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(2)配電方式
(a)樹枝状方式
 図5・4のように、配電盤からの幹線から分岐線が樹枝状に引出される方式で、通常の船舶に使用される。
 この外に環状方式があるが、自衛艦及び大型客船等に採用されるので、ここではこれを省略する。
 
図5・4
 
(b)相数変換配電方式
 図5・5のようにスコット結線の変圧器を使用し、三相から二相又は二相から三相に相数変換ができ、漁船の電源に使用される。
 
図5・5
 
(c)単相変圧器3台及び単相変圧器2台で三相電源をつくる方式
 通常は単相変圧器3台を△結線として、三相三線式の(5・1・2の(2)の(3)参照)配電方式を使用するが、その内の1台が故障すれば、図5・6のように単相変圧器2台をV結線にして、3相電源を得て、3相負荷に給電する方式にする。
 この場合は、V結線の変圧器容量は3台の場合の57%になることに注意を要する。
 
図5・6
 
(3)特殊電路に対する配慮
(a)マグネットコンパス付近の電路は、マグネットコンパスに電磁誘導の影響のないように布設する。
(b)敏感電路と妨害電路と一般電路との関係は重要である。敏感電路に静電、電磁の誘導がないよう、電路によってある値だけ間隔をおくか、シールド線を使用する。
(c)タンカーにおける一般電路と本質安全回路の電路との関係も上記と同様に配慮し、かつ、危険場所の電路も規則で決められたとおりとする。
(4)電路系統図
 系統図を分類すれば次のようになる。
(a)主電路系統図 これは発電機から出発して配電盤・区電盤、分電盤に至る主電路を画くもので、装置別のものでも、その主電路はこれに入る。いわゆる樹枝状配線の主幹となる電路である。なお、非常発電機がある場合は主発電機との関連系統も作成しなければならない。
(b)装置別電路系統図 これは各装置別に作成するもので、動力、通信、照明、航海、計装、無線機器別に分け、また、主要補機、操舵機器、航海灯などは特別の系統図を、作成しなければならない。
(5)各種機器の結線図
 各機器の結線図を必要に応じ作成し、配線工事の結線に役立せるが、端子符号の間違いのため思わぬ事故を招くことがあるので、注意を要する。故障の発見、故障の修理にも役立つので作成した方がよい。
(6)各種装置の電路布設図
 前記系統図に従って船体のどの部分に電路を布設するか、関係部と協議の上図面を画く。
(7)各種装置の配置図
 各種装置の配置決定に当たってはその用途を十分考慮し、また、関係部とも協議して決定したものを配置図に画く。重要装置の配置については船主との協議も必要である。
(8)船内試験方案
 艤装完了後、電気機器が所期の性能を有するかの試験を実施する。したがって、あらかじめ工事完了予定と照合して試験の順序と試験の内容を定め、船主及び関係部、必要があれば関係検査員と協議して、方案を作成する。
(9)関係先への承認図書
 以上述べた図面、試験方案、必要と思われれば仕様書等を船主並びに関係官庁、船級協会宛承認用として、必要部数提出し、承認された後工事用図面、試験方案、仕様書などが有効になる。これらが正式に返却されるまでは日数を要するので、急ぐ場合は事前に打合せすること。
5・2・2 艤装工事完了後
 下記完成図書を作成し、船主へ提出する。
(1)各種装置の電路系統図、電路布設図、配置図
(2)各種装置の詳細図、結線図、取扱説明書、試験成績表
(3)各種装置の予備品目録表
(4)船内試験の試験成績表
(5)電力調査表







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