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レーダー講習用指導書(船舶自動識別装置、航海情報記録装置、衛星航法装置編)

 事業名 船舶の電気装備に関する技術指導
 団体名 日本船舶電装協会 注目度注目度5


7・5 ECDIS(電子海図情報表示装置)
7・5・1 概要
 ECDIS(Electronic Chart Display and Information System)とは、国際規格(IMO A.817(19)、IMO MSC.64(67)Annex5、IMO MSC.86(70)Annex4及びIEC 61174(*注))で定められた航海援助装置で、各国水路部によって発行される公的な電子海図(ENC:Electronic Navigational Chart)を基にSENC情報を表示する装置である。
 SENC(System ENC)とは、ECDISによって、ENCから変換された結果生じるデータベースで、適切な手段による更新、及びその他航海者が必要とする航海情報や航路計画等を付加されたデータを含み、実際にECDISにアクセスされるデータベースであって、他の情報源からの情報を含んでもよい。航路計画及び航路監視中に表示可能なSENC情報は、デスプレイ・ベース、スタンダード・デスプレイ、及びすべての他の情報、の3つのカテゴリーに類別されること。
 デスプレイ・ベースとは、すべての地理的な範囲とすべての状況において、いつでも必要とされる情報で構成され、表示から取り除かれることができないSENC情報の種類であり、スタンダード・デスプレイは、ECDIS上に海図が最初に表示されるときに示されるSENC情報である。これは、電源投入後に最初の海図が表示される場合のみ適用される。
 RADAR情報を重畳表示することができ、逆にRADARにSENC情報の一部を表示することが可能となっている。このことから、ECDISはAISあるいはVDRに間接的に情報を提供し得る機器でもある。
 総称ECDISには、電子海図のデジタル化の違いにより、ベクター方式(ENCが該当)とラスター方式(RNC:Raster Navigational Chart)の2種類があり、各国水路部の事情によりENCの発行が遅れている海域に限って、その海域の紙海図を備えている条件の下でラスター方式の海図情報表示装置(RCDS:Raster Chart Display and Information System)の使用が認められている。
 承認を得たECDISはバックアップ機能を持つ条件で紙の海図と同等の扱いができることとなっている。
 海図表示のカラーやシンボル及びENCからのデータ変換の仕様に関しては、IHO勧告で定めた内容をIECの機器規格としている。
注)RCDS関連規格の追加変更は、第2版(Ed.2)に織込まれている。
 
7・5・2 主な性能要件
 ECDIS(RCDSはこれに準ずるものとする。)には航行安全に関する多くの細かい規定があり、性能基準に従って確認しなければならないが、下記に主な項目を列挙する。
(1)SENC情報のすべてが表示できること。
(2)「デスプレイ・ベース」、「スタンダード・デスプレイ」及び「その他」の3種類の分類の表示ができ、単一操作で「スタンダード・デスプレイ」が表示できること。
(3)ECDISの表示内容は、3回以内の操作で、追加・削除が容易にできること。ただし「デスプレイ・ベース」の内容は削除できてはならない。
(4)安全等深線、安全水深を選択でき、強調して表示できること。
(5)ENCの更新ができ、正しくSENCにロードされていることを確かめる手段を持つこと。
(6)ECDISに付加した航海情報は共通の測地系を用いること。(WGS−84)。
(7)ECDISに、RADAR情報、RP情報を表示してもよいが下記の条件を満たすこと。
(A)海図とRADAR映像/RP情報は、縮尺、向き、投影法も合致すること。
(B)RADAR映像と船位センサの位置のズレは自動的に補正され、SENC表示と合致するように、自船の位置を手動で調整できること。調整量は明白に表示すること。ECDISには真運動表示モードを備え、SENCはノースアップ表示ができなければならない。
(8)航路計画を、変針点設定方式で作成でき、追加、削除、変更等ができること。
(9)ENCに含まれている海域を任意に呼び出す航行監視ができ、表示画面に自船の航行海域が含まれている場合は自船の位置を常に表示すること。
(10)下記の警報機能を持つこと。
(A)安全等深線を横切る航路計画をした場合。
(B)計画した航路から離脱した場合。
(C)変針点接近。
(D)接続機器異常。
(11)過去12時間に遡って航海を再現できる航海データ記録を行なえること。
(12)できれば独立した2つの測位センサを備え、利用している装置、差異の識別表示ができること。
など。
 
 図7・7にECDIS画面の一例を示す。
 
(拡大画面:331KB)
図7・7 ECDIS画面の一例
 
7・5・3 装備要領
 ECDISに入力しなければならない情報
 自船位置情報の入力は必須であるが、できれば独立した2つの測位センサからの入力を推奨している。さらに船首方位情報および速力情報を要求している。
 その他の情報(レーダー映像、ARPA情報、風向風速計、音響測深機)は任意に接続してもよいことになっている。INS/IBSとしての構成に組み入れられた場合等、船舶の要求仕様により異なっている。
 他機器とのインタフエースは原則として国際規格のIEC 61162センテンスによる。IEC 61162規格によらない場合は、メーカー独自のインタフエースになるので、装備配線についてはメーカーと事前の打ち合わせが必要である。
 
 図7・8にECDISの構成の一例を示す。
 
(拡大画面:21KB)
図7・8 ECDlSの構成の一例







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