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3・8・2 EL
 エレクトロ・ルミネッセンス、すなわちElectro Luminescenceの略でZnS(硫化亜鉛)等蛍光体を主成分とした物質を面状電極で挟み交流又は直流電圧を印加するときに生じる発光現象で、平面ディスプレイとして利用されている。発光体としてはZnS・ZnSe(セレン化亜鉛)の結晶が用いられる。LCDに比べ駆動電圧が高く高価である。
(1)基本構造
 有機ELの基本構造は、図3・19に示すように、パッケージフィルム、透明導電フィルム(透明電極)、発光体層(蛍光体発光層)、絶縁層(反射絶縁層)、裏面電極層(基盤電極)、により構成されている。
 
図3・19
 
 裏面電極層を除き、すべて透明な薄膜で形成され、XYマトリクスを構成するように、電極素線群が互いに直交に配置されている。図3・20のように、これらの電極間に交流パルスを印加し、選択された交点に高電界を加え、その交点画素が電界発光することにより、所定の表示を得ることができる。
 
図3・20
 
(2)特長
形状
 高密度実装技術により、薄型ELパネルと電子回路が一体化され厚みも薄く軽量化されている。
表示
 薄膜EL発光層の採用で鮮明な表示、広い視野角を持ち視認性に優れている。
表示色
 発光色は目に疲れを感じさせないオレンジイエローが多い。
信頼性
 ELディスプレイは、固体の電界発光素子のため温度の変化や振動にも強く、高い信頼性をもつといわれている。
精細度、表示容量
 大表示容量ディスプレイに対するニーズに対応し、ノート型パソコンで使われているディスプレイと同容量の640×480ドットタイプのものもあり、更にELの応用分野を広げるために、1mm当たり4本という高精細、大表示容量(1,024×768ドット)のELユニットのものまで開発されている。簡単な入力信号の採用で、汎用性に富んだ表示モードと高速のデータ表示が可能となっている。
(3)実際の利用
 ELは駆動電圧が高く(15〜200V)また、一般に数千時間といわれる寿命のため、そのものを情報表示装置に利用するにはまだ実用的とはいえない。LCD表示器の照明等にELパネルとして利用されることが多い。
 
3・8・3 PDP(プラズマディスプレイパネル)
 プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel)の略で、蛍光灯と同じようにガス中での放電を利用した発光素子である。大型平面ディスプレイとして開発され一部実用化されている。CRTに比べまだ高価であり、航海用レーダー表示器としての使用は少ない。
(1)基本原理及び構造
 PDPの発光原理は、基本的には蛍光灯と同じで、ガス中での放電によるガス自体の発光又は放電により発生した紫外線で蛍光体が励起され発光する。単色のPDPではネオンガスが使用されており、ネオンガスの放電により赤橙色で発光する。カラー表示では、R、G、Bの3原色の蛍光体が塗布されており、それらが発光する。蛍光体の発光を利用した表示装置なので視野角が広く、色再現性も良い。
 PDPには、図3・21に示すように、電極が放電空間に露出しているDC型と電極が保護膜で絶縁されているAC型がある。どちらの構造でも2枚のガラス板で放電空間を挟んだ構造になっている。放電空間にはヘリウム、キャノンの混合ガスが充填されている。
 図3・22にパネルの構造図を示す。縦横のマトリックス状の電極を持つガラス板で混合ガスが充填された放電空間を挟んだ構造になっている。
 薄型パネル構造のため、CRTに比べ、奥行きが短く、重量も軽量化されている。
(2)特徴
 PDPは一度放電するとその後も放電し続ける、いわゆるメモリー効果があり、大画面になっても輝度が低下しない特徴がある。
 その他の特徴としては、磁気の影響を受けず、色ずれが発生しないことと、フラット画面で画素が構成されており、画面周辺でも歪みが発生しない特徴がある。
 
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図3・21 カラーPDPの発光原理
 
(拡大画面:35KB)
図3・22 カラーPDPの構造







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