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(3)GPSによる位置測定の原理
 GPSシステムでは、図7・10のように6つの非極軌道に衛星を4個づつ計24個が周回しており、地球上の一地点において常時4個以上の衛星から電波を受信することができる。状況によっては、8個の衛星から受信できるとも言われている。
 図7・11は、その位置測定原理を示しているが、複数の衛星からの距離が得られるので、衛星を中心とし距離を半径とする球面が地球表面と交わる円が位置の線であって、このような円の交点として位置が求まる方式である。
 図7・12において、Oは地球の中心、S1、S2、S3はGPS衛星、Pは船の推定位置とする。数個の衛星S1、S2、S3、・・・Snから船Pまでの距離PS1PS2PS3PSnはEPIRBの場合と同様の計算で、求めることができる。すなわち
である。
 
 GPSでは、船で受信した衛星からの信号が受信機内の基準信号と比較して、どのくらい遅れて到達したかが測定され、これから真の距離PStnが分かるので、PSnの誤差εPSnが、PStnPSnとの差として分かる。したがって
εPSn=PStnPSn である。
図7・10 GPS衛星の配置
 
 またεPSnは誤差方程式より
であるから、4つ以上の衛星からの信号受信によって、4つ以上の観測方程式が得られ、4つの未知数Δφ、Δλ、Δh、Δtが求まる。
 これらの値で推定値を修正し、EPIRBの場合と同様に繰返し計算を行なえば、精度の高い位置が計算される。
 通常のGPS受信機では、100m以内の精度で位置が得られ、ディフェレンシャルシステム(DGPS)を利用すれば10m程度の精度で得られると言われている。
 ディフェレンシャルシステム(DGPS)とは、GPS受信機で得られた位置の誤差は、ある範囲内では概略一定であることを利用して定点で観測した誤差の放送を同時に受信して位置精度を上げているものである。このDGPSが自動車のカーナビ等に利用されている。
 平成12年5月1日、米国大統領声明によって、これまで意図的にGPSの精度を落としていたSA方式は廃止された。この結果民間用GPSの精度が上がり、船舶の位置はDGPSを利用しなくても、狭水道等の航行に十分な約10mの精度で位置が得られるようになった。
図7・11 GPS衛星からの距離円
図7・12 GPS衛星による位置測定原理







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