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7・1・2 実測位置、推測位置、推定位置
 上述のような位置の線の二本以上の線の交点として得られる位置は、いずれも実測された位置の線の交点であることから、実測位置といわれる。
 実測位置から針路を定めて航行し、ある速力である時間航走したならば、針路線上で航走した距離(航程という)円との交点として、現在の位置が推測される。この位置は、針路線上といっても実際には右や左に偏向しながら(ヨーイングという)航行し、しかも風波や潮流の影響も受けているので、実際の位置とはいわず推測位置(dead reckoning positionデドレコ)といっている。この間に受けた風波や潮流の影響を推量して修正した位置を、実測位置や推測位置と区別して推定位置といって区別することもある。
 実測位置の緯度と経度に、針路と航程に応じた緯度の変化量と経度の変化量を加減すれば、現在の推定位置の緯度と経度が得られることになる。
 一方地球の上に描いた緯度の線と経度の線を見ると分かるように、図7・4のように赤道附近では南北方向に60浬移動すると緯度が1度違い、東西方向にでも60浬移動すれば経度は同じく1度違うように、緯度差の度数に対する地球上の距離と経度差の度数に対する地球上の距離は同じである。
 
図7・4 地球上の南北移動と東西移動
 
 しかし、だんだん緯度が高くなると経度の線は間隔が狭まってきて、北極や南極では1点に集まっている。従って南北方向に60浬移動すると緯度は1度違うのに対し、東西方向に60浬移動すると経度は1度以上違うことになる。
 緯度60度附近では南北方向の移動距離と同じ距離東西方向に移動すれば経度変化は約二倍の経度差となり、緯度70度附近になると約三倍の経度差となる。
(1)平面航法 第7・5図
 移動範囲が平面内と考えられる狭い範囲の航海では、次のように計算される。
 第7・5図のA点(経度φ1、経度λ1)を出発して針路θで航程D浬の航行の後、B点に達したとすればB点の緯度φ2、経度λ2は、次の式によって計算される。
 
図7・5 平面航法
 
図7・6 漸長緯度航法
 
λ2=λ1+dλ
ただし、dφ:緯度差、 dp:東西距、 dλ:経度差、 θ:針路
 
(2)漸長緯度航法 図7・6
 移動範囲が大きい場合は、漸長緯度を利用して経度差を求める方法がある。この場合の計算は次の式による。
(拡大画面:11KB)
 
ただし、dmpは漸長緯度差と言われるものである。
 
7・1・3 現在位置と推測位置
 船は停泊中でない限り常に移動を続けているので、現在位置というものは時々刻々過去の位置になってしまうものである。このため測定した現在位置にはそのときの時刻を必ず付けておかなければならない。例えGPSのように非常に短い時間間隔で船の位置を測定する装置にあっても、すべての測定位置は過去の位置となってしまうし、それぞれの位置の間は針路と航程によって補間しておかなければならない。また、いつその装置の位置測定が途切れるか分からないので、自動的な船位測定装置にあっては、ベースとして針路と航程による船位推測位置計算装置を備え、実測船位を得るごとに新しく船位をリセットしては、推測位置計算を続けるようにしている。







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