貫通箱、コーミング、ブッシング、MCT、防水材料、充填材 |
ケーブル保護用 |
電線管、電線管用付属物、フレキシブルチューブ |
機器へのケーブル接続用 |
圧着端子、テープ、チューブ、防水材料、はんだ、ペースト |
装備工事用 |
機器台(床取付形、壁取付形、天井取付形)、防振ゴム、防波箱、照明器具取付台、手さげ灯用引掛フック |
接地工事用 |
接地導体、接地金物 |
防食工事用 |
ジンククロメート、ジンククロメート座金 |
各工事用 |
小ねじ、ボルト、ナット、座金 |
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2.2 ケーブル
ケーブルは、JIS C 3410−99(船用電線)規格によるものとする。ただし、規格に規定されていないものについては、その他のJIS規格品、日本電線工業会(JCS)規格品で船級協会の承認を取得したケーブル又はこれと同等以上のもの(管海官庁の承認を受けたもの)を使用する。
参考のため、NK鋼船規則で使用が認められているJCS規格品等を次に示す。
(1)JCS 4283−77 |
660V船用けい素ゴム絶縁あじろがい装ケーブル |
(2)JCS 3296−77 |
660V船用制御機器配線用ビニル絶縁電線 |
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ただし、同心より線を使用したもの(660V−SY)を除く。 |
(3)JCS 4312−00 |
高圧船用電線、ただし、耐電圧試験は規則H編2.17.6−5.及び−6.によること。 |
(4)JCS 4316−55 |
無機絶縁ケーブル |
(5)JCS 3337−00 |
150V船用電子機器配線用ビニル絶縁電線 |
(6)JCS 4338−77 |
150V船用多心ビニル絶縁ビニルシースあじろがい装ケーブル |
(7)JCS 3378−81 |
660V船用配電盤用単心可とう難燃架橋ポリエチレン絶縁電線 |
(8) |
耐延焼性船用電線はIEC 60332−3 Category Aの試験に合格した耐延焼性ケーブル |
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なお、JIS C 3410−99で耐延焼性ケーブルが新規に規格化された。 |
(9) |
火災に対する考慮として、IEC 60331の試験に合格した耐火性ケーブル |
2.2.1 電線記号
(1)船用電線記号に使用されている文字の意味は、表2.2〜表2.3のとおりである。
表2.2 線心数及び用途の記号の意味
FA |
耐延焼性 |
M |
多心制御用及び信号用 |
S |
単心電灯用及び動力用 |
TT |
電話用及び計装用 |
D |
2心電灯用及び動力用 |
P |
移動用又は可とう |
T |
3心電灯用及び動力用 |
SCP |
配電盤用 |
F |
4心電灯用及び動力用 |
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表2.3 構成・材料の記号の意味
絶縁記号 |
外被記号 |
がい装記号 |
防食層記号 |
その他の記号 |
P |
EPゴム絶縁 |
L |
鉛被 |
C |
あじろがい装 |
Y |
ビニル防食 |
S |
一括遮へい |
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Y |
ビニルシース |
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SR |
けい素ゴム絶縁 |
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CB |
銅合金線がい装 |
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−S |
各心又は各対遮へい |
Y |
ビニル絶縁 |
N |
クロロプレンシース |
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E |
接地線 |
C |
難燃架橋ポリエチレン絶縁 |
D |
編組 |
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(注1) |
EPはエチレンプロピレンを示す。 |
(注2) |
あじろがい装は鋼線によるものとし、銅合金線あじろがい装の場合にはCの代わりにCBとする。 |
(2)電線の種類及び記号の使用方法の一例を次に示す。
(a)JIS C 3410−99 船用電線は、従来の難燃性の規定が「IEC 60332−1に準拠した耐炎性」と「IEC 60332−3 Category Aに準拠した耐延焼性」の2種類に規格化された。
(b)JIS C 3410−99 船用電線の公称電圧表示は、「IEC規格に合わせ、0.6/1.0kV」である。
なお、0.6kV:対地電圧(交流)、1kV:線間電圧(交流)を意味する。
但し、多心線及び電話用電線の公称電圧表示は、従来と同じく「250V」である。
(c)一般動力・電灯回路用電線の呼び方の例。
○0.6/1.0kV TPYC−4: |
0.6/1.0kV 耐炎性3心EPゴム絶縁ビニルシースあじろがい装ケーブル(4mm2) |
○0.6/1.0kV TPYCY−4: |
0.6/1.0kV 耐炎性3心EPゴム絶縁ビニルシースあじろがい装ビニル防食ケーブル(4mm2)(防食ケーブルの場合には、ケーブル記号の最後に、防食層「Y」の記号を付ける。 |
○0.6/1.0kV FA−TPYC−4: |
0.6/1.0kV 耐延焼性3心EPゴム絶縁ビニルシースあじろがい装ケーブル(4mm2)(耐延焼性ケーブルの場合には、ケーブル記号の前に、「FA−」をつける。 |
(d)多心線及び電話用ケーブルの呼び方の例。(絶縁記号を省略する。)
○250V HPYC−12:250V耐炎性多心EPゴム絶縁ビニルシースあじろがい装ケーブル(12心)
○250V TTYC−3:250V耐炎性電話用ビニル絶縁ビニルシースあじろがい装ケーブル(3対)
(e)配電盤用電線の呼び方の例。(絶縁記号及び外被記号を省略する。)
○0.6/1.0kV SCP−6:0.6/1.0kV 配電盤用可とう難燃架橋ポリエチレン絶縁電線(8mm2)
2.2.2 船用電線の構造
船用電線は、布設時に機械的損傷やガス、溶接などによる焼損を受けやすいので、特殊用途の電線(移動用コード、配電盤用電線など)を除いて、鋼線又は銅合金線によるあじろがい装が施されている。
一般によく使用されているケーブルの構造例を図2・1に示す。
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図2.1 船用電線の構造例
2.2.3 ケーブルの適用
電線の公称電圧表示が、「0.6/1.0kV」に一本化されたので、440V回路及び220V以下の回路とも使用電線の適用区分は同じである。
なお、多心線及び電話用電線は、従来と同じく「250Vクラス」である。
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