第5章
(問1)
自船の船首方向(進行方向)がCRTの画面上の真上方向を0度とする相対方位表示に対して、真方位表示は真北を常にCRTの真上方向とし、その真北に対して自船の進行方向(β)が表示される。したがって、海図との対比が容易である。
真方位装置は、図示した基本構成図のように空中線からの回転信号である船首方向を0度とする相対方位信号と、ジャイロコンパスによって回転するレピータモーターからの信号である船首方向(β)との差を差動発振器で検出し、その差の信号をサーボアンプで増幅してサーボモーターを回転させ、それに連結された偏向コイルによってスイープを回転させる。このため、スイープは船首方向から(β)だけCRTの真上方向からずれて出るように回転する。
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真方位装置の構成
相対方位表示
真方位表示
(問2)
円偏波を利用した方法である。円偏波は空中を旋回しながら伝搬し、雨滴で反射されると旋回方向の異なる円偏波となって帰ってくる。これが空中線内のサーキュライザを通ると、送信波と90°方向の異なる垂直偏波に変換されて受信が困難となる。一方、一般の物標からの反射波はだ円偏波となって帰ってくるが、これはサーキュライザを通過しても送信波と同じ成分を相当含んでいるので受信することができる。また、雪についても、ほぼ同様の理由で軽減することができる。
(問3)
レーダー・パフォーマンスモニターはレーダーアンテナの近くに設置し、マグネトロンの劣化や受信感度の低下等を検査・監視する用途に使用される装置で、レーダー送受信機の送信出力の低下状況の監視と受信回路の受信感度の状態を判断するための極微弱なマイクロ波を送信する機能を持っている。
レーダー・パフォーマンスモニターはレーダーの性能を判断するものなので、レーダー本体側を所定の動作状態に設定しておくことが必要である。
従って、レーダー本体側は次に示すように設定する。
・レーダーの距離レンジは24マイルに設定する。
・輝度は中程度とし、上げ過ぎないように調整する。
・感度は画面上に雑音が少し映る程度に設定する。
・STC及びFTCは「最小」若しくは「断」の状態とする。
・同調を調整し最良状態にしておくこと。
第6章
(問1)
(1)相対運動表示(RM表示)
自船の位置(PPIの中心)は固定され、すべての物標は自船に対する相対的な動きとして表示される。そのため、自船に対する物標の動きを判断するのに適している。
(2)真運動表示(TM表示)
動いている物標は、それぞれの移動方向にその各々の速度に比例して移動状態が表示され、停止している物標や固定物標は、その位置に止まって動かない。したがって、移動物標と固定物標の識別が容易であり、ブイ等の固定物標を小舟と見誤ることが少ない。
(問2)
(1)ヘッドアップモード
自船の針路方向が常に画面の真上方向(0°方向)となる。いわゆる相対方位表示である。したがって、画面と視界との対比が容易で、大洋の航行に適している。
(2)ノースアップモード
常に画面の真上に真北を表示する、いわゆる真方向表示である。従って、自船の針路は真北に対して表示され、海図との対比が容易である。沿岸の航行に適している。
(3)コースアップモード
自船の針路は画面の真上に表示される。自船の設定針路が変化すると、その針路からの変化分だけ船首線が右又は左に偏向するが、映像そのものは回転しないので映像ににじみ等がなく、更に画面と視界との対比もやりやすく、見やすい画面を得ることができる。
(問3)
(1)第一段階:(レーダーの情報からの目標の検出)
レーダーの情報から目標を手動又は自動で捕捉し、データ処理部へ転送する。
(2)第二段階:(捕捉した目標の追尾)
捕捉した目標の、時々刻々と変わる位置のデータを、先に検出したデータと比較して同一目標であることを判定し、同一目標ごとにそのデータをファイルする。
(3)第三段階:(衝突の危険性についての判定)
第二段階で追尾し、ファイルした同一目標の位置のデータから、その目標の速度と針路を算出、すなわちCPAとTCPAとを計算し、あらかじめ自船の状態に応じて設定してあるmin CPA及びmin TCPAと対比して、その目標と衝突する危険性の有無を判定する。
(4)第四段階:(表示)
以上の処理されたデータは、CRTの映像の上にオーバラップされ、ベクトル等のシンボルでその状態が表示されたり、LED等によるデータの表示、あるいは音によって観測者に知らされる。
第7章
