日本財団 図書館


7・8 カーソルの使い方
 正確な方位の測り方として次のことに注意すること。
 レーダーでは、空中線の水平ビーム幅の分だけ、映像が横方向に拡大される性質がある。これは目標がビーム幅の中にある間は、反射波が受信されるためで、空中線が目標に正しく向く1/2ビーム幅の手前から反射波は受信され始め、これは目標から1/2ビーム幅それるまで続いているので、映像面では目標の両端がそれぞれ1/2ビーム幅ずつ拡大されることになる。図7・3はこれらのようすを示したもので、方位の正確な測定には、次の注意が必要である。
 
図7・3 水平ビーム幅による方位の拡大
 
(1)単一目標の方位を測る場合
 カーソル線をその目標の映像中心に合わせて測る。
(2)目標の一端の方位を測る場合
 例えば島等の端を測る場合は、映像の端から1/2ビーム幅だけ内側にカーソル線を合わせる。図7・4の点線は誤りで、実線が正しい合わせ方である。この方位拡大効果は受信機の感度を上げると大きくなるので、カーソルの入れ具合も、それにより幾分加減が必要である。
 
図7・4 カーソル線の正しい合わせ方
 
7・9 操作上の個人差
 操作の方法は、取り扱う人によっても、また、操作の目的や海面の状況によっても異なってくる。例えば、昼間明るい所で調整する場合は、ビデオと距離目盛を上げておいて、掃引線がわずかに見える程度に輝度調整を行い、この状態で感度を上げるような調整を行うのが普通である。この方法は、弱い目標に対して最良のレスポンスが得られる。しかし、CRT面上に雑音が現れないように感度調整を調整して、強い目標だけを表し、非常にきれいな画面にすることもしばしば行われている。要はこれらの調整法が常に最良でなくても、その都度使用目的に応じて変えていけばよいわけで、例えば航行だけの目的からいえば近距離にある目標に対しては、感度調整を半分ぐらいにして十分目標が識別できるようにし、海面反射を制御するためSTCサプレッサーを適度に動作させれば十分であろう。しかし、弱い小さな目標や遠い目標を探知しようとする場合には、距離目盛を消して感度調整を上げ、CRT面上に少し雑音が出る状態で使用する方が望ましい。
 
練習問題
(問1)利得、同調、輝度及びSTC等の各つまみを使って最良の映像を得るための、効果的な調整手順について述べよ。
(問2)レーダーをOFFにするときに、注意した方がよいことが一つある。それは何か。また、その理由についても述べよ。
(問3)オフセンターを有するレーダーで、スイープの起点(スイープオリジン)をカーソルの中心に合わせるための方法について説明せよ。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION