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6・2・2 データ送信
 データは標準に従いシリアル非同期形式で送信される。図6・4に示すように、1バイトごとに、スタートビット→データビットの順番で送信される。データを送らないときはHレベルになっており、データを送り始める合図として、1ビット分の論理値0が送られる。これをスタートビットという。リスナはデータが0に変化したことを合図として、受信を始める。
 
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図6・4 データ送信フォーマット
 
 次に8ビットデータを送る。送る順番は下位ビットからである。アルファベットだけを送るのならば、7ビットあればすべてのデータを送れる。そのため、7ビットモードをサポートしている場合もある。(普通日本では、8ビットが使われる。)
 ストップビットは、1バイト分の通信の終了を知らせる1ビット分の論理値1である。
 ここで電圧と論理値などの関係について触れておく。NMEA 0183の古いバージョンの規格との互換性を保つために、信号において、待機中、符号、論理値1、OFF、ストップビットを表す場合は−15.0V〜+0.5Vを用い、動作中、スペース、論理値0、ON、スタートビットをあらわす場合は+4.0V〜+15.0Vを用いることが前もって定義されている。
 以下のパラメータが用いられる。
ボーレート 38400bps(標準の通信の場合は4800bps)
データビット 8(D7=0)
パリティビット なし
ストップビット 1
 bpsというのは1秒間に何ビットのデータを送るかを表す数値である。日本では、データ8ビット+スタートビット+ストップビットが1組で、1バイトのデータを送るために10ビットを送ることになる。したがって、1秒間に送れるバイト数はこのbpsの10分の1で、4800bpsなら1秒間に約480文字送れる計算になる。
 
6・2・3 データフォーマットプロトコル
 トーカのデータはプリントできるアスキ型で、位置、衛星情報などが含まれている。典型的なメッセージは11〜最大79文字長さで、20ms毎に1回以上送信する。(標準の通信の場合は20〜79文字、1秒に1回程度送信する。)
 
(1)文字
 全ての送信データはASCII型である。最上位ビットD7は常にゼロである。
(A)予約文字
 予約文字としてある特定のフォーマットに用いられる文字の一覧を表6・1に示す。“^”文字(HEX 5E)を除き、これらはデータフィールドでは使ってはいけない。
 
表6・1 予約文字
アスキー表示 16進数表示 10進数表示 説明
〈CR〉 0D 13 キャリッジリターン
〈LF〉 0A 10 ラインフィード(文末を示す。)
24 36 文の開始を示す。
2A 42 チェックサムフィールドの範囲を示す。
2C 44 フィールドの範囲を示す。
21 33 未使用(将来の使用を予定)
5C 92 未使用(将来の使用を予定)
5E 94 アスキー文字を16進数で表現していることを示す。
7E 126 未使用(将来の使用を予定)
 
(B)有効文字
印刷可能なすべてのASCII文字(HEX 20〜HEX 7E)から予約文字を除いた文字が有効文字である。有効文字を表6・2に一覧として示す。
 
アスキー表示 16進数表示 10進数表示   アスキー表示 16進数表示 10進数表示   アスキー表示 16進数表示 10進数表示
スペース 20 32 40 64 60 96
予約文字 21 33 A 41 65 a 61 97
22 34 B 42 66 b 62 98
23 35 C 43 67 c 63 99
予約文字 24 36 D 44 68 d 64 100
25 37 E 45 69 e 65 101
26 38 F 46 70 f 66 102
27 39 G 47 71 g 67 103
28 40 H 48 72 h 68 104
29 41 I 49 73 i 69 105
予約文字 2A 42 J 4A 74 j 6A 106
2B 43 K 4B 75 k 6B 107
予約文字 2C 44 L 4C 76 l 6C 108
2D 45 M 4D 77 m 6D 109
. 2E 46 N 4E 78 n 6E 110
2F 47 0 4F 79 o 6F 111
0 30 48 P 50 80 p 70 112
1 31 49 Q 51 81 q 71 113
2 32 50 R 52 82 r 72 114
3 33 51 S 53 83 s 73 115
4 34 52 T 54 84 t 74 116
5 35 53 U 55 85 u 75 117
6 36 54 V 56 86 v 76 118
7 37 55 W 57 87 w 77 119
8 38 56 X 58 88 x 78 120
9 39 57 Y 59 89 y 79 121
3A 58 Z 5A 90 z 7A 122
3B 59 5B 91 7B 123
3C 60 予約文字 5C 92 7C 124
3D 61 5D 93 7D 125
3E 62 予約文字 5E 94 予約文字 7E 126
3F 63 _ 5F 95 予約文字 7F 127
 
(C)未定義文字
 予約文字と有効文字以外のASCIIの値(文字)は、除外され、いかなる時にも送信されることはない。ただし、IEC 68859−1で定義された8ビット文字を送信する必要のある場合は、予約文字“^”(HEX 5E)の1文字に2文字追加し、3文字の形式で表し送信する。
 例えば、“127.5°”と送る場合、“°”(HEX F8)は有効文字ではないので、“127.5^F8”と送信する。予約文字<CR><LF>を送るためには、“^0D^0A”と送信し、“^”自身を送るためには“^5E”と送信する。
(D)文字記号
 単位、データフィールドの型、センテンスの型等を表す特有な文字をアルファベット1文字に置き換えて表す場合がある。それらの文字記号は、表6・3のように送信される。
 
表6・3 記号として用いられる場合の文字の意味の例
記号 意味
A 状態を表す記号 yes、データ有効、警告フラッグクリア、自動、アンペア(A:電流の単位)
a AからZあるいはaからzまでのアルファベット文字を表す不定文字
B バール(bar:圧力の単位、1000mb=100kPa(パスカル))、ボトム
C 摂氏(℃:温度)、コースアップ
c 有効な文字、計算できる
D 度(°:角度)
E エラー、東、エンジン
F ファトムズ(fm:fathoms主に水深を測る場合の単位、1fm=1.828766m)
f フィート(ft:1ft=0.30479m)
G 大圏、緑色
g 良い
H コンパスの船首方位、ヘッドアップ、ヘルツ(Hz:周波数の単位)、湿度
h 時間、16進数
I インチ(inch:1inch=0.0254m)
J 入力動作の終了
K キロメータ(km)、時速(km/h)
k キログラム(kg)
L 左、ローカル、ロストターゲット
l 緯度、リットル(1)、流量(1/s)
M メータ(m)、秒速(m/s)、磁気、マニュアル、体積(m3
m 分、メッセージ
N 海里(nm:1nm=1852m)、ノット(kt)、北、ノースアップ、ニュートン(N:力の単位)
n 数字、アドレス
P 紫色、占有(“$”に続く場合のみ)、位置計測センサ、パーセント(%)、パスカル(Pa)
Q 質問、捕捉されているターゲット
R 右、羅針方位、赤色、相対的、参照、レーダートラッキング、回転数(RPM:1分あたりの回転数)
S 南、マイル(mi:1mi=1609.31m)、時速(mi/h)、シャフト
s 秒(s)
T 時間差、真、トラック、追跡されたターゲット
t テスト
U 推測航法による予測
u 符号(マイナスであれば“−”(HEX 2D)
V データ無効、否定、警告フラッグセット、マニュアル、ボルト(V:電圧の単位)
W 西、水(海水、領海、水面)、転舵開始
x 数字を表す変数
y 経度
Z 時刻







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