(問1)
(1)レンジは6マイル又は12マイルにしておく。
(2)利得及び輝度調整つまみは反時計方向一杯に回し、何も出ないようにしておく。また、STCも反時計方向一杯に回しておいて、全く抑制していない状態にしておく。
(3)同調メーターを見ながら同調つまみをゆっくり回し,その振れが最大(最小)になるようにセットする。
(4)輝度調整つまみをゆっくり回し、わずかにスイープが見えだす点にセットする。
(5)利得調整つまみをゆっくり時計方向に回し、映像が現れ、さらにわずかにノイズが現れだす、その寸前にセットする。
(6)最後にSTCつまみを時計方向にゆっくり回し、小物標(例えばブイや小舟)が海面反射の中で識別され、かつ、それが消える寸前より少し手前の所にセットする。
以上で最良点が得られるが、この調整は昼間と夜間とでは明るさが異なり、また、海面反射が強いときのSTCや利得の調整には十分な注意が必要である。
(問2)
注意事項:輝度調整つまみを反時計方向一杯に回しておくこと。
理由:次回にレーダーを動作させたとき、もし、スイーブ回路等に故障があると、(この故障は、レーダーをONからOFF又はOFFからONしたときに発生することが最も多い。)CRTの中心に輝点だけが現れる。これを長くそのままにしておくと、CRTの中心付近の蛍光面を焼いてしまうおそれがある。したがって、輝度調整つまみを反時計方向一杯に回しておけば、それを防ぐことができる。
(問3)
片目をつむって映像画をのぞくと目がガラスに映っているので、その瞳の中心がカーソルの中心にあるようにしながら、そのとき同時に、その中心の真下にスイープの起点がくるようにオフセンター用の各つまみを調整して、位置を決定する。
第8章
(問1)
(1)ドライバー等で、マグネトロン用の磁石のN−S間を短絡してはいけない。減磁の原因になる。
(2)マグネトロンの高周波出力部と導波管又はプローブとは、確実に装着するように細心の注意を払うこと。
(3)ヒーター用のプラグは、カソードの方向を確認し、誤接続のないよう十分に注意すること。もし、反対に挿入すると、カソードに大きな電位差を発生し、マグネトロンの正常な動作は期待できない。
(4)電源を投入するときには、ヒーターにのみ規定の電圧を印加して、30分以上はエージングを行うこと。特に長期間保存したマグネトロンの場合は、1時間位はエージングを行った方がよい。
(問2)
(1)衝撃を与えないこと。
(2)近くで電気溶接をしているときには、交換を待つこと。その高周波エネルギーによって不良になる可能性がある。
(3)バランスドミキサの場合は、互いに逆極性のダイオードが使われているので、その極性を間違えない様に装着すること。
(4)良否の判定のためにテスタを使うときには、R×100以上のレンジで正逆比の判定を行うこと。これ以下のレンジで行うと大きな電流が流れて、クリスタルダイオードを破壊させるおそれがある。
(問3)
(1)衝撃を与えないよう、指定の箱に収納すること。
(2)蛍光面すなわちCRTの表示面が下になるようにして保管すること。これで蛍光剤のはがれることを防止する。
(3)CRTによっては、強磁性体の側には置かない方がよいものがある。CRTの材料に磁化されるものが使われている場合には、その一部が磁化されると、画面にひずみを発生する原因となる。
(4)湿度の高いところには保管しないようにする。
第9章
(問1)
このような状態は、CRT本体、CRTの高圧回路、CRTのヒーター、アンブランキング回路、輝度回路、は正常又は正常に近い状態であることを示している。したがって、チェックの手順としては上記以外のところ、すなわちスイープ関係の回路をチェックすることから始める。
スイープ関係のチェックは、電圧が高くて故障の起きやすい終段の部分から、逆に前段へ追及の手順を進めていくのがよい。
(問2)
(1)送信出力の低下若しくは欠如:感度不良になるか、あるいは映像が出なくなる。
(2)ヒーターの断線:この場合は、出力はゼロとなるから映像は全く出ない。
(3)ミッシング:画面上では、映像が破れ傘状(スポーキングという。)になる。
(問3)
(1)TR管の放電不良:クリスタルダイオードが焼損し、その結果感度不良となる。
(2)TR管の放電回復時間が長い:送信後のTR管の放電回復時間が長いため、近距離の感度が不良となる。したがって、ちょうどSTCが掛かったように見える。
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