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3・10 通信・計測装置
3・10・1 絶縁抵抗試験
 動作試験前に導体と船体間の絶縁抵抗を計測する。計測は500V絶縁抵抗計により行う。もしトランジスター、ダイオードなど各種半導体を使用している場合は、主回路から切り離してテスターで測定する。
3・10・2 動作試験
 自動交換電話、各種電話、ラダーアングルインジケータ、プロペラ軸回転計、エンジンテレグラフ、エンジンモニタ、その他各種通信・計測装置を実際に動作させ、各部機能が正常に作動し、異常のないことを確認する。
3・11 航法装置
3・11・1 絶縁抵抗試験
 動作試験前に導体と船体間の絶縁抵抗を計測する。計測は500V絶縁抵抗計により行う。もしトランジスター、ダイオードなど各種半導体を使用している場合は、主回路から切り離してテスターで測定する。
3・11・2 動作試験
 各種航法装置は海上試運転時に実際に動作させ、正常な機能を発揮することを確認すると同時に必要に応じて調整を行う。
(1)ジャイロコンパス:海上試運転時において特に振動、動揺、温度の影響に対し、支障なく動作することを確認する。
(2)オートパイロット:だ輪及び非追従操だ桿による手動操作が支障なく作動することを確認する。自動進路保持操作、自動進路変更動作が支障なく動作することを確認する。
(3)音響測深機:動作試験を行い、その動作及び海図に示される深度との誤差関係に支障のない事を確認する。
(4)ログ又は船速距離計:動作試験を行い、その作動及び試運転速度試験結果との誤差関係に支障のない事を確認する。
(5)風向風速計その他航法装置の動作試験を行う。
3・12 無線設備及び電子機器装置
 下記各装置について動作試験前に導体と船体間の絶縁抵抗を計測する。計測は500V絶縁抵抗計により行う。測定値は3・13・4に示す値以上であることを確認する。なお各種半導体を含む回路についてはテスターで測定する。
3・12・1 無線設備
 ナブテックス受信機、高機能グループ呼出受信機、デジタル選択呼出装置、デジタル選択呼出聴守装置、インマルサット直接印刷電信等の無線設備は、船舶検査の方法及び電気通信監理局の指示に基づき整備、試験を行い合格すること。
3・12・2 無線用配電盤
 計器、スイッチ類の操作及び配電盤としての機能に異常のないことを確認する。
3・12・3 無線方位測定機試験
 実際の受信試験を行うと同時に下記調整を行う。
 本船から半径約1kmの円周上を時計方向及び反時計方向に発信電波源を持つ小形船を回周させ、方位測定機による探知方向を視界により5°単位で求めた探知方向により修正データを作成する。
3・12・4 その他無線電子機器試験
 各装置について実際に作動させ、各部の機能及びその作動に異常のないことを確認する。
(1)レーダー:作動試験を行い、各部の機能及び海図と受信像との誤差などにも異常のない事を確認する。
(2)ロラン及びオメガ:動作試験を行い、各部の機能及びその動作に異常のない事を確認する。
(3)GPS等船位測定装置、ファクシミリ、船内指令装置、娯楽電子機器、ワイヤレスマイク、空中線共用器、その他の電子機器についても同様に動作試験を行い、各部機能及びその作動に異常のないことを確認する。
3・13 回路絶縁抵抗試験
 本試験は500V絶縁抵抗計により計測する。
 計測結果は3・13・4に示す規定値以上であることを確認する。
3・13・1 動力回路試験
 ケーブルは総て導体相互間及び導体と船体間との絶縁抵抗を測定する。ただし制御用ケーブルなどの多心線に対しては導体を一括して導体と船体間の絶縁抵抗を測定してもよい。
3・13・2 照明回路試験
 分電盤の支回路スイッチ又はヒューズはできるだけ連結し、主配電盤端子において導体相互間及び導体と船体間との絶縁抵抗を測定する。この場合必要ない限り最終末端回路は切離すものとする。
3・13・3 通信・計測・航法及び無線装置回路試験
 ケーブルは導体相互間及び導体と船体間の絶縁抵抗を測定する。ただし制御用ケーブルなどの多心線に対しては導体を一括して導体と船体間の絶縁抵抗を測定してよい。
3・13・4 絶縁抵抗値
 回路の絶縁抵抗値は船舶設備規程によると下表のとおりである。
(1)動力・照明・電熱給電回路
 
電路の
定格電流(A)
5未満 5以上10未満 10以上25未満 25以上50未満 50以上100未満 100以上200未満 200以上
絶縁抵抗(MΩ) 2 1 0.4 0.35 0.1 0.05 0.025
 
(2)船内通信及び信号設備に利用する電路の絶縁抵抗は、次の各号による。
 
1. 電路電圧100ボルト以上のもの 1メグオーム以上
  100ボルト未満のもの 0.35メグオーム以上
 
3・14 電圧降下計測試験
 各種装置について電源とそれから最も遠い機器の端子との間における電圧降下を計測し、その値が規定値を超えないことを確認する。
 実際に本試験を行う場合は、給電系統において電圧降下の大きいことが懸念される回路及び電圧降下が著しく障害となる機器用回路についてのみ計測を行う。
3・15 復習問題(10)
〔問1〕船内において発電機の負荷試験を行うには、2つの方法があるが、これらについて簡単に述べよ。
〔問2〕船内において発電機の負荷特性試験を行うには、一般にどのような方法で行うか。
〔問3〕船内試験における、発電機用原動機の速度変動率試験の算定式について述べよ。
〔問4〕気中遮断器の動作試験はいかにして行うか。
〔問5〕電気機器及び回路は船内装備後いかなる試験検査が行われるか、その項目を列挙せよ。
〔問6〕船内諸試験に先立ち調査・確認すべき事項を述べよ。







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